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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん
第6章

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306 判断

 あとのことは兵士たちに任せて別邸に戻った。


 お祭りは終わったけど、終わったからなにもやらなくていいってわけじゃない。このお祭りを継続的に続けるための話し合いをしなくちゃならない。


 これで終わりではやった意味がない。毎年やることでマルビオ伯爵領のお祭りとはならないでしょう。


 だからって毎年、コノメノウ様を呼ぶわけにはいかない。精々、四年に一回とかじゃないとコノメノウ様がへそを曲げてしまうでしょうよ。


「お祭りとではなく、運動会として続けたらよいかと思います」


 今の時期は農作業も落ち着いており、元の世界のように気温が四十度とかになったりしない。精々、三十度くらいでしょう。この世界はまだ温暖化にはなってないわ。


「コノメノウ様が訪れた地であり、ルティンラル騎士団が誇りと名誉を懸けて戦った地でもあります。民の健康を祈って始めたと、そう広めれば大々的なものにならないでしょう」


 マルビオ家のおサイフに優しくないと続くものも続かない。やったことでマルビオ家の得にならないとダメでしょうよ。


「もし、お金が出せるのなら王国騎士団を呼んでみるのもいいでしょう。コノメノウ様の名を使った賞を与えればよろしいかと。わたしがコノメノウ様から承諾を得ます」


 お酒を出せば認めてくれるでしょう。おっと。チョロいとか言ってはダメよ。


「来年、きてくれるかわかりませんけど、ルティンラル騎士団にも声をかけます。もしきてくださるのならコノメノウ様の名前を冠した賞を用意します。あと、勲章も。もし、ルティンラル騎士団以外にもきたいと言う騎士団がいたら棒倒しを開催すればよろしいかと。騎士団の名と名誉を懸けた戦いなら盛り上がるでしょう」


 まさかあそこまで盛り上がるとは思わなかったけどね。


「もちろん、大小様々な問題は出てくるでしょう。やるやらないはルゼット様の判断次第。やるなら協力致しますし、やらないのなら風化していくよう協力致します」


 そこはルゼット様の判断ね。どちらを取っても面倒なことなんだからね。


「こう訊いては優柔不断と取られてしまいそうだが、チェレミー嬢はどうなのだ?」


「わたしはやるべきだと思います。国指定になるかもしれない祭事を得たのですから。国の祭事。それは百年後も続いていればこの地の宝となり、マルビオの名が残ることになるのですから」


 革命か侵略戦争でも起きない限り、この国は残っているでしょう。


「あくまでもわたしの考えです。続けることにはいろいろ問題が出てきます。お金もかかります。よくよく考えて判断してください」


 あとは、ルゼット様の判断。わたしから言うことはないわ。

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