287 すぐよすぐ!
いつまでもマリアラ様に付き合ってはいられない。明日からの用意を進めなくちゃならないわ。
「ラグラナ。戻ってきてくれてよかったわ」
久しぶりに見るラグラナ。なんだかんだと優秀なメイドで、わたしのよき補佐役なのよね。
「遅くなって申し訳ございません」
「いいのよ。食料は足りたかしら?」
「はい。豊富な地で助かりました」
やはり大領地は違うわよね。カルディムも見習わないといけないわ。
「戻ってきてそうそうに悪いけど、祭りの予定を立てるから手伝ってちょうだい」
「わたしだけですか? マリーヌ様も同席されては?」
「マリーヌは別邸のこともあるからね、祭りはこちらで仕切るわ。内容はラグラナから伝えてちょうだい。大体の流れを知ってもらえればいいから」
そう細かいプログラムにはしない。決めると臨機応変に動けなくなっちゃうからね。
「ラグラナ以外にわたしの補佐をしてくれる者を探さないとね」
「必要でしたら用意します」
「また王宮? どれだけ人材が豊富なのよ?」
他にも派遣しなくちゃならないだろうに、わたしのところだけに回したりしていいの? 十人以上寄越しているわよね?
「若い者になりますが、お嬢様の側なら優秀に育ってくれるでしょう」
「わたしのところで新人教育しないでよ」
利用する気満々かよ! 少しは隠せよ!
「少し問題がある者ばかりですが、見所はある者たちです」
うちは左遷先かよ! 問題児を押しつけないでちょうだい!
「見た目は幼いのに体つきがよくて派遣できないのです。アマリアみたいな体型ですね」
「すぐ寄越せと伝えてちょうだい」
すぐよすぐ。明日でも構わないわ。いや、今日でも構わないわよ。
「畏まりました」
まったく、ラグラナは優秀なんだから。お礼にコノメノウ様の世話を命じてあげるわ。おはようからお休みまで世話して差し上げなさい。
ロリ巨乳軍団に心奪われそうになるのをぐっと堪え、祭りの内容とプログラムを組んでいき、マルビオ家の面々の対応とメイドの配置を決めていった。
「兵士に観覧席を作るように指示してちょうだい。多少、強度が落ちても構わないわ。明日中に作ってちょうだい。あとは、わたしの付与魔法で強化するから」
「村人はどうします? 集まりすぎると観覧できないかもしれませんが」
「そうね。それなら台を設置しましょうか。丸太を並べるだけでも違うでしょう」
集まったとしても数百人。牧場も広いんだから全員観られるでしょうよ。
「タルゼン様とも相談しなくちゃならないわね」
騎士団にはお願いできない以上、警備はタルゼン様率いる兵士たちに任せるしかない。連れてきてくれて助かったわ。
「タルゼン様のところにいってみますか」
どうせ牧場にいっているでしょうからね。現場を見ながら相談するとしましょうかね。




