259 もぎるわよ!
朝、牧場にウォーキングしにいくと、騎士様たちが馬に跨がって走らせていた。
「騎士って元気ね」
その横をキャラメルが走っているのが気になるところだけど、コノメノウ様から解放されてなによりだわ。
「グワァ~」
と、草を食んでいたレオがこちらにやってきた。どうしたの?
グワァ~グワァ~と顔を擦りつけてくる。構って欲しいのかしら?
「わかったわかった。朝食をいただいたら久しぶりに走りましょうか」
マルビオにくるときに二日くらい乗ったくらいだもんね。乗ってあげないと拗ねちゃうよね。
またここにくるのは面倒なので三匹を別邸に連れて帰った。
「メイベル、また徹夜したの?」
その横で同じく眠そうにしているロンゼ様。なんなの、この兄と妹は? 性格、いや、性質が同じすぎるでしょう。
「申し訳ありません。寝かせようとしたのですが……」
マリーヌも眠そうだ。とんでもないご令嬢に仕えたものよね。まあ、わたしも人のこと言えないから黙っているけど!
「まったく。これじゃ遠乗りにいけないじゃない」
「わたしはお昼まで眠りたいわ」
眠そうにしているけど、やる気は衰えてないようだ。不味いものを目覚めさせちゃったわね……。
「仕方がないわね。わたしだけいってくるわ」
もちろん、ランやルーアたちはついてくるでしょうけど、わたしだけなら遠くまでいけるでしょうよ。
「チェレミー。わたしもいきたい」
どこでなにをしているかわからないミコノトが現れた。
「ミコノト、モルチャカか馬に乗れたっけ?」
「自分で走るから大丈夫よ」
この子の本当の姿はどちらなのかしらね? 半妖狐って謎だわ。
別に興味がないから調べることはないけど、どっちが主かだけは教えて欲しいわ。無理には訊かないけどさ。
「コズエ。ナティーにお弁当を作るよう伝えてちょうだい」
「畏まりました」
「貴女って落ち着いていられない性格なのね」
「人生を無駄にしたくないだけよ」
貴族としての義務は残っているけど、普通の伯爵令嬢からしたら圧倒的に時間がある。これを楽しまずなにを楽しめと言う。わたしは今生をおっぱいに捧げるわ!
おっぱいに捧げる人生ってなによ? なんて問わないで。知りたければわたしと一緒におっぱいを探求すればいいわ。おっぱいを愛する同士諸君よ、立つがいい!
おっと。変なところを立たせないように。もぎるわよ!
「さあ、お嬢様方。朝食を済ませてください」
そうね。まずは朝食をいただきますか。でも、その前に顔を洗わせてちょうだい。レオに顔を甘噛みされでベタベタなのよ。
コズエが濡れタオルを差し出してくれ、さっぱりさせたら食堂に向かった。




