248 悪魔のような女
「もっともらしいこと言っているけど、ウソでしょう」
「ふふ。半分は本当よ」
さすがメイベル。絆されてくれないか。でも、それがメイベルの魅力なのよね。
「友達がいない人生はつまらないわ。その点、メイベルとは話が合うし、好みも似ている。なにより、わたしの人生を豊かにしてくれる存在。一緒にいたいと思うのは当然じゃない」
おっぱい好きならさらにいいんだけど、さすがにそれは望みすぎ。読書や創作の趣味を語り合えるだけでも嬉しいわ。
「わたしに利点はあるの?」
こういう現実的な思考をできるところも好きだわ。
「あるわよ。貴女がコノメノウ様の窓口となれば結婚して子供を産むだけの人生から抜け出せるわ」
まあ、子供を産むだけで人生は終わらないけど、家のために人生を捧げる生涯になるでしょうよ。
革命を起こして社会を変えたいんじゃないなら現社会でできることをするしかないわ。
「コノメノウ様と繋がることはマルビオ家としても利になるわ。それを見逃すようでは伯爵として失格。先を見通す目を持っていたら見逃したりはしないわ」
貴族は保守的な人が多いけど、名誉を欲する人も多かったりする。
地位と権力がある者が最後に求めるものは名誉だ。それは、ルゼット様でも抗えないものでしょうよ。そこに利もあるんだからね。
「結局、わたしは利用される立場じゃない」
「そこは考え方次第よ。コノメノウ様の窓口になるということはわたしとの繋がりを持つこととなる。それはこの領地にいてはできないわ。必ずメイベルをカルディムに送らなければならないわ」
マルビオ領にいてはコノメノウ様と繋がることはできない。わたしとの関係をより強いものにするためにはメイベルをカルディムに送るしかないのよ。
「コノメノウ様との窓口になると言ってもなにかをする必要はないわ。ほぼ、自由に使える時間が与えられるだけ。その時間をどう使うかはメイベル次第。本を読むもよし。物語を創作するもよし。わたしとおしゃべりするのもよし、よ」
そして、一緒にお風呂に入るのもよし。おっぱいの洗いっこもよし、だわ。ゲヘ。ゲヘ。
「……悪魔のような女ね……」
「悪魔とは失礼ね。誰も不幸にしてないわよ」
わたしは策略を企てたけど、強制はしていない。誰にも損は与えていない。それどころか皆をハッピーにするようなことしかしてないわ。
「メイベルは嫌? わたしといるの?」
小悪魔のように笑ってみせた。
「……べ、別に嫌じゃないわ……」
顔を赤くさせるメイベル。このツンデレ感が可愛いこと。
「ふふ。よかった」
そっぽを向いてしゃべらなくなったのでピザの材料を切り刻むことに集中した。
まずはピザを完成させるとしましょうかね。




