233 神事っぽいもの
杭にウサギを逃さない結界と好む匂いを付与させた。
なんでそんなことできるねん! なんて突っ込みは受付ませんよ。ちょっとグロいことしちゃったからね。内緒よ♥️
「草もいい感じに刈れたわね」
数は力とはよく言ったものだわ。ウサギが結構隠れていたじゃないの。
ウサギからしたらデスゲームに強制参加させられた気分でしょうけど、この世自体がデスゲームみたいなもの。優しさなんかでできていないわ。生き残った者が正義なのよ。
なんて世紀末思想(?)は好みじゃないし、反発したくなるのがわたしと言う変態。偽善に満ちた世界にしたくなっちゃうわ。
「悪い顔しているわよ」
おっと。笑顔笑顔。わたしは可愛いお嬢様よ。
「ルティンラル騎士団の英雄たちよ。これは神事、とは呼べるものではありません。しかし、我ら王国を守護するコノメノウ様に捧げる狩りです。より多くの獣を狩り、捧げてください。守護聖獣様に代わり、チェレミー・カルディムが一番の英雄に褒美を与えます」
そう宣言すると、八名の騎士たちが片膝を地面につけさせた。
……まあ、要は酒の肴を狩ってこいって言っているだけなんだけどね……。
「そのコノメノウ様はどこよ?」
はい、そこ。突っ込まないの。コノメノウ様のイメージを守るためには引っ込んでてもらったほうがいいのよ。
「貴女って、守護聖獣様にも容赦がないわよね」
だから突っ込まないの。
「では、時間は昼まで。始め!」
グリムワールから花火を打ち上げた。
「これよりは個人技。コノメノウ様とチェレミー嬢にルティンラル騎士団の力を示すがよい!」
レイダー様が奮起の声を上げ、他の騎士様たちが応えるように雄叫びを上げた。
ノリがいいな~。とか思うけど、騎士様って活躍の場がないってのがよくわかるわ。
「次は馬上戦とかおもしろそうね」
「騎士様を暇潰しに使ってない?」
「暇潰しになんて使ってないわ。余暇の娯楽としては使っているけどね」
騎士様たちだってただ護衛しているだけなんてつまらないでしょう。それなら、武を示す場を提供して、わたしを楽しませてもらいましょう。
「令嬢としてどうなの、それ?」
「わたしを楽しませろと言えば角が立つでしょうけど、コノメノウ様となれば騎士様たちの名誉となり誇りともなるわ。要は騎士様たちに意味を持たせてやればいいのよ。ほら、騎士様たち、楽しそうじゃない」
まるで子供が無邪気に遊んでいるようだわ。
「わたしは、部屋で物語を書いていたいわ」
「それなら騎士様たちの動きを頭の中で文章にしなさい。そして、この出来事を物語とすればいい。なんなら記念に騎士様たちに貴女の本を贈ったらいいんじゃない。騎士様たちも自分たちの活躍を記されて嬉しいと思うわよ」
名誉、誇り、そして、称賛。騎士様たちも喜ぶでしょうよ。
「ちゃんと自分の名前も書いておきなさいよ。名を残すのは文筆者としての名誉であり誇りなんですからね」
わたしも騎士物語とか書いてみようかしら? アーサー王的なものなら喜ばれるんじゃないかしらね?




