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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん


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229/1012

229 マリル村

 朝、ウォーキングに出かけようと別邸を出たらたくさんの男女が集まっていた。


「ここの村の者も容赦なく集まるわよね」


 こちらのサイフを空にしてやろうかって数だわ。五十人くらいいるんじゃないの?


「今すぐメイベルを叩き起こしてきて。早くよ!」


「か、畏まりました!」


 まさかこんなに集まるとは思わなかったから油断していた。このままウォーキングに出るのは不味いわ。


 わたしが外に出たことは村の者たちにも見られてしまったので中に入るわけにもいかない。あら、人がいっぱい。なんて顔で準備運動をする。


 わたしの強い言葉に非常事態と感じたマルビオ家のメイドが寝ぼけまなこのメイベルを両脇に抱えて連れてきた。また徹夜して書いていたわね。


「なん──」


 その先を言わせず、グリムワールを出して水玉を創り出して顔を洗わせた。


 村の者に見られているけど、挽回はできる。今はメイベルをしゃんとさせるほうが優先よ。


 顔を洗い終わったらタオルで拭いてやり、風を吹かせて乾かし、髪をとかして令嬢然とさせた。わたしがじゃなく、マルビオ家のメイドがやっているんだけどね。


「公の場と思って立ち振舞いなさい。マルビオ家の名に泥を塗らないようにしなさい。わたしが対応するから」


 本当はメイベルが全面に立つことが正しいのだけれど、今のメイベルには無理。下手を打たれるならわたしが前に立ったほうがいいわ。


「代表者は誰かしら?」


 微笑みながら村の者たちに近づき、年配の男性に尋ねた。


「わたしでございます。マリル村の村長を任されております」


「わたしは、チェレミー・カルディム。カルディム伯爵の娘です。夏の間、マルビオ家のお世話になっています。今回、あなたたちを呼んだのはわたしです。わたしの声に応えてくれて感謝するわ」


 あまり尊大にならず、でも、上から目線で感謝を示した。


「は、はい。マルビオ伯爵様にはいつも助けられております。わたしどもでお助けできることがあるならなんなりと申してください」


「ありがとう。マリル村のことはわたしから伯爵様にお伝えするわ」


 メイベルを見て、あなたからも礼を言えと、目で伝えた。


「わ、わたしからも父には伝えたおくわね」


「はい。よろしくお伝えください」


「朝早くからきてもらったし、朝食はこちらで用意するわね。ラン。兵士に連絡を。炊き出しの用意をしてちょうだい」


 旅の間はいつも野外調理していたし、いつでも炊き出しできる準備は用意してある。食料もカルディムから持ち込んでいるので五十人くらいまったく問題ないわ。


「メイベル。庭を少しいじらしてもらうわね」


 代表者であることを知らしめるためにメイベルに許可を求めた。


「ええ。構わないわ」


「ありがとう」


 礼を言ってグリムワールを振るい、土で椅子を創り出した。

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