227 魔導兵団
騎士ってあまり魔力がないものなね。
王国でも上位にいる騎士団ながらレイダー様以外五級だった。
まあ、騎士なんて集団戦であり肉弾戦がメイン。発動させるために数秒かかる魔法より矢を放ったほうが早いでしょう。そのために魔導兵団って組織があるんだからね。
「レイダー様は三級でしたか。かなり高めですね」
男爵の子息なのに三級とか、伯爵家の子息と言っても違和感はないわ。魔力の少ない者は騎士団に入るとか聞いたことがあるし。
「ええ。ロッタ家はマリーゼ伯爵家の流れで、三級の者が産まれやすいのです」
マリーゼ伯爵家はまったく知らないけど、兄弟が多いと男爵家に婿に出したり養子にしたりするってのはよく聞くわね。
「わたしは二級になれるでしょうか?」
「まあ、可能ではありますね。ただ、増やしても意味はないと思いますよ」
「なぜですか?」
「レイダー様は騎士であり、戦いを仕事としているからです。仮に特級の敵がいたとして、騎士団は個人で戦いますか?」
「……いや、しないです」
「では、千の魔物が現れたとき、魔法で殲滅しますか?」
「魔導兵団が攻撃をして、撃ち漏らしを排除します」
まともな考えを持つ人でよかった。出世しても部下を無駄死にしないでしょうよ。
「騎士なら剣術を高め、魔法は敵を崩すために使えれば戦場の雄になれますよ」
戦争がないのでもっぱら魔物相手でしょうけど、騎士が魔導兵団のような魔法を求めることが間違っているのよ。
「まあ、王国は魔力至上主義ですからね、魔力を高められるなら高めたいでしょう」
三級もあれば出世も早くなり、もしかしたら伯爵家に婿入りできたりするかもしれない。上を目指す人なら魔力は増やしたいでしょうね。
「そう、ですね。四級に上がれば出世の見込みも出てきますから」
他の騎士様も男爵や騎士爵の出が多いようで、一段階上にいけるのなら是非ともいきたいって感じだった。
「レイダー様たちにはお世話になっていますし、魔力を増やすお手伝いさせていただきましょう」
魔木、ランタンクで作ったグリムワールを騎士様たちに配った。
「それはグリムワール。所謂魔法の杖です。それに自身の魔力を籠めてください。まあ、さすがに動けないほど魔力を籠めたら仕事にならないでしょうから、一日半分を籠めてください。魔力を増やすのも走り込みと同じです。毎日走って鍛えるように、魔力もグリムワールに籠めてください。十日もしたら実感できますから」
千メートルを走るのに十五分かかっていたところを十日も走れば一分くらいは短縮できるでしょうよ。一月もがんばれば十分くらいで走れるんじゃない? よくわかんないけど。
「どう訓練するかはレイダー様たちで決めてください。護衛もあるでしょうからね。ルーア。相談に乗ってあげなさい」
二人がどんな距離になっているかわからないけど、見た感じ、そう悪くなっていない。関わる時間を作ってあげましょう。
「畏まりました」
ってことで、もう少し山道の先に向かってみた。




