211 セッティング
「チェレミー嬢、おはようごさいます」
城内を歩いていると、レイダー様と遭遇した。
「おはようごさいます、レイダー様。お散歩ですか?」
「いえ、チェレミー嬢の護衛と思いまして」
野営のときも十分くらいウォーキングしていた。そのときも護衛としてついてきてくれたわ。
けど、どうもそれは建前で、ルーアに興味があるとわたしは知っているわ。
……この方、見た目清楚系が好みらしいわ……。
マニエラは女性としては体格がよく、カエラは勝ち気な顔立ちだ。男性の趣味としてはルーアよりでしょうよ。アゴのラインもふっくらとしているしね。
「ありがとうございます。では、お願いしますわ」
わたしは色恋に興味はないけど、配下の色恋を面倒見るのも上司の勤め。わたしのところにきたらいき遅れになるなんてウワサが立ったら護衛騎士としてきてくれなくなるわ。それだけは阻止しなくちゃならないのよ。たくさんのおっぱいを求めるためには、ね。
城内にわたしのことは通達されているようで、咎める者はなし。訝しむ者をいないわ。ほんと、マルビオ家の優秀さがよくわかるわ。
「そう言えば、レイダー様。お戻りになるのはいつでしょうか? ラインフォード様にお礼のお手紙を書きたいですし、ルゼット様にも会っていただきたいので」
ルティンラル騎士団の一隊を貸してもらい、マルビオ伯爵に挨拶させないのもルゼット様にもレイダー様にも申し訳ないわ。わたしが間に入らないとダメでしょうよ。
「判断はわたしに任されておりますのでチェレミー嬢のご都合で問題ありません。守護聖獣様の護衛として命令されていますので」
「それは、騎士団として問題はないのですか?」
ルティンラル騎士団は王国を守る騎士団。守護聖獣様を護衛するのは管轄外でしょうよ。
「問題ありません。一隊が抜けてもルティンラル騎士団は精鋭ですから」
あらカッコいいじゃない。そりゃ、人気があるわけだわ。
「ふふ。王国は安泰ですね」
「チェレミー嬢にそう言っていただければ光栄に思えますな」
「光栄なのはこちらです。王国の勇たる方々に守っていただけたのですから。末代までの名誉ですわ」
まあ、わたしの子が誇れることはないでしょうけど。
大きい城だけど、庭園があるわけでも城を一周できるわけじゃない。半周くらいして戻ってきたらランと柔軟体操をしてウォーキングを終わりとした。
「チェレミー嬢」
と、領主代理のマセル様が現れた。
ルゼット様の義弟であり、伯爵家の次男だったとメイベルに聞いたことがあるわ。
「おはようございます、マセル様」
「ああ、おはよう。朝の散歩をするとは聞いていたが、本当にしていたのだな」
「はい。健康でいるには歩くことが大事ですからね。大雨や大雪でもなければ毎朝歩くことにしております」
わたしは歩く気でもラグラナたちに止められるからね。仕方がないと諦めたわ。
「そうか。メイベルと友達をやっているだけはあるな……」
メイベルったら家族からも変人扱いされちゃって。いや、わたしもか! 否定はないけど!
「ルゼット様にルティンラル騎士団のレイダー様を紹介したいのでお時間を作っていただけますか? コノメノウ様を守っていただいているので」
「もちろんだ。レイダー殿、挨拶が遅れて申し訳ない。正式には義兄との挨拶のときにさせていただきたい」
「はっ。お気遣い、ありがとうございます」
身分的にはマセル様のほうが上。畏まって答えた。
「では、朝食で」
わたしも一礼してマセル様を見送った。




