210 繋がり
疲れているから寝坊すると思ったら、いつもの時間に起きてしまった。
「おはようごさいます」
起きたらラグラナがベッドの横にいた。
「おはよう。もう起きていたの?」
皆疲れているだろうからゆっくりでいいって言っておいたのに。仕方がないわね。
「他所の家ですから」
まあ、マルビオ家がわたしに害をなすことはないでしょうけど、他所から忍び込んでいる輩がいるかもしれない。ラグラナとしては油断できないでしょうよ。
「マルビオ家には王宮の者は入り込んでいないのね」
さすがにすべての家に送り込むことはできないでしょうけど、わたしと関わりがあるところには一人くらいは忍び込ませていると思っていたわ。
そうでないとなるとカルディム家として監視さている疑惑が高まるわね。
「ウォーキング、できるかしら?」
「城内でしたら問題ないそうです」
打ち合わせはしたのね。手際がよろしいこと。
昨日はお風呂に入れなかったのでお湯玉を創り出し、ラグラナに洗ってもらった。
「ミコノトも入る?」
今日も今日とて全裸でお眠なミコノト。毎日見ても飽きないおっぱいよね。
「入る」
お湯玉を大きくしてミコノトを入れた。
じゃあ、わたしが洗ってあげる──と言う前にラグラナがブラシをミコノトに渡してしまった。
「お嬢様。ウォーキングなさるのならそのくらいで出てください」
仕方がないわね。のぼせたままウォーキングするのも辛いしね。さっぱりさせただけで止めておきましょう。
いつものウォーキング用のワンピースに着替え、マルビオ家の侍女の案内で外に向かった。
城はもう起きており、わたしを見るなり廊下の端に移動して礼を取った。
「よく教育されているわね」
あの部屋に泊まる方がそれなりにいるってことでしょう。
「チェレミー様、おはようごさいます」
城内は侍従たちが警備しているのでルーアたちも兵士の宿舎を借りているそうよ。
「おはよう。宿舎はどう? 不都合があるなら遠慮なく言いなさいね」
マルビオ家に女性の騎士はいない。宿舎も男だらけだ。なにかあれば燃やしてあげるわ。
「問題ありません。宿舎の一つを貸してもらいましたし、ルティンラル騎士団も泊まっているので悪さする者はおりませんよ」
「随分と紳士なのね」
わたしも前世は男だ。禁欲生活を送っているときに女性が現れたら我慢できる男はそうはいないでしょう。街に発散しにいったのかな?
「はい。さすがルティンラル騎士団の方々です」
「気に入った殿方がいたらわたしに言いなさい。話を通してあげるから」
マニエラはともかくルーアたちは一生独身ってわけにもいかない。どこかで紹介してあげないといけないでしょう。親御さんたちもそれを希望してわたしに預けてくれたでしょうからね。
「そのときはよろしくお願い致します」
どうやら満更ってわけでもなさそうね。ラインフォード様と繋がりを持っていたほうがよさそうね。
マルビオ家の兵士もいるので、歩けるところを先導してもらってウォーキングを始めた。




