196 あるに決まってんじゃん
昼食が終わったら出発進行~!
峠っぽいところを越えたら先頭から笛が吹かれた。
お、本当にいたよ。んなバカなと思っていたのに。マクライの情報、スゴすぎ。どんな情報網を持っているのかしらね?
「賊だ! お嬢様になにもさせるな!」
ん? ん? そこはお嬢様を守れではないの? なにもさせるなってなによ? いや、なんかされたら抵抗はするけどさ。注意されるようなことしないよ。
「お嬢様!」
馬車からラグラナやラン、コズエが飛び出してきてわたしを守る……ように囲んだと思う。いや、なんでこっち向いてんの? 普通、わたしに背中を見せるもんじゃない?
「なにもしないでくださいね」
「護衛騎士の見せ場を取ったりしないわよ」
こちらを選んだのはマーレたちに活躍させるためもある。なのに、わたしが奪うわけないじゃない。わたしは、別のことを知りたいだけなんだからね。
マーレたちには付与魔法を施した服や剣、補助指輪を持たせてある。盗賊が百人現れても負けることはない。盗賊なら無双でしょうよ。
「回り込んでいるのがいるわね」
まあ、護衛がいる馬車を正面から襲うバカはいない。左右に弓矢を持った盗賊が四人いた。
「カエラ様!」
すぐにラグラナが叫び、カエラが『五つの指がはぜる炎』で四人の盗賊を丸焼きにしてやった。いや、消し炭になっちゃったよ。あと、フィンガーでフレアなボムとか言わないように。
「ちょっと威力が高すぎたわね」
カエラは火属性の持ち主。普通に放っても威力が高くなっちゃうのかしらね? もうちょっと威力を落としておきましょう。山火事になっちゃうわ。
「ちょっとではありません! 殲滅魔法ですか!」
「ただの初級魔法よ。山の中で殲滅魔法なんて使えるわけないじゃない」
ここはもうランガー伯爵領。なにかやったら大問題になるわよ。
「初級魔法で人を消し炭になんてできませんから」
「それもそうね。次はもっと苦しませるような威力にしないとダメね」
盗賊になった理由とかわたしには興味はない。どんな原因があろうと盗賊になった時点で死罪だ。なんか知らないけど、盗賊相手には厳しい法があるのよね、この国って。
「……一瞬で消されるほうが幸せのようですね……」
「わたしはなんでも構わないわ。わたしの大切なものを狙った時点で万死に値するわ」
このおっぱいを守るためならわたしは魔王にだって成れるわ。メイドのおっぱいに触れるのはわたしだけなのよ。薄汚い手で触らせるものですか。
「チェレミー様! 制圧しました!」
あら、もう? 案外少なかったみたいね。
まあ、こんな往来が少ないところで盗賊なんてやっている弱小集団。よく訓練されたうちの騎士たちに勝てるわけもないわね。
「わかったわ。じゃあ、山火事にならないよう水をかけましょうか」
グリムワールを出して燻っているところに水をかけた。




