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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん
第4章

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176 わたしの評価

 ラルフ様とアルドは上手くやっているようね。


 伯爵や貴族の常識に囚われて変な風に見えちゃうけど、建設会社の社長とか現場監督とか思えば別に不思議な光景じゃない。それどころか優良企業と一流職人のよい関係に見えるわ。


「また、騒がしいことをしているな」


 と、いつもの如く気配もなしに忽然と現れるコノメノウ様。幽霊だってもっと存在感出すのに困った守護聖獣様だこと……。


「失礼なこと考えておるだろう?」


「はい。コノメノウ様に狐耳と尻尾をつけた妄想をしていますね」


 ただの幼女に興味はありません。バインバインの巨乳妖女が大好きです。


「それのなにがおもしろいのだ?」


「性癖だから、じゃないですか?」


 巨乳ならわたしはなんでも受け入れるけどね。


「これがお前の望みか?」


「まったく望んではいませんね。ただ、田舎でのんびり自由に、わたしらしく生きたかったですよ」


 それができないのが人生と言うもの。けど、諦めたらそこで試合終了ですよと、イングリッシュティーチャーのミセスジェーンが言ってました。ちなみにアニメオタクでした。


「それなのに城を建てるのか?」


「のんびり自由に、わたしらしく生きるために建てるんですよ。高貴な方を隔離するためにね」


 本館に人を招くとわたしの安らぎが脅かされる。なら、招く建物を造ったらええやない、だ。


「ついでだからわたしの好みに合わせた小さな館を建てます。高貴な方を迎えるには手狭なものをね」


 大きいから招いてしまうのだ。なら、招けないくらい小さくしたらいいわ。どうせ、わたしより身分が高いならこちらから会いにいかなくちゃならないんだからね。

 

「そこにわたしの部屋はあるんだろうな?」


「もちろんですよ。コノメノウ様から魔力をいただかないと快適な暮らしはできませんし、お酒も出せなくなりますからね」


 言葉は悪いけど、コノメノウ様が魔力供給源だ。いなければ快適な暮らしなんて不可能でしょうよ。


「酒が出ないのは困る。もう、お前が出す酒でなければ暮らしていけぬ」


 なんか不味いものでも出しているような表現は止めてください。下手な人に聞かれたら断罪されるいい証言になるじゃないですか。


「あと三十年もしたら飲めますよ」


「三十年も我慢できるか! わたしは一瞬でも酒がない生活など御免だわ」


 いやそれ、アルコール依存症。ヤバい状況ですよ!


「ほどほどにしてください。なにかあればわたしの責任になるのですから」


 守護聖獣様が転んだだけで周りの者の首が飛ぶ存在なんだから。


「安心しろ。誰にもお前を罰せさせたりはせんよ」


「その分、責任を負わされそうですね」


 それが嫌だってのよ。なにを要求されるかわかったもんじゃないわ。


「それは諦めろ。お前はもう伯爵の娘としては見られてはおらぬ。王宮にも王国にも害させられぬ立場だ」


 ……わたしの立場、もうそこまでいってたのね……。


「わたしはわたしの欲しいままに生きるだけです」


「それでよい。お前を縛ったらなにをするかわかったものではないからな。まあ、常識的には生きることだ」


「わたし、生まれてこのかた常識的に生きてますけど」


 なんて言ったら鼻で笑われてしまった。


「そう思っているのは本人ばかりかな、だ」


 そう吐き捨てると、忽然と消えてしまった。


 視線をランに向けたら逸らされ、マリアナに向けたら逸らされた。


 わたしの評価、あまりよくないようです。まぁあ、いいけど!

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