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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん
第4章

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160 前提

 婦人会による視察旅行が終わろうとも、わたしの忙しさはなくならない。今回のことを纏め、問題点を上げ、次回に繋がり改善案を出さなくてはならない。


 メイドから報告書を上げてもらうけど、ここでも王宮から派遣された者とそうじゃない者の差が出ている。こういうところが王宮の考え方と穴が見えるわよね。


「今の王宮を仕切っている人、高位貴族出身っぽいわね」


 情報を仕入れたり命令したりするのは上手だけど、ある一定の身分の者は理解できてもそれ以下の身分にはよくわかってないところが見える。


「お嬢様は報告書を読んでいるのですよね?」


「見ての通りよ。わたしは見えるものしか見えないわよ」


「これまで見えないものを見ていた記憶しかないのですが?」


「だったら目が疲れているのよ。休暇を与えるから十日くらい目を休ませなさい」


 ラグラナが欠けるのは困るけど、目が疲れているなら休ませるのも主の務め。ここはホワイトな職場なのよ。


 報告書を読んだらわたしなりに纏める。こいいうとき、パソコンが切に欲しくるわ。


「あー手が痛い。ラグラナ、揉んで」


 鉛筆やボールペンじゃなく羽ペンで、紙もそう質はよくないから手にかかる負担は増大。腱鞘炎になりそうだわ。


 ラグラナに右手を突き出して揉んでもらった。


「前から思っていたけど、ラグラナの手は柔らかいね」


 おっぱいは張りがあるのに。


「そうですか? 掃除したりするので、そう柔らかいとは思わないのですが」


「ランやコノハは固かったし、筋肉のつき方が外向きだったわね」


 外向きとは実行部隊。内向きは侵入部隊。帝国の色仕掛け部隊にミコノトがいた暗部があるかまではわからないけど。


「一緒に湯浴みさせた理由はそれでしたか」


 あ、いえ、ただおっぱいが見たかっただけです。


「まあ、そう思っておけばいいわ」


 さすがに正直には言えないしね。そう解釈してくれて構わないわ。


「……なぜ、わたしにおっしゃるのですか……?」


「それを考えるのはあなたの真の上司よ。わたしのような小娘の思惑なんて筒抜けでしょうよ」


 わたしをおっぱい聖人と見抜き、骨抜きにするためにたくさんの巨乳メイドを送り込んでもらいたいものだわ。


「挑発ですか?」


「わたし、なにか挑発するようなことしたかしら?」


 これを挑発と見るなら王宮の質が問われると言うものだわ。


「…………」


「前にも言ったけど、わたしは王宮に逆らうことは考えてないし、利用するなら好きなだけ利用したらいいわ。わたしの生活を邪魔しないことが前提だけどね」


 右手の痛みが消えてくれたらまた纏め作業を再開させた。

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