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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん


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129 メタモルフォーゼ

「あなたは今からミコノトよ。ククノヒメは捨てなさい」


 恐らく、ククノヒメと言う名はコネメノヒメが名づけたのでしょう。なら、その名は捨てさせて、わたしが名づけたミコノトを名乗らせるとしましょう。


「……ミコノト……」


「ええ。あなたに贈る愛の形。それを名前にしたのよ。受け取ってくれる?」


 縛っている紐を外していく。


「敵対してたとは言え、ごめんなさいね」


 そして、魔力を奪っている指輪を外した。


 漫画ならここで殺しにくるだろうけど、ミコノトは動かない。まあ、魔力が切れそうな状態から動こうにも動けないか。 


「アマリア。ローラにミコノトに部屋を用意させて」


「──あなたの側にいさせてください!」


 と、ミコノトがメタモルフォーゼ。紺色のキツネになった。


「……ミコノト、なの……?」


 目の前でメタモルフォーゼしたのはわかったし、尻尾が二つあるからミコノトだとはわかる。けど、突然のことに理解が追いつかないのよ!


「獣化、になるの?」


「くぅ~ん」


 あ、しゃべらないんだ。


「助けてコノメノウ様~!」


 わたしの中のド○えもん様~! カモ~ン!


「──止めんか! 無性にイラつくわ!」

 

 あらら。含んだ意味を感じ取られちゃったかしら?


「これはどういうことでしょうか?」


「どうもこうも妖狐とはこういうものだ。こやつのように獣と人の間に産まれることが異常なのだ」


「コノメノウ様もこんな感じなんですか?」


「大きさは違うが、まあ、似たようなものだ」


 明らかに七割は違ってそうな口振りね。


「まあ、こやつの場合、人の姿が主で、獣の姿は変化と言ったところだな」


「生命って不思議ですね」


 どんなDNAをしているのかしらね? でも、元の世界のキツネのように細くなくて、モフモフしている。モフモフスローライフの始まりかしら?


「わたしとしては人の姿のほうが好みかしら」


 Eおっぱいだったし、フレンズな感じがよかったわ。バラの鞭とかは勘弁して欲しいけど。


「まあ、この姿も可愛いっか」


 くぅ~んくぅ~んと体を擦りつけてくるのも悪くはないわ。キャラメルは頭突きだからね。


「きゅー!」


 と、キャラメルが突進してきて頭突きを食らわせてきた。


 防御力向上と衝撃拡散を付与しているとは言え、五十キロの肉塊が全力で突進してくればただでは済まない。付与を越えて吹き飛ばされてしまった。おぼっ!?


「きゅー! きゅー!」


「どうやら自分のだと主張しているようだな」


「くーん!」


 負けてられないとミコノトも突進してきた。


「ふふ。好かれておるな」

 

 好かれているのは嬉しいのですよ。けど、これは完全にタコ殴りされてるのと同じですよね。付与を施してなかったら全身骨折になってますよ。


 と言うかルーアたち、微笑ましそうな顔してないで助けてよ! どう見てもじゃれてるって図じゃないでしょうが!


 助けを求める隙もなく、二匹に小突かれ続けた。イヤーン!


  ◆


 キャラメルとミコノトからの愛が重かった。


 新しいベッドができるまで客室のベッドを使い、ただの寝巻きで寝たのが悪かった。二匹に忍び込まれて押しくらまんじゅう状態。と言うか、暑いわ!


 ケダモノどもを押し退ける力がないので這いずるように抜け出した。


「……し、死ぬかと思った……」


 ベッドの上で圧死とか笑えないのよ! おっぱいに圧死されるなら本望だけどさ!


「くぅーん?」


「きゅー?」


 どうしたの? みたいに鳴くんじゃないよ! 泣きたいのはこっちよ!


 寝巻きに防御向上と冷却小を施す。油断したらダメだと教えられたわ。


「ミコノト。せめて寝るときは元に戻ってちょうだい。体温が高すぎ。キャラメルは下で寝なさい。ベッドが潰れるから」


 育ちに育って百キロになりそうな勢いだ。二百キロになったら山に捨てにいかないとな。いや、小さくなる付与を首輪に施せばいいのか? 手乗りならマスコットキャラになりそうね。


「きゅー!」


「頑丈なベッドができるまでよ。がまんして。ミコノト。人に戻りなさい」


「くぅ~ん」


 と、モコモコキツネからケモミミ美女に。そう言えば、服は変化しなかったわね。ナイスよ。


「服、どうしよう?」


「明日、服飾メイドに作らせるからそのまま寝なさい。わたしは気にしないから」


 いえ、ウソです。チョー気になってます。いいほうに、ね。


「ほら、降りなさい。明日たくさん相手してあげるから」


 と言うかあなた、こんな甘えん坊キャラじゃなかったでしょう。いつもは自由にしてたクセに。独占欲の強い彼女か。


「きゅーきゅー」


 文句を言う(鳴く?)キャラメルをベッドから降ろした。


「さあ、寝るわよ」


 乱れたかけ毛布を直し、おっぱい丸出しのミコノトと布団に入った。


 獣モードと人モードでは匂いが違うのね。それに、なんかひんやりする。体温まで変わるんだ。生命って神秘。


「チェレミー」


 愛に飢えているからか、おっぱいを押しつけてきた。いや、抱きついてきた。当ててんのよ、かしら?


「あまり強く抱きしめないでね」


 本音はもっと強く抱きしめてだけど、それだと眠れないからほどほどでお願い致します。


「ミコノト、いい匂いね」


 なんだろう。なんだか花の匂いがする。男だったら即落ちする匂いだわ。


「チェレミーもいい匂いがする」


 わたしの場合はシャンプーの匂いね。体臭は人並みだわ。


 おっぱいに抱かれて眠るとか、わたし、今日死んじゃうのかな? と言うか、この日ほど男に戻りたいと願った日はないわね。まあ、男だろうと女だろうと、わたしのおっぱい愛は変わらないけどね。


 おやすみ、おっぱい──じゃなくて、おやすみ、ミコノト……。

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