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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん


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109 家族

 叔父様との話し合いで、とりあえず沼の管理はわたしが行うことにした。


 お父様も指輪ライターのことで王都から離れないし、叔父様も領内のことで忙しい。今のところ長老様になにかするってこともない。ときどき草刈りしにいけばいいんだしね。


 柵も領の予算から出してくれるようなので、取りかかるのは予算が下りてから動き出すわ。


「しかし、問題が次から次へと起こるな」


「邪魔になればいつ切ってくれても構いませんよ」


「そんなこと冗談でも言うな。家族を切り捨てるほど腐ってはおらん」


「貴族ならときには切り捨てるのも大切ですわよ」


 家を残すことが貴族の役目でありアイデンティティーなんだからね。


「それで残った家など価値はない。子を犠牲にする家など早々に潰れたほうがいい」


 わたしはいい家に生まれたと思う。ほんと、中身がおっぱい星人でごめんなさい。


「わたしも家族を愛しております。捨てられないほどに」


 嫌な家族だったらさっさと見捨てて飛び出している。けど、なんだかんだといい家族なのよね。守りたいと思うくらいにね……。


「……優しい娘なんだがな……」


「わたしの両手は大きくありません。この領地を守るのが精一杯ですよ」


 おっぱい星人は利己的であり近視眼なの。世界が平和でありますようにと願っても、そのために行動する気はないわ。そんな大がかりなことしてたらわたしのスローライフがハードライフになっちゃうわ。


「お前なら王国でも支配しそうだがな」


「叔父様がしたいと言うなら手を貸しますわよ」


 その暁には離宮を一つもらっておっぱいに囲まれて過ごしたいわ。


「止めてくれ。お前が言うと冗談にならん」


「さすがに王国支配なんて夢物語ですよ」


 いや、お前ならやる。って目で見る叔父様。帝国に嫌がらせしてるなんて言えないわ……。


「ところで、麦の値に変動はありましたか?」


 気が早い人は動いているはず。世間が動く前に動いているはずだわ。


「今のところはないな」


「いずれ変わります。商人には伝えてありますよね?」


 大量に買う商人がきたらすぐ売らずに報告を上げるようにとね。


「ああ。キツく言い渡してある」


「近隣の方々には?」


「伝えてある。まあ、どこまで対応するかまではわからんがな」


「構いません。的は多いほどカルディムに当たる確率は減りますからね」


「……まさか、囮にしたのか……?」


「注意はしました。あとはそれぞれの領地が決めることです」


 それが治めると言うこと。自分の領地を守れない者に領地を持つ資格はないわ。


「それと、カルディム家の隠し食糧庫がここだとウワサを流してください。悪いことを考える者の目をこちらに向けさせます」


「どう言うことだ?」


「カルディムに食糧を集めていることは知られているでしょう。そうなれば食糧欲しさに奪おうとする者がカルディムに集まってきます。その目をわたしのところに向けさせます」


「賊をここにか?!」


「はい。ここなら領都からも遠く村からも離れています。襲うにはちょうどいいところでしょうよ」


 知らせが走るまでに強奪する時間はたっぷりあるわ。


「備えは万全、と言うことか?」


「はい。魔力は潤沢にあるので」


 そうでなければ自らを囮にはしないわ。


「コノメノウ様はなにも言わんのか?」


「言いませんし、気にもしないでしょう。あの方はそういう方です」


 短い付き合いだけど、強者な故に人の常識には囚われてはいない。動くとすればわたしが失敗したときでしょうよ。


「まあ、守護聖獣様のことはお前に任せるよ。わたしではどうにもできないからな」


「お任せください。いいように対処しておきますから」


「……お前、守護聖獣様の扱い、雑だよな……」


「それならコノメノウ様が文句を言ってきますよ」


 まあ、面倒だったら聞き流すけどね。


「そうそう。これを叔母様に渡してください。ラーダニア様が作ってくれた保湿水です。寝る前に手のひらに乗るくらいの量で顔に塗ってください。手に塗っても構いません。効果があるならまた送ります」


 細かい説明をしても叔父様には理解できないでしょうから手紙もつけておく。


「化粧品か?」


「ええ。叔母様を綺麗にするものです。フフ。また従兄弟が増えるかもしれませんね」


 どちらもまだ三十前半。第三子も不可能ではないわ。


「淑女がそういう俗なことを言うんじゃない!」


 まだやる気はあるようね。ゲヘヘ。


「それは失礼しました」


 空になったワインを注いでやり、照れを誤魔化させてやった。


「帰る際はお酒を持ってってください。ブランデーを熟成させましたから」


「それは助かる。手に入らないかと言われていて困っていたのだ」


「安くは譲れませんけど、欲しい方にはお譲りしますよ」


 ワイン甁を大量に仕入れられたので、ブランデー甁に創り変えた。今のところ五十はできているわ。


「マイロック商会に話を通しておく。売ってやってくれ」


 カルディム領で一番の商会で、お抱えとしているところよ。


「場所は空けてあるのでいつでもどうぞとお伝えください」


「ああ。マイロック商会も早く店を構えたいと言っていたよ」


 それはなにより。叔父様のところに送るのも手間なのよね。代わりにやってくれるところがあると助かるわ。

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