1075 聖衣着用 下
聖衣の具合を確かめてもらったら十個の指輪を出した。
「これは最後の最後、可能なら使わないままにしておくものです」
自分の指すべてにしている指輪の隠蔽を解いてラーレシム様に見せた。
「まずは右手から。親指の輪は、強い衝撃を受けて止めてくれ、人差し指の輪は、魔力を貯めているもの。中指の輪は、転移ができます。薬指の輪は、瀕死になっても回復してくれ、小指の輪は、自決用です」
右手だけでもコノメノウ様十人分の魔力を使っているわ。
「次は左です。親指の輪は、結界です。半日くらいは守護聖獣様の攻撃すら防ぎます。人差し指の輪は、収納。この天幕五つ分の容量はあります。中指の輪は、幻惑。誰かを身代わりにするためのもの。薬指の輪は、魔力吸収。守護聖獣様の全力の魔力でも吸収できます。そして、小指の輪は、魔力全開。勝てない敵に最後の一撃を食らわせるものです。守護聖獣級の存在なら相討ちに持ち込めるでしょう」
左手はコノメノウ様三十人分。今回のことで満タンにすることができたわ。
「これは、誰にも教えてはなりません。タリール様も言ってはいけませんからね」
ロリっ娘を厳しい目で見た。
「……は、はい。言いません……」
よろしいと笑顔を見せた。
「ちなみに、タリール様には渡しません。これはあくまでも最後の最後、もう策はなしというときに使うもの。タリール様は、勝てないと判断したら逃げてください。まあ、そのような状況になればまずシューティングスターが犠牲になるでしょうからね」
「シューティングスターが死ぬのは嫌!」
間髪入れず言えるのが聖獣を虜にしている証拠ね。
「その前にわたしが窮地に立たせることはしませんよ。だからこそタリール様に指輪な不要なのです」
「……なら、ラーレシム様は……」
「ラーレシム様はわたし以上に厳しい状況に立つことになるでしょう。だからこそ、この指輪は持つべきなのです。自身を守るために、自身の幸せを奪われないために、戦う術を持ち、強くならねばいけないのです」
今回、一番のしくじりをしたのはラーレシム様の存在を見誤ったことだ。ロリっ娘よりラーレシム様をナジェスと婚約させるべきだったわ。将来のおっぱいに考えが至らなかったわ……。
「そんな悲しい顔をしないでください。わたしは嬉しいですから」
「う、嬉しい、ですか?」
なにか嬉しいことなどあったかしら?
「はい。役立たずのわたしに重くて重要な役目が与えられたのですから。肯定されることが嬉しいんです」
なんかヤバい扉を開かせてしまったか、わたしは?
「チェレミー様。いえ、お姉様。わたしを強くしてください」
あれ? なんか新しいジャンルが始まった? エースとか狙っちゃう系のシナリオ発動しちゃった?




