1071 守護聖獣 下
「メブルイア、だったか? まだ幼子だった頃に会ったな」
なにか、響きが違うわね。世代の違いかしら?
「ああ。久しぶりだ。そちらは変わらないな」
「百年二百年で姿は変わらないよ」
中身は菓子カスに変わっちゃったけどね。あ、わたしのせいではないので文句は受付ませんので。
「で、仕事をしに来たのか?」
「あなたがいてなにもできなかったのなら、我らはなにをしたらよいのだ?」
使い物にならん、とかは言わないわ。いたところで意味がないほどの存在なんだからね。
「そなたは、なにか考えがあって退いたのだろう? 顔色はよくないがな」
「よくないどころか今にも吐きそうな気分ですね。あれは、人がどうこうできる存在ではありませんから。守護聖獣としてなんなのか知らないのですか? 何百年と近くにいたのですから」
「長老格も知らないそうだ。我らがこの地に来たのは数百年前のこと。人のいない地を求めてやって来たのだからな」
まあ、あのお城は軽く千年前のもの。伝承が忘れ去られるには充分な時間があったでしょうよ。
「封印はできんのか?」
「やろうと思えばやれないこともないでしょうけど、わたし、先送りとかあまりしたくない性格なんです。子孫に問題を放り投げることはしたくありません」
放り投げたところで、問題を解決できる者がいるとは限らない。守護聖獣でもどうにもできない存在なんだからね。
「なんとかできるものなのか?」
「それを必死に考えております。解決できる策を」
この世界が乙女ゲームを元にしているのなら解決策は用意されているはずだ。バッドエンドもある乙女ゲームならお手上げだけどね。
「メブルイア様のお力で王都守護騎士団を呼んでいただけますか? せっかくなので他の騎士団にも活躍の場を用意してあげましょう」
「追い詰められているのに余裕があるな」
「最大の危機は最大の好機となるものです。コルディーのために利用させてもらいます」
このくらいしないとわたしの気が収まらないわ。コルディーの糧になりやがれ!
「別に優しさからではありません。骸骨兵を減らすには数が必要なだけです。コルディーには兵士というものが極端に少ないですからね。全騎士団を使わせてもらわなければ解決できるものも解決できませんわ」
わたしの力で全騎士団を動かすことはできないけど、守護聖獣様なら動かすこともできる。働け、コルディーのために。
「……よかろう。すぐに寄越す。時間は大丈夫なのか?」
「それだけの魔力は奪ってやりました」
今も設置してきた壺から魔力をいただいている。そちらの魔力でそちらを排除する方法を準備させてもらうわ。
「そつがないヤツだ」
「弱い人間は頭を使うしかりませんからね」
ふん! と鼻を鳴らして消えてしまった。
「まったく、恐ろしいヤツだよ」
褒め言葉と受け取っておきますわ。




