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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん
第18章

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1069 かぐや姫かな? 下

 不味いわね。高濃度すぎて魔力吸収が追いつかないわ。


「タルル様。なんとかできますか?」


「無理だ。わたしより遥かに高位存在だ。なんともできん」


 高位存在、か。確かに、人の身でどうこうできる存在ではないわね。下手に触ると蒸発しそうだわ。


「逆になんとかならんのか?」


「難しいですね。今も魔力を物質化させているのですけど、とんでも勢いで溜まっています。このままだと溢れてしまいそうです」


 ありがたい限りだけど、無限に湧き出る魔力とか害でしかない。世界の均衡を崩しかねないわ。


「下がりましょう」


 幸いなことにこの高濃度の魔力は外に漏れてはいなかった。この空間に止まっていてくれるってこと。一旦退避だわ。


「お二方。下がります」


 限界を迎える前に撤退をする。


 どこかに領域の界があるようで、階段まで戻ると、あの高濃度の魔力がウソのように消えてしまった。


「ふー。とんでもなかったわ」


 闇の気配に満ちているのに、澄んだ空気のように美味しかった。聖衣を纏っていなかったら発狂していたことでしょうよ。


「ラインフォード様、ハーベルク様、撤退してください。命令です」


 遥かに身分が上でもこれは聞いてもらわなくちゃならない。あんな永久機関を持たれたらこちらに勝ち目などないわ。作戦変更だわ。


「わたしたちも速やかに下がります」


 騎士たちの撤退は両騎士団長にお任せ。足手まといはさっさと逃げ出させてもらいます。


「シューティングスター。下がってちょうだい。撤退よ」


 空にいるシューティングスターとロリっ娘も下がらせる。


 お城を出たら桟橋に上がり、いただいた魔力を使って、仕掛けていた要石に聖浄の魔法を発動させた。


 ちゃんとわたしの命令に従ってくれたようで、騎士団の方々が速やかに撤退してくれているようだ。


「あそこを見ろ」


 だからアゴを蹴らないでくださいって。痛いんですよ。


「あの骸骨、倒されなかったか。しぶといわね」


 城壁の上に骸骨マンがマントを靡かせてわたしを睨んでいた。


「痛み分け、ね。次は勝たせてもらうわよ」


 わたしの声が聞こえたのか、なにか鼻を鳴らしたように見えた。


 にっこり笑って見せると、その場から去ってしまった。気に障りました?


「──チェレミー嬢!」


 ラインフォード様とハーベルク様がこちらに駆けて来た。


 激戦だったのでしょう。鎧にたくさんの傷がついていた。強化付与を施したというのに。


「怪我人がいたら下がらせてください。体力がある騎士様は警戒を。第一戦は引き分けです。第二戦に備えてください」


 わたしも聖衣を翻し、湖畔に向かって歩き出した。


 ハァー。予想外のことばかりだわ……。

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