1067 分相応 下
氷から煉瓦へと変わった。
長いこと湖に沈んでいたのに泥すら被っていない。浮上の際、洗い流されたか? いや、風化もしていないから魔力で覆われていのかもね。
その魔力はいったいどこから発生されているのかしら? わたし、絶対に知りたいです!
騎士様方が暴れ回っているからわたしの歩みを邪魔する者はいない。四天王は? 七大将軍は? 親衛隊はいないのか?
「その辺は考えていない、か」
ゲームの方向性が違うと、こんな幼稚な防衛力になってしまうんだな~。
「チェレミー嬢、一人では危険です」
ミランダルク騎士団の鎧を纏った騎士様方が駆けて来た。
「わたしは大丈夫ですよ。武勇を示してください」
「ロクス、バルジェットはチェレミー嬢の護衛だ。傷一つ負わせるな」
「「ハッ! お任せください!」」
いや、一人のほうが行動しやすいんだけど! とも言えないのでお願いすることにした。
「敵の戯れ言は無視してください。コルディーに牙を向いた者に一切の同情は必要ありません。歯向かう者は排除してください」
敵の心情など知ったこっちゃない。牙を向いた時点でコルディーの敵。テロリストみたいなもの。一切の交渉はしない、だ。
「ハッ! 徹底させます!」
四天王も七大将軍もいないのならドラマパートもないってこと。両騎士団の餌食となってください、だ。
「チェレミー嬢、どこへ?」
「城の地下です」
バカと煙は高いところにいるのがセオリー。なら、その反対の場所にいるセオリーってなに? って話だ。
疑問に思ったのはラーレシム様が聞いた声だ。
声のような歌のようなものが聞こえると、ラーレシム様は言った。
恨みでもなく呪詛でもない。不快ではない声。最初は助けを求める声かと思ったけど、不気味なほどの静けさからほんわかファンタジーが始まるとも思えない。コルディーに害なす者が出て来る雰囲気だ。
なら、ラーレシム様が聞こえた声の主はなんだって話になる。
なにかの残留思念ではない。ラーレシム様の話からして自由意思は持っているようだ。
これって、渦のときと似てないか? 渦自体は自然現象みたいなもの。そこに人の意思が混ざると、人を不幸にする災害となる。
いるのだ。ここに。核となる意思を持つ者が。骸骨マンと違う存在が。これを解決するキーマンが。
戦いを目的としたお城ではないので、地下へと続く階段はすぐに見つけられた。
「……チェレミー嬢……」
二人の騎士様がわたしの前に出た。暗闇から骸骨兵が出て来たのだ。
「露払い、お願いします」
わたしの護衛として見せ場は用意してあげないとね。
「「畏まりました!」」
お二方が嬉々として飛び出して行った。がんばれ~。




