1037 同類やね 下
「ラーレシム様はどんな様子ですか?」
「ラーレシムか? 今、どんな天能かを調べておる」
「調べる方法があると?」
初めて聞いたんだけど。
「いや、弟にやらせている」
公爵様の弟? マルセス様ではなく?
「マルセスの下に弟がおる。少し、問題のある弟だ……」
「あー。タリール様をそれとなく教育していた方ですね」
タリール様の後ろに誰かいるとはわかっていた。それがその弟様ってことなのね。
「教育ではない。悪さばかり教えていた放蕩者だ」
「でも、優秀なのでしょう? タリール様が傲慢にならないほどに」
「…………」
自分より優秀な者がいたから傲慢ではなく、生意気なくらいで済んでいる。ロリっ娘としてもその弟様も堕ちないでいられた。自分に追いつきそうな者がいたら心中穏やかではいられないでしょうからね。
「なんと申しましょうか、ジーヌ家は人材が豊富のようですね。当主としては頭が痛いところでしょうけど」
家の者が優秀だと、纏めるほうも優秀でカリスマがないといけない。いや、丈夫な胃を持ってなければいけない、かな? 当主となるのも大変だわ。
「そうだな。こうも問題が続くと頭が痛くて仕方がないよ」
アイテムボックスワールドからブランデーを出してあげた。まあ、飲んで落ち着いてくださいませ。
「美味いな」
「たくさんあるので気分転換したいときに飲んでください。自己逃避には使わないでください」
お酒は諸刃の剣。自分を救うこともあれば身を滅ぼすこともできるものだ。カスにはならないでください。
「で、その弟様は、天能を見極められるのですか?」
「チェレミー嬢と同じ答えを出した。今はその声がなんなのかを調べている」
「弟様は、地頭がよろしいみたいですね」
天能持ちなら隠されそうだし、魔法の才があるならウワサに上がるはず。徹底的に隠さないと大体は世間に漏れるものだからだ。
「ああ。頭はよい」
「でも、性格はひん曲がっている、ですか?」
凡人には天才の思考や行動は理解できないでしょうからね。
「──随分な言いようだな」
部屋の扉が開き、二十代半ばの男性が入って来た。
辛うじて貴族とわかる服装はしているけど、人前には絶対に出したくない着崩れをしている。内面がよく出ている格好だわ。
「間違っておりましたか?」
「いや、間違ってはいないな。自分でも性格がよいとは思ってないからな」
「チェレミー・カルディムです」
席を立って軽くお辞儀した。
「ロイスタン・ジーヌだ。世に名高いチェレミー嬢と出会えて嬉しい限りだ」
異名は口にしないか。本当に賢い方のようだわ。




