1032 真のおっぱい愛 上
わたしに精神攻撃を成功させた。それ即ち付与魔法を突破したことを意味する。
この世には精神魔法が存在する。カスどものように心を読むのもいる。その対策として二重三重の防御策を施している。なのに、それを突破された? あり得ないでしょう! カスどもにも対抗できていたのよ!
いや、対抗はできていた。精神をハイにされていたていどに抑えられていたのだからね。
……おっぱい愛が強くても理性を見失わないのが真のおっぱい愛なのよ……。
それでもわたしに精神攻撃を与えられる、か。なにか魔法や天能ではない力、ってことかしら? それともそれだけ強い思いってこと? なかなか厄介なものが近くに……。
「お嬢様!?」
アマリアの手を振り払い、天幕から出て湖を見詰めた。
もう夕方になる頃なので夕日が湖面に映って美しかった。神秘的な美しさだ。
「……またなの……」
またわたしはなにかに巻き込まれているの? わたし、前世で罪を冒した? 身も心も純血を守ったというのに。それが罪だったの? まあ、それがあったから現世ははっちゃけたかもしれないけどさ。でも、誰も傷つけてないじゃん。清く正しくおっぱいを愛しているだけじゃん。それのなにが悪いってのよ。理不尽じゃないのよ……。
いや、そんなことはどうでもいいのよ。わたしの不幸よりおっぱい。おっぱいを不幸にしないのならわたしはそれで満足。本望というものだわ。
わたしのおっぱいたちに害するなら容赦はしない。塵あくたも残さないくらい消滅させてあげるわ。
「お嬢様?」
「アマリア。魔力をもらうわね」
九割ほどいただき、がっくりと力が抜けたアマリアの体を支えて天幕に戻り、わたしのベッドに寝かせた。
「ゆっくり休みなさい。起きたらしっかり食べなさいね」
おっぱいをポンポンと叩いた。うん。いい弾力。
「──ナルシア。少しよろしいかしら?」
天幕を出たらバンルクス公爵家の天幕へと来た。
「如何なさいました?」
「明日は全員で編み物をするからジーヌ家に毛糸や糸を集めるように伝えてちょうだい」
「畏まりました」
なぜと訊かないのが優秀よね。うちに欲しいくらいだわ。
「ありがとう。あと、侍女たちを湖に入らせないように徹底させておいて。もし、天能持ちがいたら屋敷に下がらせてちょうだい」
「……なにかありましたか?」
さすがに非常事態のときは尋ねてくるか。
「万が一のときのための備えよ。まだなにが起きているかわからない状態なの。でも、この命をとしても皆様方は守るから安心して。誰一人見捨てないわ」
おっぱいは必ず守る。この世の宝を失わせたりはしないわ。
「必要なことなのですね?」
「いずれ王国の母となる者が逃げたとあっては民に示しがつかないわ。問題は早急に解決させるべきなのよ」




