1028 パジャマパーティー 下
「美味しい!」
と、辺境公令嬢のサーリス様が声を上げた。
「わたし、これ好きです!」
躾られたご令嬢がここまで声を荒げるのは珍しいこと。なら口に合ったようだわ。
「それはなにより。商人を通じてお贈りしますわ」
コンポルク辺境公領のことなにも知らないけど、妃候補者を出せる家だ。商人も繋がりができたら嬉しいでしょうよ。少ない資本で大領地と繋がれる。商人に恩も売れてラッキーだわ。
「わ、わたしもよろしいでしょうか? とても好みの味なので……」
上位伯爵令嬢のナルール様がおずおずと手を挙げた。さては飲兵衛だな。
「大丈夫ですよ。皆様方の家に贈らせていただきますので」
「よろしいの? 負担にならないのかしら?」
侯爵令嬢のマレカ様が首を傾げた。マレカ様はあまりお酒が得意じゃなさそうね。
「構いませんよ。趣味で作っている方がいるので」
館にある壺がアイテムボックスワールドに繋がることを発見したのでしょう。気に入らない清酒を壺に流してやがる。わたしの壺は廃棄口じゃねーんだよ。作ったら自分で消費しろや!
などと怒ってみたものの、再利用できると意識チェンジ。コノメノウ様が基礎行程を行ってくれたと考えたならありがたい限りだ。スパークリングするのなんて簡単だからね。それもコノメノウ様の魔力だし。
「お酒が苦手なら酒精が弱い甘酒をお贈りしますよ。お妃様も飲んでいるものです。美容にもお腹にも優れた飲み物ですよ」
この大陸で育った者に効果があるか怪しかったけど、今も飲み続けているなら効果があるのでしょう。館でも飲み続けているメイドはそれなりにいるからね。
「お母様から聞いたことあります。お妃様が愛飲しているものがあると」
「わたしも。飲み出してから健康になったと聞いておりますわ」
さすがお妃様の情報筒抜け! プライベートなしだな!
「興味があるなら飲んでみますか。朝か夜、寝る前に飲むとよろしいですよ。お妃様は、朝に温めて飲んでいるそうですね」
自分で作っておいてなんだけど、わたし甘酒ってあまり好きじゃないのよね。最初は健康のためにとがんばったけど、いつの間にか飲まなくなっちゃったわ。
……決してお妃様に押しつけたわけではございませんから……。
「ちょっと興味があります」
「わ、わたしも」
最高級の美容を受けていてもお妃様が飲んでいるものには興味は引かれるようだ。女子だよね~。
「わかりました」
冷たいの、温かいの、通常のを出して、皆で試飲した。パジャマパーティーか? なんてことは言わないように。




