1018 観光地 下
「……綺麗……」
ジーヌ公爵領に入ったら湖は見えるけど、湖畔から見るのとはまた違う。視界一面に映る湖と、遠くに見える山々。これを見て感動しない者がいたら心が貧しくなっているのでしょうよ。
しばらく感動に浸らせてあげ、わたしはここを任せたバンルクス公爵家の侍女と打ち合わせをする。
コルディーでも有力な家なだけに侍女も伯爵家出が多く、わたしより地位の高い者もいる。バンルクス公爵家の侍女もかなり高位な伯爵家の出らしいわ。
「ナルシア様」
「ナルシアとお呼びくださいませ。チェレミー様」
有無を言わせないほどのおっぱい──ではなく迫力。並みの野郎ならおしっこちびりらせてしまうでしょうよ。わたしはうれしょんしそうだわ。その爆乳を前に。
「わかりました。この場ではそうさせていただきます」
妃候補者たちの手前もある。自分が下として当たったほうがよいと判断したのでしょうよ。
「今日はここに泊まります。基本的なことはわたしたちでやるので、こちらから声をかけるまでは見て見ぬ振りをしてください。夜はルティンラル騎士団が見張りをしてくださるので、侍女たちも休んで構いません。お風呂は早めに入るか、候補者たちが入ったあとにお願いします」
さすがにお風呂のサイズから順番で入るしかない。この爆乳と一緒に入れないことが悔しいわ……。
「あと、ジーヌ公爵領の民にお金を落としていただけると幸いです。候補者の方々にも買い物を経験していただきたいので」
やっぱり買い物とか雰囲気があって楽しいものだし、領民にも妃候補者がどんなものか広められる。自分たちの妃がどんな人か。それを知るだけでもコルディーのためになるものだ。
「お金はジーヌ公爵家がご用意くださるのでご心配なく」
マルセス様の了承は得ている。お金も用意してもらった。致命的な出費ならお妃様から引っ張って来ると言ったら全力で断られたけど。
「差し出がましいことは重々承知しております。ですけど、わたしにはこれは必要なことなのか疑問で仕方がありません。どうなのでしょうか?」
まあ、必要だとは思わないわよね。単にわたしがおっぱいぱいしたいから願ったことなのだから。
「疑問に持つことは大いに結構。ただ、これが必要ではないと思うのなら、それをバンルクス公爵様に進言すればよいのです。己が罰せられようとも止めるべきなのです。お家のため、サーシャル様のために。それが家に仕えるということ。なぜそれをしなかったのです?」
言い訳が思いつかなかったので力技で解決させていただきます。
「いずれ王国の母となるお方が民を知らず、お金の価値も知らず、国土を知らず、なにも知らずでは王国など守れるわけもない。これから激動の時代が訪れる。そんな激動の時代を生き残れぬ軟弱な母では民を守ることもできない。だからわたしは、娘時代を大切にしてあげたいのです。王国が素晴らしいと知っていただきたいのです」
って理由で許してチョンマゲ~。




