1012 領主代理マルセス 下
「チェレミー・カルディムです。恐縮ながらマルセス様の代理として皆様方を仕切らせていただきます。ご不満のある方がお出ででしたら挙手をおねかします」
誰も不満はないようなのでわたしが仕切らせていただくとする。
「快適に過ごすために皆様方の魔力を少々いただきます。トイレとお風呂をまず用意致します」
ルティンラル騎士団のためにトイレを用意したけど、三百人もいたら足りるわけもない。あと三十は用意しないといけないでしょうよ。
グリムワールを掲げ、ここにいる方々から魔力をいただき、トイレを生産していった。
「……十個が精々か……」
三割だけではこんなものか。
アイテムボックスワールドからトイレを出した。
「これを各陣営に運んでください。魔法で軽くしてあるので簡単に運べますので」
試しに一人に持ってもらうと、簡単に持ち上げられた。
「明日までにさらに二つを各陣営にご用意させていただきます」
トイレを設置できたのならしばらくは困ることはないでしょう。この時代では排泄するだけでストレスになっちゃうからね。
「ジーヌ家に天幕はありますか?」
「あっても数えるほどだ。全員分は無理だ」
でしょうね。こんな状況に陥るなど想像もしなかったでしょうよ。
「わかりました。まずは幕を張るとしましょう」
屋根があれば陽の光は防げる。幕はあるので棒を立ててもらい幕を張って回った。
水を満たした壺を所々に配置し、葡萄酒の樽を出していつでも飲めるようにした。
「魔力が切れたか」
さすがにガラスの珠に溜めた魔力が尽きてしまった。
「妃候補者にも協力していただきましょう」
八人を呼んでもらい、魔力を半分ほどいただく。動けなくなっても困るからね。
木から紙を作り、屏風を作ってプライベート空間を確保し、簡易ベッドを魔力が続く限り作り出した。
「ふー。さすがに限界ですね。お風呂は明日にしましょう。マルセス様。食事のほうはどうなっておりますでしょうか?」
「人を集めて作っている。充分足りるはずだ」
さすが食の領都。食材と人を用意するのは早いこと。
「食べる場所はお任せします。警備はルティンラル騎士団と話し合いをお願い致します。そろそろ魔力の限界に近づいてきました」
「ああ、あとは任せてゆっくり休んでくれ」
マルセス様に任せ、屋敷の食堂に向かう。しっかり食べて休まないと魔力が回復しないからね。あーお腹空いた。
「チェレミー嬢。ごめんなさいね」
食事をしているとミシエリル様が現れた。なんかさらにやつれて。外に出れないほど激務だったのでしょうよ。
「お気になさらず。呼んだのはわたしなのですからわたしが解決させていただきますわ。お互い、よく食べてよく休みましょう。明日も忙しいのですから」
わたしもミシエリル様の相手をしていられる余裕なし。食べたらすぐにベッドに飛び込ませてもらうわ。




