1011 領主代理マルセス 上
準備は済ませてある。ビキニも完璧だ。妃候補者のサイズは頭に入っている。魔力も回復して、ガラスの珠の魔力も満タン。使える魔力はコノメノウ様三人分よ!
「チェレミー嬢!」
玄関まで来ると、ラインフォード様が慌てて駆け寄って来た。どうなさいました?
「すまないが、今日は待機しててくれ。令嬢たちの護衛を捌かなければならんのだ」
話を聞くと、一人三十人は連れて来たとのこと。八人だと二百四十人? いや、侍女も連れて来たのなら余裕で三百人は越えているってことだ。そりゃ、来るのに時間がかかったわけだわ。
「わかりました。今日は諦めましょう」
そりゃ、そんなにいたら捌くのが大変だわ。屋敷のキャパもオーバーしていることでしょうよ。
「屋敷内はわたしがなんとか致しましょう」
「それはありがたいが、大丈夫なのか?」
「問題ありません。また大規模魔法を使います」
前回の大規模浄化魔法の改善点はクリアしてある。あれは他者の思考をフィルターにかけなかったのが悪かったのだ。
「この状況を任されたのは誰かしら?」
「領主代理のマルセス様です」
あーあの方ね。影が薄くてあまり記憶にはないけど、公爵領の領主代理が無能なわけがない。裏方として優秀な方なんでしょうよ。
「お会いしたいわ。案内して」
「畏まりました」
すぐにマルセス様のところに案内してもらった。
大役を受けて張り切っている、ってこともなく、今にも泣きそうな顔だった。
まあ、わからないではない。大役でもなんでもない。丸投げされたようなもの。目の前のことも捌けていないようだわ。
「わたしのせいでご迷惑をおかけしております。お手伝いさせていただけますか?」
「そ、それはありがたいが、どうにかできるのか?」
「問題ありません」
グリムワールを出し、拡声器モードにする。
「各家の代表者、もしくは決定権をお持ちの方、ジーヌ家の旗の下までお集まりください。繰り返します。各家の代表者、もしくは決定権をお持ちの方はジーヌ家の旗の下までお越しくださいませ」
そう呼びかけた。
「マルセス様。ジーヌ家で動かせる者を集めてください。対策部を組織します」
ミシエリル様も相当焦っていたのね。一報をくれる余裕もなかったのでしょう。
「あ、ああ。十人くらいでよいだろうか?」
「構いません。八家に振り分けられたらよいので」
八家の者が集まる前にマルセス様のほうが早く、錬金の壺で立て札を作った。
「これを左右に四つずつ地面に刺してください。一人一家の担当になってもらいます」
「チェレミー嬢。来たぞ」
八家の代表者らしき者が複数人でやって来た。




