1009 友として 上
「……そ、それをわたしたちに話してもよかったのですか……?」
辺境公令嬢のサーリス様が恐る恐る尋ねてきた。
「これは、皆様方、いえ、次のお妃様となる方に関係してきます。仮にタリール様がわたしの従弟と婚約しなかった場合、タリール様は王家のお方と婚約する公算が高いでしょう。この中の誰かと親族となるのです。この意味がわかりますか?」
「王家の女性を纏めるのは王妃。頃合いによってはわたしたちの子供とタリール様の子供が結ばれるかもしれない」
侯爵令嬢のマリン様が口を開いた。
「聖女の子。いえ、聖女たるタリール様を御し、守りながら子の行く末も考えねばならない。さて。皆様方ならこれをどう解決致しますか?」
返って来たのは沈黙だった。
まあ、妃教育をされたとは言え、聖女の扱い方など教わっているわけでもなし。答えられるわけがないわ。
「陛下が上手い案を出してくれ、波風立たない配慮をしてくださるのなら問題はありません。ですけど、間違った答えを出したとき、戒めるのはこの中の誰かです。止められるかどうかで王国の未来が決まるのです」
王妃がどれだけ厳しい立場か、理解できない者はここにはいなかった。
「綺麗で子供を産めばよいというわけではありません。王城で日々起こる問題を片付けなければいけないのです。この中の誰かが、です」
もう一度、現実を突きつけた。
ほんと、お妃様は大変よね。わたしなら城を燃やして逃げているわ。
「だから、チェレミー様の従弟と婚約させるのが最良ということですか」
「そうですね。他にもっとよい答えがあるのならよいのでしょうけど、その答えを出せる者はおりません。この中に別の答えを持つ方はいらっしゃいますか?」
また沈黙が返って来た。
「カルディムなら王都から遠く、聖女の力に困ることもない。仮に聖女の力が必要となればカルディム家は従うしかありません。そのとき、カルディム家の者としてわたしも出るでしょう」
王城としても王宮としてもわたしに預けるのが一番いい答えなのだ。わたしはコルディーに忠誠を誓っているのだからね。その姿勢は王城にも王宮にも見せてきた。この身を削ってね。
「わたしは、この中から生まれる王妃に忠誠を誓います。王城の外から守りましょう。コルディーのために」
まだ誰かわからないので頭だけを下げた。
「頭を上げてください!」
「そうです!」
皆様方が慌てて駆け寄って来て頭を上げさせた。
「わたしたちはまだ何者でもありません。頭を下げるなどしてはいけません」
「対等でないにしてもわたしたちは友達です」
「そうですよ」
あら、いいわ。ハルハリーナ様の鍛えられたお胸にわたしの手が。その隙間に差し込みたいです!




