1005 お金は大事だよ~ 上
ゆっくり待とうとしたらお妃候補者たちがやって来たとの報が伝えられた。
「結構時間がかかったわね」
令嬢には旅はキツかったかしら? 馬車の中は快適なのに。
わたしも客の立場なので出迎えに行ったりはせず、お妃候補者と出会えたのは次の朝だった。
「皆様、ごきげんよう。無事到着できてなによりですわ」
ごきげんようとか初めて言ったわ。これ、この世界でも通じるものなのか?
「はい。途中、町に寄って買い物をしました」
だから遅かったのか。よく買い物なんて──あ、ミシエリル様か。そんなことさせそうなのは。
「それはなによりです。お金の使い方を知っておくことは大切ですから」
金銭感覚は大切だ。この世はお金で回っているのだからね。
「今度、売るほうもやってみましょうか? お菓子や小物を作って、ジーヌ公爵領の方々に売る。儲けは孤児院に寄付を致しましょう」
まだコルディーでは寄付の文化はない。カルディムでもやっと根づいてきたところだしね。
叔母様に孤児院への寄付を勧めたのはわたしだ。
本来なら孤児を出さない制度を創れって話だけど、そうもいかないのが現実。弱者救済なんて概念すらないんだからね。カルディム家を憎まないためにと説得させたんだからね。
まさか、それを婦人会でやるとは夢にも思わなかったけどね。叔母様、やり手だわ。
「なにか屋敷が騒がしかったようですけど、なにかありましたの?」
異常を嗅ぎ取ったのか、辺境伯令嬢のロンリア様が声を潜めて尋ねてきた。
「ええ。公爵様の胃に穴が空きそうなほどのことがありました」
お聞きになる覚悟がおありでしたらお話し致しますよ。
「あ、そ、そうでしたか。そんな折りに訪れてよかったのかしら?」
「大丈夫ですよ。どうにでもできる問題ですから。公爵様に聞かれたら怒られそうですけど」
クスクスと笑ったらなんか引かれてしまった。ヤダわ~。そこは笑うところですよ。
「──チェレミー嬢」
と、なにやらやつれたミシエリル様がやって来た。徹夜ですか?
「少しお話がしたいのだけれど」
「公爵様から聞いたのでは?」
昨日の夕方前に到着したんだからじっくり話し合えたのでは?
「聞いたわ。聞いたけど、受け入れられなかったのよ。チェレミー嬢から聞かせてちょうだい」
二度手間なんですけど。
とは言えない。相手は公爵夫人だからね。
「わかりました。朝食のあとにご説明させていただきます」
早くお妃候補者とキャッキャウフフしたいのに。さっさと終わらせるとしましょうか。
1、サーシャル・バンルクス 公爵令嬢
2、ロンリア・マルセア 辺境伯令嬢
3、マレカ・フォーレント 侯爵令嬢
4、レイラン・カルク 上位 伯爵令嬢
5、ナルール・ソント 上位 伯爵令嬢
6、マリン・ルークス 侯爵令嬢
7、サーリス・コンポルク 辺境公令嬢
8、ハルハリーナ・サイバリグ 騎士伯令嬢




