好きって言われても、困るんだよね。
今までの僕の作品とは全く毛色が違う作品です。書き方もだいぶ変えました。
「ねぇ、とおる~。きいてるの~?」
「さっきからぼーっとして、どうしたのだ」
「とおるかわいい」
そんな三人の女の子の声を聞いて、僕、辻 徹は高校に登校して朝礼までの時間に声の持ち主でありこの学校で三大美女である、大和 あかね、岡島 久美、野崎 咲、と話していたのを思い出す。
「あぁ、ごめんね。昨日ちょっと面白いゲームをしててね。少しうとうとしちゃってたかも」
「もぉ、ちゃんと寝ないとだめだよとおる」
「はは…」
あかねに怒られてしまったが、夜型人間の僕は苦笑いするしかない。
「ゲームか、ふむ少し興味があるな。徹、私に教えてもらえないだろうかか」
「げーむわたしとしよ」
「そうだねぇ「キーンコーンカーンコーン」あれ、もう時間?仕方ない、この話の続きはまたあとでね」
彼女達は残念そうにしていたが「また、あとで」など言って少し離れた自分達の席へと行く。
その後すぐに先生が来て軽い話が始まった。なのにもかかわらず後ろから小声で話しかけてくる人がいた。
「おい、ハーレム徹。結局お前は誰が本命なんだよ。可愛い幼馴染のあかねさんか?生徒会長の久美さんか?それともまさか!愛しの可愛いマイシスターか!」
この男は僕の友人、野崎 隼人。野崎 咲の義理の兄であり、妹思いのいいやつだ。
「ハーレムって隼人お前なぁ。本命とかなに訳わかんないこと言っているんだよ。僕はただ仲良く話しているだけじゃないか」
「それでも、女の子が周りに三人もいる貴様はハーレム野郎だぜコンチクショウ。っていうかマイシスターは解せぬが、三人ともお前のことがLOVEの意味で好きだぜありゃあ」
「そんな訳ないでしょ、変なことばかり言っていると咲ちゃんに隼人の『妹写真集』の隠し場所言っちゃうよ」
「すみませんでした、勘弁してください」
そんな会話をしていたら、いつの間にか先生の話も終わっていた。因みに、『妹写真集』は小さい頃からの咲ちゃんの写真を個人的なアルバムと隼人が持っているものである。家族アルバムだからさ、と隼人は言っていた。因みに母親黙認だと後日知った。
そして、授業を受けたり、隼人に咲ちゃんの可愛いポイントを耳にタコができるほど聞いたり、昼休みにまたあかね達と話したりと過ごし、今僕は一人で下校中である。
いつもは、隼人やあかね達と一緒に帰っているのだが今日はみんな用事があるということだった。
「しかし、あの三人が僕のことを好き、か」
ふと、隼人に言われた言葉を思い出す。
あの時、僕は正直にこう言いたくもあった。
「知ってるよ」
気づいていた。そんなの普通分かる。だって明らかに態度が違うから。だけど…
そんなことを考えていると、いつも皆帰る時とは違う、僕達の家に着いた。
「ただいま」
「おかえり、とおる」
扉を開けると一番会いたい人が、出迎えてくれた。
彼女の名前は、宮本 あゆ。五年前からずっと付き合っている僕の彼女だ。実は彼女はちょっとした有名人なので、付き合っていることは誰にも話さないようにしている。会っていることに関してはしっかりと人目等に注意しているし、彼女がいることすら誰にも話さない理由としては人の噂などを警戒しているのと、あかね達などに変に探られると厄介だからである。
「今日は何をする?昨日みたいに一緒にゲームする?それとも、またあれしちゃう?」
あゆはいたずらっ子みたいな顔をして、僕のことを見つめてくる。
「今日は、まず夜ご飯からでいい?結構おなかすいちゃって」
「いいよー。とおるくんのために、いつも通り腕によりをかけて作ります!」
あゆは胸を張って、そういうと台所へ向かっていく。
とてもかわいい。
僕は彼女のことが大好きだ、一番愛している。だから…
「あかね達が僕のことを好きって言われても、困るんだよね」
人気があれば、ちょいちょい設定変えて連載します。