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大学は広く、自分の世界は狭い③






 バスが体育館前に到着し、次々と人が降りていく。


 少し焦りながらリュックを背負い、最後の方にトボトボ降りる。


 それにしても太陽が眩しい。体育館に着く前に自分が溶けそうだった。


 大学側がバスの現状を知らないと思うと、なんともやりきれんが、バスがあるだけましだ。


 昔はバスなどなく、学生たちは講義の時間に遅れぬようダッシュで向かったらしい(風の(うわさ))。


 お昼の後に走る羽目になった当時の学生を思えば、自分は恵まれている。当時を思って合掌(がっしょう)


 ただし感情は別だ。大学許すまじ。


 日差しの下で目を細めながら歩く。重い足取りで体育館にたどり着いた。


 エントランスで体育館履きに履き替え、講義場所を確認する。


 スマホで大学のサイトを開いて見ると、『アリーナ(二階)』と表示された。


 先週、次はバスケをすると聞いた気がする。


 背負った荷物を預けに更衣室へ向かう。

 

 更衣室は地下にある。地下があることから察せられるように、大学同様この体育館も無駄にデカい。


 実際、地下を合わせて4階まであるし、室内プールやボクシング場もある。


 設備面も完備で、トレーニング器具などは豊富に揃えられている。


 学生のために良い環境を造ってきたのだろう。


 大学側の努力が(しの)ばれ、リスペクトが高まる。


 だがバスの(うら)みは深い。大学許すまじ。


 賞状が飾られた薄暗い廊下を通り、階段を下る。


 こんなところを節電するなら、節電するべき場所は他にも山ほどあると思う。


 階段を降りたところを左に行き、男子更衣室に入った。


 室内は電灯の白い灯りが隅々まで照らし、何処か非人間的な雰囲気が漂う。


 病棟(びょうとう)を連想させるここにはいつまで経っても慣れない。


 リュックから講義に必要なものを引っ張り出す。着替えはしない。


 急いで着替えるのが面倒で、家から動きやすい服を着て来るようにしている。


 ラノベや小説で嵩張(かさば)るリュックを、コインロッカーに押し込んだ。


 少し中身の本が不安な入れ方だったが、滅多(めった)なことにはならないだろう。


 ここで友人に待つ気はしなかったので、一足先に二階へと足を踏み出した。






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