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84:相談事というよりは、報告でした。

 「で、セレスはどうするんだい?」


 「私は、物件が決まり次第、宿舎を出ようと考えています。ただ・・・」


 「ただ?」


 「カイエルには悪いですが、条件を付けさせてもらっています。」


 「条件?」


 そこへ、カイエルとアンティエルもテラスへ入ってきた。アンティエルは人数分のカップを持ち、紅茶をカイエルが持ってきた。というよりは手伝わされたようだ。


 「お茶のお代わりを持ってきたのじゃ。固い話は後にして、妾の作ったケーキの感想を聞かせてほしいのぉ。」


 アンティエルの言葉により一同はまずはアンティエルお手製のケーキをいただくことになった。



 「美味しい!」


 セレスティアは一口食べて本当に驚いていた。話には聞いていたが、アンティエルお手製のケーキがお店に売っているものと謙遜ないほどの出来栄えであったからだ。


 「アンティエルさん、お店できるくらい美味しいです!」


感情があまり顔にでないセレスティアもケーキが美味しいことで、ジーンと舌鼓を打っていた。他の者も口々に美味しい美味しいと言いながら、ケーキにパク付いていた。


「そこまで褒めてもらるとこそばゆいのぉ。」


 アンティエルも美味しいと言ってもらえたことで、まんざらでもない様子であった。


 「そういえば、アンティエルさんはお城には行かないのですが?正直なところ、アンティエルさんが家事をするのが意外だったもので。」


 セレスティアは前から思っていた疑問を口にした。アンティエルはフェルディナント王子の番であるし、王もそのことは既に承知のことから、てっきり王宮で生活するものと思っていたからだ。


 「うーむ、あっちは面倒でのぉ。」


 「というと?」


 「あちらに行けば、致せり尽くせりなのじゃが、そうすると暇でのぉ。こちらではジェシー殿がいろいろと家事を教えてくれるから、やることも覚えることもたくさんあって、こちらの方が楽しいのじゃ!」


 と、今は幼い姿になっているアンティエルはどや顔で言った。


 「あーそれは何となくわかりますね。」


 セレスティアも理由を聞いて、納得したようであった。本来、王子の伴侶となれば公務もあるだろうが、いかせんアンティエルは『竜の祖』である竜である。国の政に関与することはしないと明言していることから、公務を行うことはない。となると、することがないのである。


 「妾の番も、何度が手料理を振舞ったが、大層喜んでくれてな、妾も満足じゃ。」


 アンティエルの嬉しそうな様子に、フェルディナント王子との付き合いが良好である様子が伺えた。


 「で、セレス、先程の続きだけど、条件っていうのはどういうことだい?」   

 

皆、ケーキも完食し終えたタイミングでユージィンは続きを促した。  


 「あぁ、それなんですけど、カイエルには5年の間は、ただの同居人でいてもらうようにお願いをしました。」


 「同居人?」


ユージィンもイシュタルも怪訝な顔をした。


 「はい、やはり規則のことも気にはなっていますが、けじめとしてその間は友人というか、同居人でいてもらうおうと思ったのです。それに・・・」


 セレスティアはカイエルをチラリとみたが、カイエルは優しい眼差しを向け、セレスティアに向けて頷いた。


 「私が番であることはわかっていますが、まだ私は受け入れきれていません。カイエルはそれも承知してくれて、焦らなくていいと、ゆっくりでいいと言ってくれたんです。」


 セレスティアは自身が番であることはわかったが、それですぐにカイエルを受け入れらえるかというのは、別問題であったのだ。カイエルもそれについては理解をしていたので、無理強いはしたくなかったし、竜騎士の規則の5年縛りもあることから、その間で自分がセレスティアに積極的にアプローチをすればいいと納得したのだ。


 「なるほどね。結論として、セレスは物件が見つかり次第寄宿舎は出るし、ハインツは5年後に寄宿舎を出るってことだね。ただし二人とも、恋人同士の件は・・・まぁセレスは気持ちの整理がついてからだけど、規則通り5年後と言うことでいいんだね?」


 「「はい。」」


 セレスティアもハインツも、話し合っていくら『竜の祖』の番であっても、規則は守ろうということになったのだ。


 「しかし、バレなきゃって思うけど、君たちは真面目なんだねぇ。」


 ユージィンが元も子もないことを言ってしまった為、セレスティアとハインツは大慌てで、抗議した。


 「お、叔父様!それは団長として、言ちゃダメな奴!」


 「団長・・・まさかそんなことを言う人だったなんて・・・」


 「ふふ、あらユージィンはこういう人よ?腹黒いところが魅力的なのよ?」


 「まーだけど、そんな真面目な部下を持った僕は幸せ者だよ、ね?」

 

 イシュタルは、ユージィンにもたれ掛かかり、ユージィンもイシュタルの腰に手を回して、二人は見つめ合っていた。


 「腹黒いのぉ・・・それで済めばいいんじゃがのう。」


 と、アンティエルはジト目でユージィンとイシュタルを見たが、ラーファイルは


 「とにかく、解決したんだったら、それでいいんじゃない?夕飯も食べていくでしょ?夕飯は僕頑張るから食べて行ってね!」



 こうして、和気あいあいとした雰囲気の中、セレスティアとハインツは今後の方向性が見えたのであった。


 これで一旦は、落ち着いた形になったことで、ユージィンは近々来るであろう火種に、こちらの地盤がある程度固まったことに少し安堵していた。


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