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70:カルベルス王国の滅亡~⑫~(過去編)

 カイエルは、捕えられた子供たちのいる地下牢に来た。地下牢は先ほどまでいた城の隣にある、西の塔の地下にあった。


 「カイエルお兄ちゃん!!」

 「神父さま無事だった?!」

 「カイエルにぃ助けに来てくれたの?!」

 「あれ・・・エレノアおねぇちゃん、血まみれ?なんで?」


 子供たちもカイエルがいつもと全く違う雰囲気であったこと。エレノアは眠っているようではあったが、血まみれであったことから、子供たちも理由はわからずじまいも、良からぬことが起こってしまったということは瞬時にわかった。


 「お前たちはここから逃げろ。今から全員俺が逃がしてやるから。」


 「え?カイエルのお兄ちゃんが助けてくれるの?」

 「逃がしてくれるの?」

 「おねちゃんは、大丈夫なの?」


 カイエルは一瞬だけ寂しそうな笑顔を子供たちに向けた。だが顔を上げ、神父に向き合った。


 「神父、この国から離れたところまでは連れていってやる。あとは自力で何とかしろ、いいな?」


 「わ、わかったけど、カイエル、君は一緒に来ないのか?」


 「俺はあくまで、エレノアが教会に通っていたから、着いて行ってただけだ。今となってはもう・・・」


 エレノアが亡くなった今、教会とはもう関係はないと、カイエルは暗に伝えた。


 「そうか・・・・わかった。」


 「エレノアの最後の言葉だからな。約束は守る。」


 そういうとカイエルは素手で、牢屋の鉄格子をこじ開けた。


 「わぁカイエルのおにいちゃんすごい!」

 「僕たち助かるんだ!」

 「わぁああん、神父様こわかったよぉ」


 子供たちは牢屋からでて、全員が泣きながら神父に駆け寄った。それを見たカイエルは何か呪文のようなものを唱えた。


 「!こ、これは?」

 「何これ?透明のボールだ!」

 「すごい!浮いてるよ!!」

 

 すると、神父と子供たちは何かの球体のようなものに、包まれた。それは不思議なことにフワフワと浮いていて、なお上昇しようとしていた。

 

 「この国から離れたら、その結界は消失する。あとは達者で暮らせよ。場所はちゃんと考えてある。次は治安のいい国だからな。」


 「おにいちゃんは一緒に来ないの?」

 「カイエルのお兄ちゃん!」


 子供たちの質問は当然であろう。カイエルの言葉は別れの文句であったから。


 「俺にはまだやることがあるんだよ。」


 神父は何となくカイエルが何をしようとしているのか、わかってしまった。

 

 「カイエル、ダメだ!そんなことをしては!」


 神父は必至で結界の内側から何度も叩いて、カイエルがこれからしようとしていることを止めなければと思ったが、成す術はなかった。


 「お前たちは、ある意味幸運だな。特等席で、この国の終わりを見られるのだから。」


 そう言うと、カイエルは微笑んだが、それは清々しいものではなく、禍々しいものに感じられた。


 「カイエル、待つんだ!!」


 だが、神父の叫びも空しく、カイエルが突然光を放った。

 そこには、強大な禍々しい姿の『竜の祖』黒竜のカイエルの本来の姿が顕現した。その竜は、黒金剛石を思わせるような、黒の鱗がびっしりと生えており、蝙蝠のような翼は背中から左右に2枚ずつ生えていた。禍々しくも太く緩いカーブを描いた長い角、金色の瞳に縦長の瞳孔、その手には鋭い爪持ち、長い尾があるその姿は正に竜であったのだ。


 神父たちは驚愕した。自分達は結界の包まれた玉で浮いており、目の前に竜となったカイエルがいたのだから。


 

 「え?竜?」

 「カイエルのお兄ちゃん、竜だったの?」

 「こ、怖い!」

 「お兄ちゃんが、竜になったー!」


 「カイエル・・・」

 

 『竜の祖』たるカイエルは、飛竜よりもさらに大きな姿だ。元の竜の姿になったことで、今しがたいた西の塔は一瞬で瓦礫と化した。鋭い竜の視線は咎めるように、そびえ立つ城に投げており、そして威嚇するように、


 『ガゥウウウウウウウ!!!』


 カイエルは咆哮した


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