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67:カルベルス王国の滅亡~⑨~(過去編)

 「え・・・どういうことですか?」


 「ん?理解できなかったのか?ならば今一度申してやろう。」


 エレノアは今聞いたことが聞き違いであってほしいと願っていた。

今は、ロレンシオ王から呼び出されて、王の執務室に来ていた。


 「お前から、カイエル殿に頼んでほしいと言っているんだよ。ペルニツァ王国を制圧してほしいとな。なにあの『竜の祖』ならば容易いであろう?」


 エレノアはショックだった。やはり聞き間違えなどではなかったからだ。


 「そ・・・そんなこと、できるはずがないではありませんか!しかもどうしてそんなことをカイエルにやらせようとするのです!」


 エレノアは珍しく声を荒げ、いや、声を荒げらずにはいられなかった。カイエルをそんなことに利用しようとなどと。


 「カイエル殿なら、造作もないことであろう?何せ言い伝えでは、『竜の祖』は国ごと亡ぼせるほどの力もあると聞き及んでいるからな。実際この間も触れてもいない状況で竜の爪痕が残っていたのだ。それだけで力の片鱗が見えるというもの。その力をここぞという時に使わなくてどうする?宝の持ち腐れであろう?」


 ロレンシオ王はにやけ顔で、しれっと言い放つが実はエレノアが反対することは見越していた。


 「な・・・ペルニツァ王国と揉めているのではありませんか!やはり私の嫁入りを無くしてしまったから、約束反故として、向こうがお怒りなんじゃありませんか?」


 エレノアは、戦争の原因になってしまったことに責任を感じ、珍しく怒気を含め父親であるロレンシオ王に言い返していた。だが、ロレンシオ王はしたり顔で、


 「んー?少し違うな?」


 「え?」


 「お前は自分にどれほどの価値があると思っているのだ?」


 「え・・・?」


 ロレンシオ王の顔から笑みが消えた。


 「何を思い上がっておる!」


 ロレンシオ王は執務室のデスクを拳でバンッと叩いた。その音にエレノアはビクッと驚いた。


 「お前は、所詮不義の子だ。一応わしの血を引いてはいるから王女としているだけだ。だが、それでも王女あることから、ペルニツァ王国にユリアンヌの代わりとしたのにも関わらず、ペルニツァ王国は認めなかったんだよ!お前の事をな!」


 「で・・・では、」


 「お前が嫁ごうが嫁ぐまいか、ペルニツァ王国とは既に袂が割れていたのだ!」


 ペルニツァ王国は、元々ユリアンヌ王女をという話でずっと進めていた縁談話を、急遽ユリアンヌ王女の我儘と娘に甘いロレンシオ王のせいで、約束を反故にされた。それを代わりにと嫁がせようとした娘は、不義の子と言われているエレノアであることが、さらにペルニツァ王国の怒りを買ってしまったのだ。補足をすれば、ペルニツァ王国はエレノア自身の境遇には同情はしているが、王女しては身分の低いエレノアを宛がおうとしたことが、ペルニツァ王国は国としてのプライドから容易に受け入れられない案件だったのである。


 「・・・だから、だから武力行使をしようというのですか?」


 エレノアは自分では役不足と言われたことは、ペルニツァ王国がそう受け取るのは無理はないと理解することはできたので、さほどショックはなかった。それよりも自国の、姉とそれを通そうとする父の我儘っぷりに憤りを隠すことはできなかった。


 「ふん、そういうことだ。お前で妥協しないのであれば、実力行使しかないだろう?」


 「と、お父様、いえ陛下!だからといって、その諍いにカイエルを利用しようなどと、絶対に嫌です!お断りさせていただきます!」


 エレノアは腹が立っていた。どうしてそんなことにカイエルが巻き込まれなければいけないのかと。とてもじゃないが、許容できる内容ではなかった。だが、ロレンシオ王はエレノアが受け入れないことは既に想定済みであったのだ。


 「ふふ、わざわざ教会にまで通って、貧乏な教会に身寄りのない孤児共に施しをしていたお前のことだ。」


 こんな時に、いきなり教会の話を振ってきたロレンシオ王にエレノアは警戒した。


 「まさか・・・」


 エレノアは胸騒ぎがした。いや、そうであってほしくないと願っていた。ロレンシオ王はそんなエレノアの様子を見て、ニヤニヤしていた。


 「ふふ、なかなか敏い子だ。細かい説明が不要なのがいい。エレノア、お前の返事一つだ。お前の返事一つで、教会の神父や孤児たちがどうなるか・・・皆まで言わずともわかるな?」


 エレノアは返事などしたくはなかった。わかりきっていた。受け入れたくないからだ。


 「カイエル殿に『竜の祖』にエレノア、お前からペルニツァ王国を制圧せよ!と伝えるのだ!」


 「!」


 エレノアは真っ青になっていた。こんな理不尽なことに、カイエルも教会にいた神父や子供たちを巻き込んでしまっていることに、申し訳ない気持ちと、自分と出会わければこんなことにならなかったのにと後悔の念に駆られていた。(ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!)エレノアはひたすら心の中で謝罪をしていた。


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