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41:ラーファイルの特殊事情~前編~

 「こうなったからには、話さない訳にはいかないだろうね。」


 という、ユージィンの言葉により、急遽ユージィン邸に集まることになった。とは言ってもまだ仕事が残っている。かといってこのまま放っておくこともできないので、比較的融通の利くセレスティアが先にカイエルと共にラーファイルを連れていくことになったのだが、ラーファイルはごねてしまった。


 「なんで?せっかく会えた番を引き離そうとする気?だったら許さないぞ!」


 と、物騒なことを言い始めたのだが、そこはユージィンが大人の対応した。


 「えっと、ラーファイルだったね。話を聞いてくれるかな?」


 ラーファイルはハインツから離れようとせず、むしろぎゅっとしがみついた。


 「今はね、ハインツはここで働いているんだよ。だから急に仕事を抜け出すことになったら、ハインツが困るんだよ?君は『番』を困らせてもいいのかい?」


 「それは・・・」


 ラーファイルもカイエルもだが、『番』が困るというワードには弱いのだ。ハインツは訳が分からなかったが、自分も関係していることは状況的に把握していた。


 「団長、この件はあとでご説明いただけるんですね?」


 「あぁそのつもりだよ。」


 「わかりました。」


 そう言うと、ハインツはラーファイルと向き合った。

 

 「えーとラーファイルだったよね?」


 「『番』が俺の名前を呼んでくれてる・・尊い・・・」


 ラーファイルはうっとりと、ハインツを見ていたが、


 「ごめんね。僕はまだ仕事があるんだ。だから、セレスティアと一緒に団長の屋敷で待っていてほしい。」


 「え・・・せっかく会えたのに離れるの?」


 ラーファイルの目はうるうるしていた。一瞬ハインツはそれに絆されそうになるも、


 「大丈夫、仕事が終わったら、会えるからね。だから、今はとにかく団長とセレスティアのいう事を聞いてくれるかな?」

 

 ハインツには小さい子に諭すように、ラーファイルに言い聞かせた。


 「わかった・・・絶対だよ。絶対に来てね!」


 「大丈夫だよ。」


 ハインツは安心させるために優し気に応えた。セレスティアはその様子をみて、ハインツもこれから大変だなと同情した。



 






 「わぁ~イシュタルの匂いがするねぇ~」


 ラーファイルはユージィン邸に着くなり、クンクンと匂いを嗅いでいた。セレスティアはまるで子供のようだなっと思ったが、あれ『竜の祖』って何千年前からいるはずなのに、なんで子供っぽいんだろ?と一瞬疑問に思ったものの、後で聞けばわかるかもしれないと、今は考えるのをやめた。


 「ここは、団長の・・・ユージィン叔父様の家だからいろいろと勝手に触らないで、大人しくして座っててね。取りあえず飲み物を用意してくるから待ってて。カイエル見ておいてね。」 


 「え?俺が?!」


 カイエルはかなり嫌そうな反応だった。


 「お兄さんなんでしょ?それに何かお話ししたら記憶も戻るかもしれないんだから、ね?」


 「・・・ちっ、わかったよ。」


 カイエルは悪態もつくも、従うことにした。しかしお兄さんというよりは、弟、下手をすれば妹に見えるなとセレスティアは思っていたが、あえて口には出さなかった。

 


 「カイエル、俺の事覚えてないんだよね?」


 「・・・不本意だが、そうだな。」


 「くふふふ、君記憶は思い出せてはいないようだけど、性格は変わってないね。」


 ラーファイルはカイエルが変わっていないことに懐かしさを感じているようであった。


 「っるせーな。別に不自由してないからいいんだよ!」


 「でも、番は見つけたんだね。良かったよ。」


 ラーファイルはセレスティアが去っていった方向を見て、安堵した表情であった。


 「てか、あんたの番はあいつで間違いないのか?」


 カイエルもセレスティアと同じ疑問を持っていた。


 「何言ってんのさ!番を間違える訳ないだろ!それはカイエルも同じだろ?」


 「あ、当たり前だろ!」


 「だろう?俺も久しぶりに会うことができて歓喜しているんだ!」


 そう話すラーファイルは本当に嬉しそうだった。


 「久しぶりってどういう意味だ?」


 カイエルは久しぶりという聞き捨てならない言葉に反応した。 


 「だって。カイエルだって、あのやらかしから随分と経ってるだろ?」


 「俺が何したってんだよ!」


 カイエルが悪態を付きながらも聞き返すと、ラーファイルは思い出した。


 「ごめん。覚えてないんだったね。」


 ラーファイルは申し訳なさそうな顔をしていた。


 「くそっ!」

 

 カイエルは自分が何かをしたらしいが、全然覚えてないだけになんとも歯がゆい思いであった。そこへセレスティアはお茶を持ってきた。


 「お待たせ。叔父さまもハインツももう少ししたら来ると思うから。今お茶を入れるわね。」


 




 「うん、美味しいね!」


 ラーファイルはセレスティアの入れたお茶を大変喜んでいた。


 「叔父様には敵わないけどね。叔父様のお茶はもっと美味しいから、楽しみにしてて。」


 「そうなんだ!楽しみ!」


 ラーファイルは嬉しそうに笑うが、本当に女の子ようだなとセレスティアは苦笑いになった。


 「あ、帰ってきたぞ。」「帰ってきたね。」


 カイエルもラーファイルもほぼ同時に気配がわかったようだ。ユージィンやイール、ハインツと、メンツが揃ったところで、今まで自分も敢えて触れていなかったこともわかるのかもしれないと、セレスティアは思うのであった。


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