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今日の悪夢 令和ver  作者: 遠野しん
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2019年5月18日 赤い夢



令和元年、5月18日


体に大きな揺れを感じて、びっくりして目が覚めた。

目が覚めた、と言う表現はいささか間違いなのは仕方がない。

夢の中にいるのだから。

夢の中で目が覚めた、という表現が正しいのだろう。


目を見開いて周りを見渡した。

赤かった。

世界が異様に赤い。

全ての物が、絵の具を塗りたくったかのように赤い。

まだ乾いていないのか、てらてら光って見える。

最初に気になったのが色。


次に気になったのが、

自分の部屋ではなかった。

学校の教室。

記憶を辿ると、多分高校の頃の教室だ。

ロッカーや、机の配置からそう判断できた。

ただし、ドアは見当たらなかった。

密室である。


教室の後ろの空きスペースに布団が敷いてあり、そこに寝ていたようだ。

もちろん、その布団も真っ赤だった。

赤以外にある色は、影の部分。

黒い。

赤と、多少の黒で構成された世界。


赤い世界というだけで脳がおかしくなりそうだった。

しばらく布団の上から動かずにあたりを見回す。

こぽ、こぽ…

という粘度の高そうな水をかき分けて、空気が持ち上がっていく時のような音が聞こえてきた。

どこから聞こえてくるのかわからない。

近いような、遠いような…

こぽこぽこぽ…

音は止まらない。

教室の後ろの壁を見た。

天井と壁の隙間から、粘度の高そうな、ドロっとした赤いものが溢れてきている。

PRGで言えばスライムとかそういう感じだ。

ただただ、ゆっくりと、溢れてくる。

今のところ害はなさそうだ。

しばらくこぽこぽ溢れてくる赤い物体を見続けた。


この悪夢は何なのだろうか…

と考えた瞬間、


バァン!!!


っと教室のドアが開いた。

さっきまでドアなんか無かった。

引き戸のドアが発生して、それが開いたらしい。

その音にびっくりして、体を縮こませた。

夢の中であっても性格は変わらない。

ビビりな性格だけは、どんなに悪夢を体験しても治らない。


そのドアの先に階段が見える。

昔住んでいたマンションの階段だ。

子供の頃遊んでいて、足を踏み外して転げ落ちたことがある。

その階段だった。


これは誘われているのか?

一方通行的な夢か?

まぁ、行かなきゃ起きられないだろうから、行くか…


そう思ってドアに近づく。

異変はない。

教室から一歩出る。

まだ異変はない。

階段を降りようとした時、

ふっと世界が暗くなったように感じた。

振り向くと、教室が消えていてただの壁になってた。

「後戻りできない系」の悪夢か…

なら進むしかない。


階段をゆっくり降りて行く。

建物三階分くらい降りたところで上を確認する。

赤い赤い土のような壁になってる。

やっぱり上に戻れない。

触ってみても、ザラザラとした土壁のような感触。


仕方なく階段を降りていく。

建物6階分は降りた。

階段が終わって、洞窟のような場所に出た。

洞窟は一度鍾乳洞に入ったことがあるけど、そこでは無さそうだ。

記憶にない洞窟。

高さは身長よりやや高い2メートル。

幅は1メートルより少し広い感じ。

それが延々続いているように見える。


世界が赤いから距離感が掴めない。

ものすごく遠くまで続いているようにも見えるし、

実は十数メートルしか続いていないかもしれない。

目で見るだけは判断できない。

不思議な空間だった。


歩けば歩くほど、

進めば進むほど、

同じように後ろの壁も追ってくる。


だからどのくらい進んだのか分からなくなるくらいまで歩いてみた。

まだ夢から覚めないし、覚め方もわからない。

敵がいるわけじゃなさそうだし、

何かに追われているわけでもない。

精神的に来る色責め。

今回の悪夢は色責め悪夢か?


後戻りできない系の悪夢に、色が入り込んだ感じ。


悪夢をたくさん見る人からみたら、なんて事のない悪夢。

それが今日の夢だ。


なんて事のない悪夢。

だと思った。


まだ歩みを止めずに進み続けた。

トトロをみたことがある人は、一度でもいいからああいう秘密基地が欲しい!

と思うだろう。

そう、大人が一人立って手を伸ばしも天井に手が届かないくらいの、そこそこ広く、木に囲まれた空間に出た。

この場所は嫌いじゃない。

そう思った。

後ろの壁を確認しようと、振り向いた。


身長が自分の半分くらいの、小人?と言って良いのだろうか…

リトルグレイのような目の大きい、細く、体が真っ赤な「人型の何か」が居た。

手に赤いアイスピックのような針状の武器を持ってる。

いきなりすぎて反応が遅れた。

足にアイスピックのような武器が刺さった。

とたんに激痛。

膝から崩れ落ちた。


気づいたらその得体の知れない何かに囲まれている。

それらは手に武器を持ち、

一斉に投げてきた。


体のあちこちに刺さる。

その度に激痛。

痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、いたい…

逃げ回ろうにも体に刺さったアイスピックのような武器で筋肉が固定されているのか動けない。


転げ回っていると、一匹が投げた武器が左目に刺さった。

その瞬間、目の痛みと脳にまで達したのか、とてつもない激痛が頭に走る。


やばい、これは「やばい痛みだ!」と急いで夢から醒めようとする、

が無理…


その間も身体中にどんどん刺さり続ける武器。

見えていた右目にも刺さってしまい、夢の中で何も見えなくなった。

そして、そのまま自分の意識がなくなっていくのを感じた。


あぁ、これで起きれる…

そう思った瞬間、頭に激痛を感じ、


本当に目が覚めた。


案の定、群発生頭痛が発症して、起きてからも地獄の苦しみを味わった。




以降、同じ夢はまだ見ていない。


トトロの森は行ってみたい場所の一つです。

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