第11話 始まってしまった恋を失うということ
京子の病院から、急いでうちまで駆け戻った。傘を差していても小雨の中を小走りに走っていたので履いていたズボンは、かなり濡れてしまった。
家に帰ってすぐに服を着替えたので、風邪は引かずに済んだ。
京子にもう見舞いに来るなといわれ、二週間ほど経った日曜の午後。
うちに電話があった。母さんが電話に出てすぐに、
「祐介、急ぐわよ」
「?」
「京子ちゃんの病院へ急ぐのよ」
もちろんその時は嫌な予感しかしなかった。
母さんと二人、流しのタクシーを家の前で見つけたのですぐに乗り込んで病院に向かった。
エレベーターで10階の病室に急いだが、京子はICUに移されていた。ナースステーションでICUの場所を聞いて5階にあったICUに移動する。
5階でキョロキョロしていたら、すぐにおばさんが見つけてくれて、俺たちはICUに入ることができた。部屋の中には看護師さんと、物々しいいろいろな器械が置かれていて、京子にはいろいろなチューブやコードが繋がっていた。京子自身は眠っているのか目を閉じている。
「祐介くん、京子の顔を最期に見てやって」
涙声のおばさんに言われ、ベッドの上の京子をみる。
二週間前と比べてもさらにやつれ、手首の骨が浮き出ていた。
「数日前は寝言で、祐介くんのこと呼んでいたけど、もう寝言もいわなくなったわ」
ぼーと京子を見ていたら、看護師さんが、
「先生がもうすぐいらっしゃいますから、みなさん病室から出ていただけますか?」
それで、俺と母さんとおばさんは病室から出ていって、5階の休憩室のようなところの椅子に腰を掛けてそこの白い壁をじっと眺めていた。京子のお父さんはいま病院に向かっているところだそうだ。
そのうち、おばさんが看護師さんに呼ばれ、ICUの中に入って行った。しばらくして緑の服を着た男性の看護師さん?二人がストレッチャーを押して、ICUの中に入って行った。
「祐介、覚悟をしてた方がいいわよ」
「分かってる」
間を置かず、白い布がかぶされたストレッチャーが先ほどの緑の服を着た男性の看護師さんたちによって運び出され、それにおばさんが泣きながら付き添って行った。
俺と母さんはそのままうちに帰った。
覚悟は二週間前にできていたのだろう。俺は涙を流すことなく京子との別れを実感できた。
京子が亡くなって、一月、梅雨も明けて暑い日が続き、学校は夏休みに入った。
夏休みも終わり近くになり、俺は母さんに無理を言って犬を買ってもらった。生後二カ月のトイマンチャスターテリアの雌犬で名前は、「ニコ」。やたらと元気で飛び跳ねていつも尻尾をふっている。
(完)
デビュー?一周年記念として初めて書いた恋愛もの、しかも悲恋物の本作ですが、いかがでしたでしょうか?
病院の描写などは適当なのでご容赦ください。
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