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第1話 幼馴染(おさななじみ)

恋愛ものを書いて見たくなったのでちょっとだけ。


 俺の名前は松田祐介まつだゆうすけ。隣の家に住む花沢京子はなざわきょうことは幼馴染おさななじみという奴だ。


 この花沢京子、容姿端麗ようしたんれい頭脳明晰ずのうめいせきを絵にかいたような女だ。しかも外面そとづらはメチャクチャいいので、学校で教師からの信頼も厚く、三年生になる次の四月からは生徒会長なんかも務めることになっている。だから、同じことを言っても花沢京子の言ったことは全て信用されるが、その逆を俺が言おうものなら俺は組八分くみはちぶにされてしまう。


 しかし、この女、俺に対してはなぜか女王さまなのだ。


 勝手にうちに上がり込んでは、居間いまのソファーに座って、脇の下まで伸ばした自慢じまん黒髪くろかみを片側に寄せて、反対側の肩を軽くたたく。俺はだまって後ろに回ってカタモミだ。京子の自慢じまんの黒髪は、小6のころショートの髪を延ばし始めたもので、手入れに随分ずいぶん手間てまをかけているといつも言っている。いうだけあって、男の俺から見ても見事なつやのある黒髪だ。


 のどが渇いたというので水を持って来てやったら、


「これ何? 水道水じゃない。こんなもの飲めるわけないでしょ。ミネラルウォーターがないならジュースでも良いわ」


 まさに、パンがなければケーキを食べればいいじゃない。どこかのマリーさんのセリフだ。


 そのマリーさんは、出かけていたうちの母親が帰ってくると、にっこり笑って、


ゆうくんのお母さん、お邪魔じゃましてま~す」


「あら、京子ちゃん、ゆっくりしてってね」


 こうだ。そして、おふくろが台所に引っ込むと、小声で、


「何してんのよ、のどかわいたから早くジュースか何か持ってきなさいよ」


 もう、だれか、こいつを何とかしてくれよ。



 ジュースがたまたま冷蔵庫の中にあったから良かったものの、無かったら、もっと機嫌きげんが悪くなったはずだ。


祐介ゆうすけ、あんたの名前、松〇優作(ゆうさく)によく似てるのにどうしてそんなに田舎顔いなかがおなの?」


 知らんがな。松〇優作って誰よ。


「松〇優作って誰だよ?」


「あら、松〇優作知らないの? 1980年代のイケメンスターよ」


「なんでおまえがそんなの知ってんだよ?」


「お前じゃないでしょ。花沢はなざわさんでしょ。祐介ゆうすけにおまえって言われたくないわ」


「わかったよ、それで何で花沢さんがそんな昔の俳優はいゆうのこと知ってんだよ?」


「きのうテレビに出てたの。『探偵〇語』ってやってたでしょ。あの最後のシーンすごかったー」


「そりゃあ良かったな」


「なによ。あんたみたいなお子さまには分かんないでしょうよ」


「はいはい」


「返事は一度でいいの!」


 ま、いつもこんな感じだ。



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