表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

6. オタクとチャラ男と私

 間地緒 拓朗(まじお たくろう)は、心の底から、悲しみ、反省していた。

 そして、ミワちゃん似バーチャルアイドルのポスターとフィギュアに、土下座して謝罪するという、どこからどう見ても危ない行動を繰り返していた。


「ぉぉぉぉおんっ…… ごめんよう、ボクのミワたんたち……っ! 本物の方が良いと思っちゃうなんて、ボクはどうかしてるんだ……! うううっ!」


 しかし、そんな彼の視界の隅で、ピョンピョンと跳びはねるモノたちがいた。

 もちろんそれは、未来miniたちによるmini文字である……!

 ――― ちなみにmini文字とは、miniたちがマスゲームのように並び文字を形成することによる、人間との意志疎通手段のことだ。―――


『ソ レ デ イ イ』


「なんだって……?」


 涙を止め、虫たちの動きに注目する間地緒。

 その目の前で、miniたちは次々と文字を作っていく……!


『ダ イ ジ ョ ウ ブ』


『オ マ エ ハ イ イ ヤ ツ』


「そ、そうかな……?」


『セ イ ジ ツ』


『ヤ サ シ イ』


『キ ン ニ ク』


「ええ……と……? ま、まあ…… 言われてみれば、そんな気も、するような……?」


 照れと誉められた嬉しさで、間地緒の表情は、少し明るくなったようだ。


 あと、ひと押しである。


 初代皇帝たちの指示により、未来miniたちは張り切って、どんどんと文字を組んでいった。


『ジ シ ン ヲ モ テ !』


『ノ ゾ ミ ハ ア ル!』


『マ ッ ス ル デ ハ ッ ス ル !』


 ………………

 ………………

 ……………… ついに。


「よし、なんだか元気が出てきたぞ!」


 間地緒 拓朗(まじお たくろう)は、立ち上がった!


『ソ ノ イ キ ダ』


『サ ア 、 コ ク ル ン ダ』


『H u r r y  U p !』


 miniたちの激励に、「うん!」 と力強くうなずき、駆け出す間地緒。


 ――― 目指すは、憧れのミワちゃん宅である。




 ¤*≅¶©*@«º*≅¿≡<↑£




「ミワさん……? それにあれは……!」


 マッスル効果で息ひとつ切らさずに、彼女の家まで駆けつけた間地緒 拓朗(まじお たくろう)は、我が目を疑った。


 その玄関前にいたのは、久々に汚部屋から出てきたミワちゃん。

 そして、かの腹黒生徒会長 兼 ファッションモデル、池馬(イケメ)Chara(チャーラ)Haragley(ハラグレイ)


 ……彼は、当然の如くに、壁ドン(あご)クイでミワちゃんに迫っていたのである……!


「俺、間違ってたよ…… 君が、金と顔目当てとか、そんなハズないのに…… 君がいなくなってから、やっと、それに気付いたんだ……!」


「い、池馬くん……」


 ミワちゃんも、満更(まんざら)でも無さそうだ。

 頬を赤らめ、ウットリと池馬を見つめている。


「信じてた…… いつか、わかってくれるって……!」


「信じてくれたのか……! 俺みたいなヤツを……! ありがとう……!」


「池馬くん……!」


「ミワちゃん……!」


 そして、池馬の尖った口がミワちゃんの唇にゆっくりと近づき……


<<とりあえず、ストーップ!!>>


 寸前で、止まった。


 ©*@«(ピンハネ)º*≅¿(ポンチコ)が、タイムマシンに乗り、時間を止めたのである。


<よく、こんな機能まで搭載していたな、º*≅¿(ポンチコ)くん>


<いえいえ、ちょっとした趣味ですよ>


<いやいや、さすがはminiイチの科学者>


<いえいえ……> <いやいや……>


 仲良く忖度合戦しつつ、ふたりは意識を集中して池馬の思念を読む。


 もし、本気で彼が反省しているなら、作戦を練り直さねばならなくなるからだ。


 ――― が。


<……真っ黒だな> <ですね>


 どうやら、池馬(イケメ)は美少女ハーレム作りにも飽き、今度は純粋なミワちゃんを再び騙して、信頼させた所でモデル仲間に売り飛ばし、恥辱の果てに裏DVDを流通させ、ほとぼりが冷めた頃にSNSで裏DVDの噂を流し、徹底的に嘲笑って遊んでやろうと……


 そんなことを、考えているらしい。


<失血死させますか?>


 º*≅¿(ポンチコ)の問いに、いや、と首を振る©*@«(ピンハネ)


<それでは、第2の池馬(イケメ)が現れた時に対応できまい>


<なるほど、では……?>


<良い考えがある>


<さすがは©*@«(ピンハネ)様>


<いやいや……> <いえいえ……> 




 ©*@«(ピンハネ)は、次々と未来miniたちに指示を出していった。


 ――― しばらくして。


<<<用意できました!>>>


<<<スタンバイOKです!>>>


 未来miniたちの合図が揃ったところで。


 ©*@«(ピンハネ)º*≅¿(ポンチコ)は、腰をかばいつつ小さくジャンプし、号令を駆けたのだった。


<<作 戦 開 始 …… !>>

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ここは間地緒君の男の見せ所?
[一言] 池馬最低だな!!www 陰湿過ぎるでしょwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ