9話
「ありがとう、誘ってくれて」
「私が行きたかっただけだよ」
私達がファストフード店を出る時には、外は暗くなり、建物の中の明かりが漏れ出ていた。
「・・・・・・咲菜」
「何?」
「頑張ろうね!」
未来は親指を立て、眩しい笑顔を見せる。やっぱり、この可愛い笑顔が大好きだ。そして、手を振って家へと帰って行く。その逞しい後姿に惚れかけた。
照りつける太陽の下、朝から軽快な足取りで向かった遊園地は休日ということもあり、家族連れやカップルで賑わいを見せている。私達はいつも着ている制服ではなく、私服を着ていたこともあり、各々が新鮮な一面を披露した。
七崎君は七分丈のパンツを履き、シャツを羽織り、爽やかな印象。
それに比べ恵一はグレーの緩いパーカーを着ていて、少し地味だ。
未来はスラっとした長い脚が綺麗に見えるスキニージーンズを履いていて、大人な印象。カッコ良さの中に可愛らしさも秘めている。立ち姿はまるでファッション雑誌に載っているモデルのようで、隣に並ぶのに気が引ける。
私はショート丈のパンツを履き、白のロングカーディガンを羽織っている。これは未来と一緒に買いに行き、一緒に選んだものだ。自分では選ばないような服だが、気に入っている。
「やっぱり、その服、咲菜に似合ってるよ」
「そうかな?ありがとう!」
未来に褒められ、照れ笑いを浮かべる。
私達はまずジェットコースターに並んだ。このジェットコースターはこの遊園地の中に数あるジェットコースターの中でも一番人気で行列が出来ていた。並んでいる待ち時間はいつもの下校時のように私と未来、恵一と七崎君で喋っている時間もあったが、四人で喋る時間の方がはるかに多い。その理由は未来が七崎君にも話を振り、四人で話をする空気をさり気なく作っていたからだ。
恵一は人の多い所が好きじゃなかったが、あからさまに嫌な顔をしていた訳ではなかった。半ば無理矢理連れて来させてこの状況に少なからず不安を抱いていたが、大丈夫そうだ。
四人で喋っているとあっと言う間に私達の順番が回って来た。その時、唐突に未来が七崎君の腕を掴む。
「源、一緒に乗ろう!」
「え?おう!いいぜ!」
七崎君は少し戸惑っていたが、未来に付いて、並んで座る。未来のその行動によって、私と恵一は流れるように未来達が座った席の後ろに並んで座った。
安全バーが下ろされると、スタッフのかけ声でジェットコースターが動き出し、頂上に向かって昇っていく。体が傾き、下を見ると、そんなに絶叫マシーンが苦手な訳ではなかったが、その高さに緊張が走った。恵一は表情を変えることなく、周りを見渡している。
頂上に着く直前、未来が後ろに顔を向けた。
「戸倉~」
「ん?」
「咲菜さ~、ジェットコースター苦手なんだって」
「・・・・・・そうなんだ」
「そう、そう。だから・・・・・・手」
「手?」
「そう、手!繋いでくれないかな~」
えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!