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PRECIOUSGIRLS~瀬川咲菜MEMORY~  作者: 近江玲也
第1部
13/25

13話

薄汚れた鉄の扉からお化け屋敷の中へと入る。未来は七崎君の袖を掴み、斜め後ろで震えていて、私は恵一の隣にいた。


「源、離れないでよ」


「うん、分かったよ」


七崎君は袖を掴んでいた未来の手を掴み、先に歩いていく。暗く不気味な雰囲気、肌に感じるどこから来てるか分からない冷たい風、想像以上のクオリティだ。


 その時、生首が上から降って来た。


「キャァァァァァ」


未来と私は大きな悲鳴を上げた。


「源、もう無理・・・・・・。早く出よう」


未来は今にも泣きだしてしまいそうな涙声で懇願し、七崎君にの腕にしがみ付く。


「分かった、分かった。じゃあ、早く行こ」


 七崎君と未来が先へ進む中、私は腰が抜け、尻餅をついていた。


「咲菜、こういうのダメだったっけ?」


声をかけて来たのは恵一だ。恵一の行動に驚きながらも差し伸べられた手を握り、再び、恵一の体温を感じると不思議と気持ちも落ち着いていく。それと共に、この場に似つかわしくなくない感情が心を占める。


恵一はお化け屋敷を出るまで私の手を握り、淡々とお化け屋敷を進んで行く。そのおかげで最後の方は勿論怖かったが、楽しさも感じた。


 私と恵一がお化け屋敷を出ると、未来と七崎君はベンチに座って待っていた。未来はとても酷い顔で七崎君にもたれかかっている。


「酷い目にあった・・・・・・・」


未来は大きな溜息を吐く。


「ごめん、ごめん。次は未来が行きたいところ行こ!」


「うん・・・・・・」


未来は私達がいることなど頭にないのか、甘えたモード全開で、七崎君の腕を胸まで引き寄せ、身体を密着させている。


「行きたいところある?」


「・・・・・・・ジェットコースター」


「うん、分かったよ。じゃあ、ジェットコースター行こっか!」


「うん」


未来は少し元気になり、七崎君に上目遣いで笑顔を見せる。


「ケイ達はどうする?」


「ちょっと、休憩して適当に遊んでるよ」


「わかった!どう、未來。行ける?」


「うん!」


「よしっ!じゃあ、俺達は行きますか!」


未来は七崎君と腕を組みながら肩には頭をもたれかけて、ジェットコースターに向かって行く。私はその姿を羨ましく見送った。


 未来と七崎君の姿が見えなくなると、私と恵一は並んでベンチに座る。


「未来、すごく甘えてたね」


「早乙女ってあんな人なの?」


「私も見るのは初めてだけど、話を聞いてる限り、七崎君の前だとあんな感じだよ」


「ふーん」


私もあんな風に恵一と過ごせたらと、出来もしない妄想がちらつく。


 「これからどうする?」


恵一のこの問いに対する答えは一つだ。これはずっと行きたかったアトラクションの一つだったが、それを提案して良いものか決めあぐねていた。


「俺はどこでも良いよ」


欠伸をしながら言った、気の抜けた恵一の言葉は私の背中を押す。


「じゃ、じゃあさ、観覧車乗らない?」


「観覧車?」


「そう、久し振りに」


「・・・・・・良いよ。じゃあ、並ぼう」


恵一が立ち上がり、観覧車の方に行くのを浮足立ちながら追いかけた。

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