1 はじまり
はじめての投稿です!操作が全然わからず、苦戦中…頑張って更新していきます!
『アテナ…大好きよ…精一杯生きて…』
ーーーーーーーーーーーーー
「、はぁっ、はぁ、」
「いたぞっ!あそこだ!」
荒く吐き出される息は、止まらない。そんな中私は一生懸命走っていた。
追いつかれたら殺される。早く逃げなきゃはやくはやく。
ただ逃げることしか考えられなくて。逃げるためにどうすればいいのかも自分がどこに向かっているのかもわからない。今私がわかることは自分が木のたくさんある森の中を走っているということだけ。
「すぐに捕まえろ!」
後ろからまた声が聞こえた。こわいこわい女の人の声。それに答えたのはたくさんの女の子の声。
その声はさっきよりも近いのがわかる。
どうしよう…もう…疲れた…
裸足で森の中を走ったせいで、足の裏はすごくいたい。泣いちゃうくらいいたい。
でも今はそんなのにかまっていられない。どうしても捕まるわけにいかない。絶対に逃げ切って見せる。
そう、思ったのに…
「、っ!」
「捕えましたっ!」
後ろから来ている人を警戒して、横から来ている人に気がつかなかった。
大きな幹を持つ大木の影から出てきたのは、怖い女の人の仲間の人。私の腕をがっしりと掴んでいる。
思い出すのは、あの‘最後の言葉’。私は精一杯この命を生きなきゃいけない。
『どした〜?』
『きょうりょくするよ〜』
『いっしょににげよ〜』
掴まれた腕を振り払おうとしている私の周りには、今までずっと助けてもらった‘お友達’がたくさんいて。
みんなの言葉にうんと頷いた。
「わっ!」
その瞬間、強く吹いた風が私の周りに吹いて、掴まれていた腕が解放される。
そして再び私は走り始めた。
響く怒号、迫る業火…森を焼き尽くす勢いのそれは、私のお友達が頑張って抑えてくれて。
走って、走って、走って。
たどり着いた先は…
「ははっ、そこまでだな。前女王の娘よ」
後ろにはもう進むべき道はなくて、見えるのは遥か下に見える森だけ。
目の前には怖い女の人たち。その真ん中に立つ人が、何かを言っている。
「お前は、ここで捕まって殺されるんだ」
ここで捕まる…?殺される…?
違う、だめだ。それじゃ約束を守れない。たった一つの約束を…
ザクッと葉っぱが踏まれる音がして、怖い女の人が一歩私に近づいてきた。
『やめろ〜』
『ちかづくな〜』
私のお友達が守ろうと私の前に立ちはだかるけど、女の人はそれが見えないかのようにどんどん近づいてくる。そして…
「、うっ」
「…いや、ここで殺してやろうか」
目の前にきたその人は、私の首を掴んで持ち上げた。
息が吸えなくて、でも一生懸命吸おうとして口がパクパクと開く。それでも息はできない。
ギリギリと締め上げるその手は離れる様子はなくて。
意識はどんどん遠くなる。
「女王様や、皆には追っているうちに自ら落ちたと報告する。いいな?」
「「「「はい!」」」」
いつのまに集まっていたのか、さっきより増えた人たちが大きな声でそう答えた。
女王様?自ら落ちる?
朦朧とする意識の中で考えることもできずに、ただわかったのは、私の首を締める人が、また一歩足を進めたことだけ。
『あぶない〜!』
『やめて〜!』
もう目を開けていることすらできなくて。お友達を見ることができない。
下から風が吹いてくる。
あぁ…たったひとつの最後の約束は守れなかったなぁ…
溢れた一筋の涙と、瞼の裏に映る優しい笑顔。
「さらばだ、女神たちを裏切った娘よ」
最後に感じたのは、強烈な風と浮遊感だった。