プロローグ
人は何故か、周りと違う人になりたいと願ってしまう。
「あの子みたいに足が早くなりたい」
「かっこよく、可愛くなって皆からモテたい」
「人と違うことに挑戦して注目されたい」
などなど、人によって憧れはバラバラだ。いわゆる十人十色というやつだ。ある日、ふと気付いてしまうのだ。その願望には到底叶わないと。自分には無理だと絶望してしまう。
しかし、人間は限界を知らない生き物だ。そこから努力をすれば、どん底から這い上がることが出来る。地に這いつくばっているだけの人間には何の価値も無いから人は頑張る。
それでも、神が決めた運命とは、時に残酷であり、時に良いものを与える。努力をしても変わらないことがある。
それを知ってもなお、人は努力を続ける。いつか自分が報われると信じるから。
「ねぇ...」
それは全てあるものがある仮定での話だ。憧れ、理想がないといけないのだ。
「ねぇってば...」
僕には昔から憧れも理想もなかったのだ。でもある日、君と出会って気付いた。君が僕の理想の人だと。
「おーい!起きろー!」
「ん?さっきの問題終わったか?」
「とっくの前に終わってます。君が寝てるから待ってたの」
「違う、僕は寝ていない。考え事をしていただけだ。」
「嘘!イビキかいてたもん」
さすがにこれには言葉を返せなかった。最近あんまり寝てないとはいえ、悪いのはこの病室だ。窓とドアを閉めきっているのでとても暖かく、窓から日光がさしている。これは、完全に寝て下さいと言っているようなものだ。
すると、彼女が
「ねぇねぇ、もし私の寿命が問題のように分かったらどうする」
「急にどうしたの?」
「良いから答えて!」
「そうだな。もし先の事が分かってしまったら人生楽しくないんじゃないのかな」
「そうかな?私は良いと思うよ。未来が分かればその一秒一秒を大切にすることが出来るから」
「まあ、その考えも悪くないな」
こんな話は周りから見たら下らない話だがぼくはこのやりとりが好きだ。僕は彼女と正反対だから、考え方も反対だ。このような人の考え方は僕にとっては貴重な知識となる。
「じゃあ、僕からもひとつ質問していい?」
「うん!いいよ。何?」
「例えば、君が死ぬ未来だとしてその未来を変えることが出来たらどうする?」
「何それ?例えがすごい具体的だね。まあこの病気を治して君と沢山のとこに出掛けたいな」
「そうか。この言葉が聞けて良かった」
「え?それってどういう...」
彼女が言葉を発した瞬間、チャイムがなった。病院の面会の時間をしらせるチャイムだ。
「じゃあね」
と言い僕は病室を出る。
「ちょっと待って」と言う君を無視して。
そして、帰り道の途中で僕は決意した。必ずこの未来を変えると。
初めまして、新人作家「辻野海夜」です。
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受験で投稿は遅くなりますが、是非よろしくお願いします。