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彼女は雨の日に傘をささない  作者: あきら
第1章
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『血の目覚め 1』


土曜日の衝撃から一夜明け

颯太は自分の置かれている状況を整理していた



まず襲ってきたクラス2、あの学園には結界とやらが張られていたらしく

3体も侵入を許したというのは向こうの落ち度だと言っていた


それに時雨は一族の当主、そのレベルの能力者が居る場合

クラス3でも安易に手を出しては来ないそうだ

元々『影』達は自らを強化する為に人を襲うが、能力者を認識しているようで自衛以外で『一族』側に向かってくることは普通はしないらしい


その点でも、今回の件はイレギュラーだった


学園のあの場に何かしらの要因があるのか、自分が原因なのかは分からないが

当主の血縁である自分を未覚醒のうちに消そうとした、確証はないがそう考えるのが妥当だとも時雨は言っていた


一族の当主とは代々1番実力のあるものが継ぐのが習わしで

雷の一族で1番の力を持っていた親父の息子、だから相応の能力を潜在的に秘めている可能性があると


これまでそんな兆しは全く無かったし、自分にそんな力があるかもしれないと言うことも全く信じられないのだが……


とりあえず明日からは、これまで通りに学園には通っていいらしい

時雨が護衛として付いているので、そうそう危険はないから安心しろと……



何を考えても不安しかないのだが……

ふと夏海の言葉を思い出す


「起きた事は無かったことにはならない……か」



時雨が話したことはきっとほんの一部なのだろうと思い

これから先何が起こるのか想像もつかなかった




*****




住まいにしているホテルの一室で

シャワーを済ませ、バスタオルで頭をわさわさと拭きながら

スピーカーモードに切り替えていたスマホから声が聞こえる



「報告書には目を通した

ご苦労だったな」


「なぁに、まだまださわりの部分しか話せてないよ

1日で理解させるにはあの辺が限界やろ

とりあえず明日以降も普段の生活はこれまで通り、うちが直接あいつの護衛に付くって事で進めたけど問題あるか?」


「それで構わない、先のクラス2出現の原因が掴めない今

打てる対策とすれば日比谷颯太の護衛及び監視の強化くらいのものだ

散発する『影』への対処はこちらの手勢で対処する

時雨は基本は日比谷颯太の警備を担当してくれ」


「それなんやけどな、一応当主であるうちが直々に護衛に付かにゃならんのはなんでや?

いくら慶二さんの息子やからって、4つの一族のまとめ役であるあんたが直接指揮せなあかんほどの価値があいつにあるんか?」


「……詳しい経緯は調査段階であり今は話せないが

今後の我らの動きを左右する可能性はある……とだけ言っておこう」


「…………さよか、あんたがそう言うんならそれ以上の事は話さんやろね

了解、引き続き日比谷颯太警護任務を継続する」


「よろしく頼む」



灯弥はそう言うと通話を終了させた



「な〜んか腑に落ちんなぁ」



いくらあの慶二さんの息子だとしても

そこまでする意味があるのかが疑問だった

未覚醒の一族の者は、同じ一族のサポートに従事するのが通例であった

能力者の家系とはいえ、死ぬまで覚醒しない者も中には居る

事情を話した以上、慶一さんへ引渡して雷のサポートをさせるのがこちら側の常識というものだ

だからこそ、慶二さんが単独で息子を隠し通していたとは考えにくい

雷以外に協力者がいたのか、もしくは灯弥たちは知っててそうしたのか




時雨は時雨で何か裏があると思いながらも、それが何か今の段階では何もわからない


釈然としないままベッドへ潜り込んだ

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