第五話 もうひとつの異世界人
「痛えな! いきなり何してくれてんだよ!」
王宮で真夜中にすやすやと寝ていると、突如兵士に襲撃され、縛り上げられた挙句に地下牢に放り込まれた。
「すまんな」
そう一言、兵士は去っていった。
――地下牢は暗い。
一気に眠気の覚めた頭で周囲を確認。地下牢と言っても鉄の扉の独房ではなく、鉄格子だ。恐らくは兵士や従事者へのお仕置き部屋代わりなのだろう。左右は壁で分からないが、見渡せる限りで考えると、最低でも十部屋はある。俺は入り口から二番目の部屋だな。
しばらくすると大暴れしている女の子一名と、何の抵抗もしない鳥一羽が牢屋に入れられた。ってかお前たちもなのか。
「あああー! なんっで! 私まで牢屋に入らなきゃいけないんだよ!」
激怒の勇者さんは向かい側の一番目。そのまま鉄格子をぶっ壊しそうなほどの勢いだ。。そして俺の正面の牢屋にはシア。一応首に人の手錠がはめられているが、ちゃっかり大人しくしている辺り、やはり世界に危害を加える気はもうないのだろう。
「説明……出来そうもないな」
「当たり前でしょ! 私だって突然の事で何なのかサッパリだよ! トムと話し終わってベッドに入ったと思ったら兵士が突然だもん」
頬を膨らませているアイシャ。どうやら武器は取り上げられている様子。当たり前か。
「うーん、とするならば、考えられる理由は一つ。あの大臣だ。大臣が俺たちを別の国のスパイだと思い込んで牢にぶち込んだ」
「……そうなっちゃうかぁー。やだぁー……」
「っあははは!」
すんごい子供っぽい声を出すアイシャに思わず笑ってしまった。
「……あれ? え? ねえ?」
とアイシャが俺の隣の牢を指差した。
「うん? ……俺からは見えないよ」
「あ、そうだよね」
完全に驚いている顔のアイシャ。さて何があるのかな?
「カナタより先に来た異世界の人がいる。……死んでる」
「生きてますよ」
おっと即答。そして声は……女性とも取れるし、男の子っぽくもある。顔が見えないので性別不明。
「もしかして、ずっとここにいたの?」
「はい」
最低限の答えだな。衰弱していて、一言返すのが精々なのだろう。とするならば俺たちもまずいな。
「よし、それじゃあ早急に王様に直談判する方法を考えよう。さもないと俺たちもまずい。兵士と大臣の両方とも避ける必要があるな」
「そうだね。……でもどうするの?」
「スニーキング……は無理として、方法がない訳ではない。シア、またお前に働いてもらう。いいか?」
(うん!)
やる気充分だな。しかし勇者さんは訝しげ。
「逃げたら地獄まで追いかけて焼き鳥にしてやる」
「ははは、逃げたら焼き鳥だってさ」
するとシアはアイシャとは反対側に逃げようとして手錠に引っかかる。意外とドジっ子だな。
「さて作戦だが、これを使う」
俺が持ち出したのはスマホ。アイシャには何の事かさっぱりという感じだな。
「こいつでここの映像を記録し、シアに王様のところまで運んでもらう。昼間にあの王様と会った時に、軽く使い方を教えたんだよ。それで王様が状況を理解してくれれば……っと、誰か来た」
足音と明かりが近付いてきたのだ。
……大臣だ! そうだ、もう収録してしまおう。
「大臣! あんたどういうつもりしてんの? 私まで牢屋に入れるなんて、トムに知れたら首飛ぶよ!」
「あっはっはっ! やれるものならやってみろ。大体あんな若造が気付くはずがない。現に異世界人などとのたまうスパイどもを、見抜けてはおらんだろう。たった十七歳の分際で、何がオレの客人だ? 何が控えていろだ? 舐めくさりおって。……こやつはまだ死んでおらんのか? 生命力だけは一流じゃな」
そして鉄格子をひと蹴りし、帰っていく大臣。
「なにあれ!」
ぷんすかお怒りのアイシャさん。
その後俺は自分とシア、アイシャ、そして手を伸ばして隣の誰かも撮影。
「準備は出来た。シア、抜けられるか?」
すると手品のようにあっさりと首輪代わりの手錠が抜け落ち、鉄格子に黒い輪が出来て空間がつながり、そのまま歩いて出てきた。その後は何もなかったかのように元通り。つまり物理的に破壊する魔法ではないんだな。
「その魔法で動物病院や車から逃げたのか」
(うん)
なるほど、シアを拘束するには魔法をどうにかしないと無理なのだな。一方アイシャさんはおもいっきり睨んでいる。それに気付いたシアはばつが悪そう。
「まあまあ、ここは任せるしかない事は分かるだろう?」
仕方なしに少しだけ頷くアイシャ。
「それじゃあ手順を教えるぞ。王様はこの時間、恐らくは自分の部屋だ。場所は……」
「五階。あのフロアは全部王様の部屋だから、行けばすぐ分かる」
嫌々ながらも教えてくれる辺り、シアを全否定はしていないのだな。
「五階は全部王様の部屋だから、行ったら適当に壁をすり抜けてこれを王様に渡せ。画面を触れば動画が流れるようにしてある。お前の足で操作出来なくても、あの王様はすぐ気付くはずだ」
(うん! うん!)
任せておけとでも言いたげにやる気充分。
「それじゃあ任せたよ」
(うん!)
最後の一言はアイシャから出た。そしてシアもその言葉の雰囲気を汲み取れた様子。
――シア視点。
まずは地下牢の看守。幸い看守は机に突っ伏して寝ているので、シアは姿勢を低くして慎重に、足音を立てないように静かに静かに……。
「んぬあー……もんだいありましぇーんグウゥー……」
看守の寝言に背筋の凍ったシアだが、無事通過。次に地下牢から出るための扉。扉の向こうには兵士がいる可能性もあり、シアは一考。
扉は内側に開くので、開いた扉に隠れられるという可能性がある。一か八か扉をノックしてみるシア。
トントン……トントン……。
反応なし。魔法で小さく穴を空け、首だけ突っ込み向こうの様子を探るが、誰もいない。
あっさりと地下牢を抜けたシアは、上層階を目指す。
「ん? 何の音だ?」
兵士がシアの爪の音に気付いた。焦りながらもシアは適当に置いてあった机の上に乗り、剥製の真似。
「……気のせいか」
目の前で兵士がUターン。冷や汗の出るシア。しかし鳥に汗腺はない。
その後も見つかりそうになっては剥製の真似でやり過ごすシア。そして夜の警備は手薄になっており、一時間ほど掛かったが、なんとか五階に続く階段前へ。
「ふあぁあ、今日は何かうるさいのー……あ」
まさかの部屋を出てきた大臣とばったり遭遇。双方固まり声が出ない。
「……ん衛えーい兵えーい! 脱獄じゃあああああっ!」
大臣の声が響くと同時にシアも急いで階段を上る。しかし風のない屋内なので飛んで行く訳にもいかずもたもた。
階段を半分まで上ったところでついに兵士に捕まるシア。
「貴様あ、その翼切り落としてくれるわ! 剣を貸せっ!」
そこにいたい兵士から強引に剣を奪い取った大臣は、シアへと剣を振り下ろそうとする。
「んあ!?」
大臣と兵士の上空に黒い球体。そして中からカラーボックスが降ってきた。これに驚き兵士が手を離し、ついでにカラーボックスが行く手を邪魔し、時間が稼げる。それ今のうちとばかりにシアは大急ぎで階段を上り、正面の壁に穴を空け部屋の中へと転がり込んだ。
――王様の寝室。
「ったあー! 貴様あ! もう許してはおけん! 今この場でその首はねてくれる!」
雪崩れ込んできた大臣と兵士。
「何をしている!」
「……あ」
王様は突然に起こされすこぶるご立腹。そしてシアは、そんな王様にしれっと抱かれている。
「い、いえ、その鳥が脱獄を……」
「脱獄? そもそもオレは牢に入れろなどと命じた覚えはないぞ」
するとシアはスマホを取り出し、王様へ。
「これは……」
若い人は覚えるのも早い。しっかり動画を再生する王様。
「――あんな若造が気付くはすがない」
流れる映像を見つつ、静かに立ち上がる王様。大臣はもう真っ青で涙目。腰も抜け床に尻餅をついている。
「……命の覚悟は、出来ているんだろうな?」
「あ……ああ……」
言葉にならない声をあげるも完全に動けなくなる大臣。王様は兵士から剣を受け取ると、そのまま振り下ろした。
「……何のつもりだ?」
(だめ!)
シアが魔法で剣を止めたのだ。王様もシアの正体は知っているので、溜め息を吐きつつこれに従い剣を収めた。
「今現時点を以ってリビルの参謀大臣としての任を解く。追って処分を下すので、それまでお前を拘束する。さっさと連れていけ!」
兵士に引きずられ王の寝室を後にする大臣。……元大臣。
王様は溜め息を吐きつつ、その足で地下牢へ。
――地下牢。カナタ視点。
「ねえあいつ逃げたんじゃないでしょうね?」
「さっきからそればっかりじゃないか。気持ちは分からんでもないけれど、もう少し人……鳥を……魔王を信じたらどうだよ」
「魔王だから信じられないんでしょうがぁ!」
痴話喧嘩を展開していると、また明かりが近付いてきた。
「やあ、お待たせ。今出すよ」
王様登場だ。しっかりシアも抱かれている。看守が急ぎ俺とアイシャの牢を開けた。
「という事は全て?」
「ああ、全て聞かせてもらったよ。今大臣は拘束されていて……ほら」
縛られた大臣がやってきた。
そのまま無言でアイシャと入れ替わり牢に入る大臣。
「えっと、君大丈夫かい?」
牢を出た俺が一番最初に気にしたのは隣の異世界人。
「王様、この人も出してください。異世界から来て、ずっと飲まず食わずで拘束されていた様子なんです」
「えっ……あの時の! まさかこれも大臣の仕業か!」
そっぽを向く大臣。牢の中はある意味安全だ。
「……これは厳正な処分を下す必要があるな。覚悟しておきなさい」
静かな口調だが、だからこそ怒りが見て取れる。
隣の異世界人は俺が背中に担いだ。そして分かったのは、この人は女性だ。何せ胸がある。Cカップ……は無いかも。衰弱しているわりには重いが、それは言ってはいけない気がする。
地下牢から出たところで、彼女が花瓶を指差した。
「みず……」
そりゃそうだ、アイシャの話から、この人は一ヶ月以上も飲まず食わずだった計算になる。花瓶の水なのでどうかと思ったが、渡すと物凄い勢いで飲み干した。
「っぷはー! ……ふう、もう大丈夫です。もう一人で歩けますよ」
本当にあっさりと歩き出した。あまりにも頑丈過ぎて感動すらおぼえるわ!
「色々とあるけれど、今は解散しましょう。あなたにも部屋を用意させます」
「あーいえ、僕はそこいらでも寝られますので」
「いいえ、ちゃんとしたベッドで寝てください」
ふむ、彼女は僕っ娘か。そしてやはり変人だ。
――翌日朝。
「おはよう」
「あ、おはよう」
「おはようございます」
食堂に集まった我々。そして彼女も来た。
「おはようございます。昨晩は助けていただきありがとうございました。お礼が言えずにいたので、気になって寝られませんでした。あはは」
しっかりと頭を下げる彼女。顔の作りは凛としたものだが、笑顔が可愛い。
「私から改めて謝罪を申し上げます。昨夜の騒動、本当にすみませんでした」
深々と頭を下げる王様に、この人は伊達や酔狂で王様になったのではなく、国に選ばれた人材なのだと確信した。
「えーっと、先に自己紹介しておきますね。俺は折地彼方と言います。カナタと呼んでください」
「カナタさん、ですね。よろしくお願いします。……失礼ですが、本名ですか?」
こいつもか! 俺は名前で弄られる運命なのか!
「あはは、本名です。俺もあなたと同じでこことは違う世界から来たんですよ。そしてこっちでは別の言葉に聞こえるらしくて……種無しと」
「そうですか」
笑いもせずあっさりとした反応。種無しの意味が分かっていないのか? と思ったが目線が一瞬下に動いた。分かった上での反応なのか。やっぱり変人だな。
「僕が本名かを確認したのも同じ理由からで、僕の世界では”甲斐性なし”になっちゃうんですよ。あなたも異世界からならば納得しました」
一転さわやか笑顔の彼女。一方アイシャは噴出すのを必死に堪えている。
「んで、そっちは自己紹介済んでるのか?」
「あ、ぷふっ……ごめんごめん。えっとね、私が王宮に連れてきたんだよ。だからもうとっくに済んでる」
結局笑うのか。そしてアイシャの最初の任務がこの女性を王宮まで送る事だったな。つまり俺との挨拶だけで済む訳だ。
「それじゃあ僕も自己紹介させていただきます。僕の名前はフェムティフューラ。一応は女性という事になっています。……すみませんがカナタさん、そちらの世界の技術レベルが計れるものは、なにか持っていませんか?」
「あーそれじゃこれ。中も見ていいですよ」
スマホを渡した。するとフェムティフューラさんはじっくりと確認。
「……あはは、あー良かったあー!」
先ほどまでの作った笑顔とは違い、まるで花が咲いたような明るい笑顔になった。
「この世界は見た通り科学技術がほとんど発展していませんよね? なので僕を説明するための用語が分かってもらえなくて困り果てていたんですよ。あなたにならば分かってもらえそうだ」
なるほど、確かに蒸気機関すらなさそうだものな。
「えーっと、人造人間、アンドロイドって分かりますか?」
「まあ一応。名称だけならばそれもアンドロイド携帯ですけど」
「……あ、本当だ。あはは」
一々嬉しそう。本当に話が通じずに困っていたのだな。
「それでですね、僕はアンドロイドなんですよ。つまり機械です」
「……いやーさすがに俺の世界でもそこまでは進んでないですわ」
「あー……うん、でも言葉さえ分かってくれれば構いません。それとですね、僕を数える時は”一人”ではなく、機械として”一つ”と数えるのが正しいんです」
このフェムティフューラさんの話をまとめるとこうだ。
彼女は人造人間、いわゆるアンドロイドであり、肉付きなどは限りなく人間を再現している。肌を触らせてもらったが、どう考えても人であった。
中身はもちろん機械だが、鉄などの無機物で形成されているのではなく、どういう事か有機物で形成されているとの事。血液代わりの冷却水が流れており、結果として体温も発生しているらしい。。
そして例え腕や首を切り落とされても問題なく動け、欠損部位をくっ付けると数秒で元通りになるほどの回復力だという。更には腹に大穴が開いてもエネルギーさえあれば簡単に再生するというから驚きだ。
そしてそのエネルギーだが、とにかく何でもいいから食べれば回復出来るとの事。だから普通の食事以外にも、花瓶の水でも泥水でも、果ては土や石や鉄ですらも、口に入れば何でもいいという。
「失礼ながら、まるで死にそうにありませんね」
「あはは。うん、僕は不死身ですよ。これでも三百年以上は稼動していますから」
「さんびゃくねん!?」
俺の失礼な発言にあっさり笑ってのける彼女もすごいが、三百歳以上という事に、そこにいた全員が驚いてしまった。しかし彼女は機械である以上成長がなく、したがって決まった限界がある。そしてこれ以上の情報は現在は開示出来ないとの事だった。
さて彼女の見た目だが、年齢的には二十歳くらいの成人女性で背は百六十センチほど。髪は青が強めの水色で、かなり短いポニーテール。胸はBからCだな。ちなみにアイシャはその背丈に似合わずCはある。
服装は黒のインナーに黒革のズボン、そして何故か白衣。露出ゼロと言ってもいい。そしてこの見た目で僕っ娘。
つまり俺の第一印象は、すげー目立つ。
「あ、僕の名前って呼びにくいですよね? この名前は現在のオーナーが名付けたもので”54”という意味なんです。僕の製造ナンバーが54番で、古代の書物にあった表記からそのまま名前が付けられています。でもオーナーが変われば名前も変わるので、定着した名前はありません。なので名前にこだわりがないので、自由に呼んでいただいて構いません。機械である以上、人間に使われる存在なので敬称も不要です」
機械だからオーナーが存在する訳か。少し不憫に思えたのは、彼女があまりにも人間味が強く、まるで従順な奴隷であるかのようだからだろう。
そのフェムティフューラさんの俺たちでの呼称は、俺とアイシャとで顔を見合わせ、せーので決める事にした。
「せーのっ」「せーの」
「フューラ」「フューラ」
「あはは」「ですよねー」
という事でこのアンドロイドの女性フェムティフューラは、今後フューラと呼ぶ事に決定。本人も笑顔で受け入れてくれた。
――食事中。
俺がフューラについての事を、みんなにも分かるように噛み砕いて説明した。一つずつ確認を取りながら一歩一歩進む俺の説明の仕方に、当のフューラが一番驚いていた。
分かる範囲を説明し終えると、王様からフューラへこんな要請があった。
「フューラさん、もしよろしければ、あなたの持つ技術をこの国の役に立ててはもらえませんでしょうか?」
「そう来ると予想はしていましたが、それは不可能です。確かに技術力は持っていますし、各時代の技術を再現するだけの知識や技能もありますが、過度な干渉は避けるようにとプログラム……行動制限を受けています。これは僕の判断で越える事は出来ません」
「……そう、ですか」
残念そうな王様。するとアイシャに服を引っ張られ、俺からも頼んでほしいといった感じに、目と指で指示を受けてしまった。困ったな。
「うーん、そもそもプログラムの意図が見えないんじゃどうにもならないよ」
「意図ですか。……歴史の改変に繋がる事は禁止という解釈なんですよ。この世界に僕の技術が注がれると、歴史が変わってしまう可能性がある。なので不可能なんです」
「あーそれならば、この世界に影響がなければいいんだよね? 例えばフューラ自身のため、そして異世界から来た俺のために作る。これならば規約には接触しないんじゃないかな?」
「接触しません。しかしそれは……」
プログラム上でどうこうというのもあるが、フューラ自身の考えもありそうだな。
「既存技術の見直しは可能ですか?」
「……可能です」
すると王様が笑った。
「では要請を変更します。フューラさんにはわが国に新設する技術大臣に就任していただき、無理のない範囲で既存技術の欠点を指摘し、そして発展の補助をしていただきたい。これでいかがですか?」
少し考えている様子のフューラだったが、数秒後にはのけぞるように大きく笑った。
「あっはっはっ! 負けました。それならば何も問題ありません。……しかしこちらからも条件があります。僕も機械なのでメンテナンスが必要なんですが、さすがに制限された技術で出来る事ではありません。なので僕自身のために、僕だけしか触れない、僕専用の工房をください。これが飲めるのであれば、謹んでお受けいたします」
「何も問題ありません。これで契約成立ですね」
即答。そして王様とフューラが立ち上がり、歩み寄り握手。
こうして異世界から来たアンドロイドのフューラは、グラティア王国の新設技術大臣に就任した。
……俺はどうする?