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第三十四話  カナタ死す

 ――戦闘開始。

 まずはフューラが魔族軍の武器を破壊して使用不能にする。

 「はあ……」

 そしてフューラは大きく溜め息。フューラには嫌な事をさせちゃうなぁ。

 「ひとつだけお願いがあります。僕を怖がらないでください」

 「それはないよ。私はフューラを怖いだなんて思わない」

 戦場に笑顔はどうかとも思ったけど、今のフューラには笑顔を見せるべき。そんな私を見て、フューラも肩の力が抜けたみたい。

 「……はい。ありがとうございます」

 ネリデスールやコロス第二次襲撃の時にもその力は見ているもん。それに、今更どんな姿になろうともフューラはフューラだ。


 「では状況を開始します。ナンバー54制限を解除。感情システムブロック。制圧モードへと移行。敵数三千。破壊目標確認。ターゲットロック」

 矢継ぎ早に放たれる言葉は、私でも分かるのもあれば、よく分からないのもある。ただ一つ間違いないのは、今のフューラは感情を止めて、機械としてそこにいるという事。

 「警告します。直ちに武器を仕舞い戦闘を停止しなさい。さもなくば武力を以って無力化を行います。繰り返します――」

 気持ち悪いほどに感情のないフューラの声が戦場に響き渡る。そしてフューラはあの丸い機械を大量に取り出した。まるで空に黒い星が現れたかのように、太陽の光さえも遮るほどの数だ。もちろん丸い機械やこちらに銃口を向けてくる人はいる。でも恐ろしいほどに全く効いていない。

 「最終警告。直ちに戦闘を停止しなさい」

 本当に短い、でも今までのフューラの言葉とはまるで違うその一言。確かに何も知らなければ怖いと思っちゃうかも。でも私は、この程度でそうは思わない。

 「初弾警告から六十秒経過。戦闘停止の意思なし。無力化を開始」


 ――私は勘違いをしていた。フューラが怖がらないでと言った意味が分かった。今までの多くても百人程度の制圧とは全く違う光景。地獄絵図。制限を解除したから、武器を壊すだけじゃなくなったんだ。ある人は黒い矢で手首を落とされ、ある人はそのまま足まで貫通。

 「……これじゃあ……まるで……」

 と、口をついて出そうになった言葉を飲み込んだ。私の声はフューラに聞こえている。この先を言ってしまったら、フューラは私たちの前からいなくなるかもしれない。そしてカナタはいなくなってしまったんだ。

 「ターゲット無力化を確認。システム通常モードへ移行」

 その一言で、フューラの表情に生気が戻り、そして頬を涙が一筋。

 「大丈夫?」

 「すみません」

 親指で涙を拭うフューラ。……もうフューラにはこんな思いをさせたくない。


 「魔族軍は、死者はいませんが八割強が戦闘不能、武器のうちレーザーガンは全て破壊完了です。残り、剣や弓、ナイフ使いなどはいますが、破壊のついでに殺してしまうので止めてあります」

 「分かった」

 この一瞬でこれだけの被害。この力でフューラは世界を壊してしまった。でもそれはフューラ自身が一番分かっている事。だからこそ私は励ます。

 「フューラ、もう一度言うね。私はフューラを怖いだなんて思わない」

 「……はい。ごめんなさい」

 「あはは、なーに謝ってるの? 本番はここからなんだからね!」

 当然フューラは私の気遣いを理解してる。それでも私は精一杯の笑顔を見せるよ。だって、必要だと思ったから。そんな私の嗅覚は、確かに血のにおいを感じ取っている。

 「……さあ、進もう!」



 ――リサさん視点。

 「ジリーさんは大将を、周囲はわたくしが持ちます!」

 「わーった!」

 こちらは最小限の人数。与えるは最小限の危害、求めるは最大限の戦績。となればやる事はひとつです。

 「クリティカルエンチャント!」

 この魔法は対象者の攻撃力を上昇させます。そして今の対象者はジリーさん一人。ハードタイプもあるものの、まずは様子見です。

 「ジリーさん、あなたを強化しておきました!」

 聞こえているのか否か……と思ったら走りつつ軽く片手を振りました。さあ行ってください!

 「アースウォール!」

 文字通り土の壁を作る魔法。防御や押し倒して攻撃にも使えます。地形次第では陥没効果付き。今回はジリーさんの左右に発生させ、攻撃を防ぐ目的で使いました。

 するとジリーさんに吸い込まれるように風が。ジリーさんの渾身の一撃で、周囲の空気までが殴られ動いてしまったようです。一直線上に倒される人類軍の兵士。

 フューラさんといいジリーさんといい、みなさんはとんでもなく強いのですね。そしてアイシャさんの成長も凄まじい。わたくしも後れを取らないように精進しなければ。



 ――アイシャ視点。

 私の狙いはとにかくカナタだ。自ら魔族側に付いたのか洗脳されたのかは分からないけど、一発殴って目を覚まさせてやる!

 私の上空にはフューラ。増援がないかの警戒だね。

 一直線に大将の元へと向かう私。周囲にはフューラの攻撃で負傷者多数。でもそんなの気にする暇なんてない。何故ならば私を追うのは魔族だけじゃなくて、人類軍も後方から来ているんだ。向こうはリサさんとジリーが暴れているけれど、それでも無駄な時間は掛けられない!

 「どけ!」

 ったく、あれを食らってもまだ私に剣を向ける元気な人がいる。ここは脅しの意味も兼ねてあれを使っておこう。

 「赤き炎よ宿れ!」

 さあ……前方に剣士三人! まとめて切り捨てる!

 「うおるああああっ!!」

 真っ直ぐに、ただひたすらに大将の、そしてカナタの元へ!


 立ちはだかる連中をなぎ倒しながら進んでいると、フューラから声が上がった。

 「カナタさんが来ます!」

 カナタから来る? どういう……そういう事ね。遠くからだから狙いは外れてるけど、銃弾が私の横を通過した。こっちのボスはカナタって訳だ。

 「フューラは邪魔が入らないようにして!」

 「了解です!」

 さあタイマンだ。元サラリーマンが現役勇者に勝てると思うんじゃないよ!



 ――アイシャ対カナタ戦、開始。

 相手は私の動きを知り尽くしている。だから余計に遠距離はまずい。ここは速力を生かして一気に懐に飛び込むべきだ。

 間違いなく今の私はカナタの射程圏内。だから銃口と引き金を注意深く観察し突撃。だけど意外なほどカナタは撃ってこない。誘ってる? ならばそのお誘いに乗ってやろうじゃないか!

 カナタまでは五十メートルってところ。……うっそ!? カナタが魔法を使いやがった! 人の顔くらいの大きさの黒い球体が私をかすめた。

 「あっはっはっ! 驚いてんなー極悪勇者!」

 「うっさい種無し! 今ぶち殺してやるから待ってろ!」

 カナタは銃を懐に仕舞った。まるで魔法だけで充分とでも言いたげ。

 カナタの使う魔法は記述でも詠唱でもない。という事は動作だ。つまり見ればその発動タイミングが丸分かり。この程度、一週間でレベルの上がった私には見切れるんだよ!


 「はーっはっはっ! 魔法は楽しいなー!」

 笑い声を上げながら黒い球体の魔法を乱射するカナタのそれはまさに狂気で、今までのどのカナタでもないし、今までからは考えられない。やっぱり何かされたようだ。

 「いい加減目を覚ませ馬鹿!」

 なんていう私の声も聞こえていない様子。とにかく今は近付く事優先!

 「よお極悪勇者! 今から俺が殺してやるぞー!」

 「やれるもんならやってみな! 今の私はカナタの知ってる私じゃねーんだよ!」

 「いいねえー! それでこそ殺し甲斐があるってもんだ!」

 誰がこんな乱射魔になんて殺されるかよ!


 カナタの攻撃はとにかく大味で、正直当てる気があるのかと疑いたくなるくらい。それでも逃げないときっちり直撃コースを混ぜてくるのはさすが。代わりに銃を全然使わないから脅威ではないけど。

 ……よし、ギリギリで私の射程に入った! あとはカナタの知らない特殊能力を使い、一瞬で懐に飛び込む!

 「なんて簡単にいくと思ったか?」

 「な!?」

 あいつ読んでいやがった! 魔法の反動を利用して一気に後退して、私の射程外に逃げた!

 「お前の射程くらい覚えてるっつーの。その程度のオツムじゃーまだまだ半人前勇者だな! あっはっはっ!」

 んがー! むかつくー!!

 「あっひゃっひゃっひゃー!」

 調子に乗って余計に攻撃が荒くなるカナタ。完全に狂人だよあれ。避ける側としては外す攻撃が増えるのはいいけど、流れ弾の予測が付けづらくて、合計じゃ悪化だ。


 「うっひゃひゃひゃー……って、あれ? あれれ??」

 カナタからの攻撃が止んだ。というか、腕を振っても魔法が出なくなった? ……あー分かった。

 「あはは、魔力切れ起こしてやんの! そりゃーあれだけ無造作無秩序に乱射していればそうなるっての。バッカジャネーノ?」

 「……そういうところは直す気がないんだな」

 うっ……。物凄く冷静に言われたこの一言が、私への一番のダメージだよ。本当、私って愚かなんだから。

 と思ったらニヤリと嫌な笑いを浮かべたカナタ。

 「フューラ命令だ! アイシャを攻撃しろ!」

 「えっ!? いやいやフューラ、聞いちゃ駄目だよ!」

 まさかそういう手を使うとは思わなかった。フューラは……耳を塞いでいる。それでいいの? ともかくフューラがカナタの手に渡ったらまずい! そうなる前にケリをつけないと!


 ――私は焦ったんだろうな。フューラを怖がったんだ。


 私が動くのを見てカナタも懐に手をやった。銃を取り出すつもりだ。やらせるか!

 「いっけええええっ!」

 重力制御と風魔法の反動を組み合わせ、一気に急加速する私。カナタは驚き顔で懐から銃を取り出そうとするけど、この速度ならば私が勝つ!

 剣を左下から振り上げその銃を弾き飛ばし、体ごと反時計回りに捻る。そして力のまま剣を振り下ろし――。



 一瞬の私の動きに付いてこられなかったカナタ。私の剣は確実にカナタのわき腹へとめり込み、その刃が内臓と肋骨に当たる感覚をこの手に残した。真っ赤な飛沫が弾け飛び、私の目の前を染める。

 振り抜き、抵抗のなくなった剣を止める私。カナタは――力なく膝を突き、前のめりに倒れ込み、その周囲が赤く染まっていく――。

 それを見て、私は何かを失った。人、心、冷静さ……とにかく何かをだ。


 ……私の、勇者としての、最初の人殺し。それがよりにもよってカナタだなんて、思っても見なかったし、目の前の光景を見ても信じられないし、信じたくない。嘘だと思いたい。

 自分からカナタを怒らせ、そのせいで合流出来なかった事が原因でカナタは拉致された。そして今私は、それを謝る機会を永遠に失った。自ら潰してしまった。

 私は慟哭し、心から涙と言葉があふれ出して止らない。自分でも何を叫んでいるのか分からない。目の前にあるのは、もう笑顔を見せてはくれない、私が血に染め上げたカナタ。



 「見事見事! 勇者殿はかつての友ですらも敵に回ればあっさり切り殺すのだな」

 ……。

 「おっと失礼、女性に名乗らないというのもないな。私が君たちの探していた人物、ユチッダ=ドンク・ロー・ドッボだ。どうだい? まざまざと友をさらわれ、洗脳され、敵対し、最後は己の手で命を奪った、そのご感想は?」

 ……殺す。

 「殺す」

 ああ殺す。こいつだけは殺す。なぶり殺しだ。肉の一片まで残す事無く消し去ってやる。

 私の頭には、とにかくこいつを殺す事しかなかった。

 避ける事すら頭になく、それでも体がそうさせたのか、重力制御を使って体を軽くして、我ながらすごい勢いで突撃……したはず。

 たった一つの事しか考えていないというのは記憶すらも曖昧にさせるようで、ドッボが嫌味に笑い、恐怖におののき、そして血まみれになっているという、この三つの場面しか思い出せない。


 ――後で聞いた話だけど、フューラはこの時の私には近づけなかったらしい。カナタの傍にいるだけで精々で、それ以上は踏み込めないというか、言ってしまえば恐怖を感じて尻込みしていたらしい。それほどまでに私は壊れていたんだ。

 そして、次に我に返った時、私は王宮の救護室にいた。



 ――フューラ視点。

 カナタさんは、僕が駆け寄った時点で既に息をしていない様子でした。そしてアイシャさんはこれでもかと泣きじゃくっています。

 今回の主犯、ドッボを確認。アイシャさんを煽り、そしてそれに呼応すようにアイシャさんは小さく何度も「殺す」と……。

 僕はあくまで停戦用であり、蹂躙し殺戮する気はありませんし、なるべくならば命を奪わずに終わらせたいんです。なのでこのアイシャさんを止めたい。……んですけど、自分が頭で考えている以上に体がそれを拒否してしまっています。アイシャさんのえも言われぬ気迫に、恐怖を感じています。正直、こんな事は三百年間で初めてなので、僕自身何をどうしていいのか分からず混乱しているんです。


 アイシャさんはドッボへとただ真っ直ぐに突っ込んで行きました。ドッボもレーザーガンを持ってはいるものの、素人なのでしょう、全く当たる気配がありません。――いえ、これは恐らくドッボも心の内ではアイシャさんにただならぬ恐怖を抱いているのでしょう。だから狙いが定められない。それほどまでに、何というか……例えるならば、地獄の門を開いてしまったんです。

 ……リサさんとジリーさんもこちらへと向かい始めました。そして人類軍、魔族軍共に撤退を開始。戦闘は終了です。アイシャさんを除いては。


 アイシャさんはドッボに近付くほどに速度を上げ、そして一撃でレーザーガンを真っ二つに切り飛ばして見せました。これには僕もドッボも驚くばかり。

 ドッボは後ずさりしていますが、その一歩をアイシャさんも追います。静かに、淡々と。

 どうやらドッボは横にいた白い子供に撤退命令を出した様子ですが、その白い子供がその場から逃げ出してしまいました。そしてアイシャさんの剣は確実にドッボを捉えます。

 一振りで左腕、もう一振りで右足。後ろに倒れ込みそうになったところを一瞬で背後に回り背中を一刺し。そのまま切り上げて振り下ろし、捻り水平に振り切り、胴体を真っ二つに裂いてしまいました。

 まるで踊るように息をもつかせぬ動きで切り刻み続けるアイシャさん。ドッボの血にまみれながらもその動きを止めようとしません。

 ドッボは確実に絶命し、それでもアイシャさんは地面に転がった遺体に向かって何度も剣を振り下ろし、返り血で赤く染まりながらも暴走し止まる気配を見せません。

 さすがにこれ以上はアイシャさんにもまずいと判断。僕が止めます!


 「アイシャさん、もう終わりです!」

 「殺す! 殺す! 殺す!」

 口で言っても聞きそうにありませんね。ならば一か八か、体で止めるまで!

 僕は切り裂かれる事も覚悟の上でアイシャさんの背後へと回り、羽交い絞めに。

 「アイシャさん! ドッボは死にました! もう終わりです!」

 「離せ! こいつは私が殺す! 世界に一片でも残してやるかあああ!!」

 僕のほうが体が大きく、機械なので力もあるはず。なのに全力で押さえないと体ごと吹っ飛ばされそう。

 ……仕方ありません。最終手段を使います。

 「ごめんなさい!」

 アイシャさんを蹴って転ばせ、姿勢が乱れた瞬間を狙ってライフルで強打。

 剣が手から滑り落ち、倒れそうになるアイシャさんをキャッチ。どうにか気を失わせる事に成功し、血にまみれたアイシャさんを抱えてカナタさんの元へ。



 ――戦闘終了。

 丁度人類軍側を担当していたお二人も来ました。

 「……これは……一体……」

 「見ての通りです。カナタさんはアイシャさんに倒され、アイシャさんはドッボを惨殺。暴走が止まらないので気を失わせました。残ったのは僕たちだけです」

 言葉を失うリサさんとジリーさん。シアさんも降りてきましたが、状況を飲み込めていないのか、血溜まりの中のカナタさんに寄り添っています。


 「……なあ、あいつが残ってんじゃねーか。あいつもドッボとか言う奴の手下だろ。……子供だからって容赦しねーからな!」

 そうでした、ドッボの横にいた白い子供さんがまだ残っていました。アイシャさんに恐れをなして逃げていましたが、現在は岩陰に隠れこちらの状況をうかがっています。

 「ガキ……覚悟しろ」

 言うが早いかジリーさんは勢いを付けてその子供を殴りに突っ込んでいきました。


 「アイシャさんはわたくしが見ています。フューラさんはカナタさんを」

 「はい」

 触れればまだ体温のあるカナタさん。僕ならばこれくらいすぐ直りますが……代わる事など出来ませんものね。

 ……僕はあの時、どうすればよかったのでしょうか。



 ――ジリー視点。

 あの白兎はあたしの獲物だ。ガキだからって容赦はしねーよ。

 ……といっても元から戦意なんてない様子で岩陰に隠れているだけ。それがまた作戦だって可能性もあるし……そもそも子供だって言ったって、アイシャの例があるからね。慎重になるに越した事はない。

 「うぉるあっ!」

 慎重だけど優しくする気はないよ。岩陰に隠れているならば、その岩を粉砕するまで! あいつの位置は分かってる。隙を作らずに回し蹴りだ!

 っと思ったら、ブン! と空を切った。こいつ頭抱えて縮こまってやんの。

 「おい、逃げ帰る気がねーんならよ、せめて主の仇取ろうとか思わねーの?」

 (――――、――!?)

 なんだこいつ? 確かに口は動いてるけど何も言わねーの。……あれか、魔法唱えてんのか!


 軽く距離を取って攻撃に備える。……けど何もしてこねーや。本当何だこいつ?

 「そっちが何もしないなら、こっちから行くぜ」

 あ、そうだ。こいつとっ捕まえて魔族側の事吐かせりゃいいんじゃん! となれば力加減考えよう。

 ……とりあえずは30%くらいの力で行くか。

 「うりゃ! ……って、それありかよ!」

 こいつ、魔法で壁作りやがった。こういうの何つったけかな……? んー……あ、バリア! 自分を半球で囲んでいて、網状の光の壁が出来てる。拳は通りそうな網なんだけど、何度殴っても止まっちまうなー。

 「……んでも、そっちがその気なら、全力でその壁ぶち破ってやらあ!」

 さっきも結構抑えてたんだよ。おかげでフラストレーション溜まってるからここで発散させてもらう!

 「んうおるあああぁっ!」

 久々の全開だ!

 さあ……さすが魔法、固いなー……と思ったらひびが入って、ガラスのように砕け散った。あたしの勝ちだね。


 (――――!)

 よく分かんねーけど物凄く焦ってる。

 「あん? 声出せ声!」

 そして逃げ出した。腰が抜けてるのか転びながらだけど。

 「んあー! いい加減イラついてきた!」

 もうさっさと気絶させる事にした。そして最後の一撃。

 「おるあぁっ!」

 「ジリー待った! って、あーやっちゃった……」

 あたしの拳は白兎に命中。さすがに加減はしたけど、思いっきりい吹っ飛んだ。


 後はこの白兎を抱えて……って、ん?



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