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第十六話   正座待機

 ――王宮、玉座。

 今日も今日とてトム王から呼び出し。すっかりお遣いイベントになってるなー。

 「いつもすまないね」

 「お金もらえればいいですよ。そういう生活を選んだのはこっちだし。それで?」

 「ああ、本題だけれどね、王国第三の都市、ネリデスールにとある犯罪者が現れて、それを逮捕してほしいんだ」

 「え、それが何で俺の仕事に? 警察とか憲兵とか、そういう人の役目でしょうに」

 「それが……」

 うん、物凄く言い辛そうだ。


 「まず罪状だが、五人の男性に対しての監禁と暴行。幸い殺害までは至っていないが、全員共通で両腕の骨を折られている。そして全員が幼い子供の父親だ。……その中にね、関係者がいるんだよ」

 関係者? 王宮のというよりは警察組織の関係者だろうか。という事は――。

 「あ、つまり逮捕しつつ保護をしろと」

 溜め息を吐きつつ、頷くトム王。

 「そういう事。街の警備隊はすっかり怒り狂っていてね、捕まれば間違いなくその場でなぶり殺しだ。それに……その犯罪者だが、若い女性なんだよ。しかも言葉が通じない」

 頭を抱えつつちらっと人の顔を見たトム王。

 「はーなるほどなるほど。つまり国の機関でもある警備隊が、白昼堂々と若い女性を寄って集ってなぶり殺しにするなどあっては、手綱を掴んでいる国の、ひいては王様の汚点になる。そしてその女性に言葉が通じないところから、四人目の異世界人である可能性があると」

 「ご明察。私の保身も絡んでしまっているから、国が直接動く事が出来ないんだよ」

 自ら保身と言ってのけるか。いや、トム王というよりも王宮の保身か。

 「それではこれを」

 カキア参謀大臣から小冊子。案内と依頼書代わりだ。

 「ひとつ注意があります。ネリデスールはこことは違い治安の悪い街です。持ち物は最小限、お金は最低限でお願いします」

 犯罪都市か。それこそ俺の銃のように暗黒時代のシカゴだったりしてな。

 「……分かりました。ただし今回は全員を連れて行きますよ。だから揃うまでは少し待ってください」

 「ああ、恩に着るよ」

 現在アイシャはリサさんを連れてどこぞの洞窟に潜っているはず。恐らくは俺とフューラだけでは持て余す案件だ。



 ――フューラの工房へ。

 「おーい入るぞー」

 「どうぞー」

 という事で入ると、一目で驚いた。明らかに科学が進歩している。天井まである巨大なコンピュータが鎮座していたのだ。

 「おいおい、もうこんな所まで来たのかよ!?」

 「はい、おかげさまで。それでもスペックはカナタさんのパソコンには遠く及びませんよ。カナタさんの世界で言ったら……1950年代くらいでしょうかね? でもここからは早いですよ。実はですね、当初僕の技術になるまで一年掛かると試算していたんですけど、もっと早くに到達出来そうなんですよ。あと……二ヶ月かな? なので実質半年くらいですよ」

 ぺらぺらとよく口が回るフューラ。それだけ嬉しいんだな。


 さてどうしようかと迷ってしまった。フューラにはこのまま開発を続けてもらい、アイシャとリサさんだけで次の依頼に行くか、それとも開発を止めて一緒に来てもらうか。

 「……どうしました?」

 「ん? あー……フューラが決めてくれ。さっき王様から依頼を受けて、四人目の疑いがある女性を保護する事になった。しかし相手は男性専門の凶悪犯罪者で、警備隊からも恨みを買っている。俺一人じゃ危険だから全員連れて行こうかと思っていたんだが、フューラには残ってこのまま……」「行きます」

 言い終わる前にか。

 「だってリサさんの時は僕何もしなかったんですよ? ずるいじゃないですか。それに、オーナーが危険なところに行くのならば、従者たる僕が盾にならなくてどうするんですか! 僕が決めろと言うからには、僕の選択肢は一つしかありません!」

 いつものフューラとは違う物凄い押しの強さ。

 「ははは、分かったよ。出発はアイシャたちが帰ってきてからだ。それまでは自由時間だよ」


 しかし1950年代か。第二次世界大戦が終わって戦後復興、高度経済成長期に入る辺りかな。50年代後半には東京タワーが建ったはず。

 ……あっ! という事は車が作れる!

 「フューラ、ひとつ大物の注文だ。俺以外は空飛んで移動出来るけど、俺は歩きだろ? 何かしらの移動手段がほしいんだよ。車かバイク、元世界では俺はスクーターだったけど、作れるならば考えておいてくれ。納期は急がないからのんびりでいいぞ」

 「はい、ご命令の通りに」

 「だーかーらー、それやめろっての!」

 「あはは、でも僕は機械ですから」

 全く、そういう事言ってるから自分を大切に扱っていないと怒られるのに。



 ――それから一週間後。依頼の街、ネリデスール。

 「さて、まずは宿探しだね」

 「アイシャは来た事は?」

 「何度か。でも全部日帰りの依頼だから宿は知らないんだ。さっさと終わらせてさっさと帰る。それがここに来た人間のすべき行動」

 なるほど、街の全てをよく表している標語だ事。

 「さてカキア大臣からもらった冊子を読むと、――ネリデスールはグラティア王国の北部にある、王国第三の都市。主要産業は観光とカジノ。その分犯罪が多く、スリや置き引きなどに警戒する事。ターゲットは二十歳前後の若い女性で金髪。なお警備隊には一切情報を知らせていないので、逮捕及び保護次第早急に王宮へ戻られたし」

 街としてはラスベガス的なのを想像すれば良さそうだ。そして警備隊とは関わらないほうがいいと。

 「それじゃあこの街にいる限り、単独行動を禁止しよう。あと夜間の外出も禁止。特に王女様」

 「えっ、あ……はい。承知いたしました」

 アイシャは見た目は子供だが中身は違うので、暴漢に襲われた所で全員張り倒せるだろう。フューラはレーダーを持っているはずだし男嫌いの気があるので、そもそもそういうところには行かない。シアは何かあっても穴抜けの魔法で脱出出来る。となると女の子連中の中で一番危なっかしいのがリサさんだ。


 「宿は安全性を考えてなるべく通りに面しているのがいいだろう。シア、上からよさそうなの探せるか?」

 (うん)

 こういう時にシアは便利だな。数分して降りてきた。腕を出す俺のところではなく、何故かアイシャの頭の上に着地。

 「な、何で私の頭の上……」

 するとシアはアイシャの髪の毛を引っ張った。誘導するつもりなのか。

 「……はあ、分かった」

 諦めた勇者さんは、魔王さんの指示に素直に従いましたとさ。



 ――宿屋。

 「すみません、四人と鳥一羽なんですけど、今から泊まれますか?」

 我ながらすごい聞き方だな。

 「申し訳ございません。現在満室でして……」

 ありゃ。仕方がないので次。

 「すみません」「申し訳」

 「すみま」「申し」

 「す」「申」

 四連敗。


 「あ、あそこにも宿がありますよ」

 フューラが見つけたのは、通りを一本入ったところにある宿。見た目は普通、かな?

 「すみません」以下略。

 「はい、ございますよ」

 ようやくだ。フューラグッジョブ!

 部屋は二部屋取った。俺とフューラ、アイシャ・リサさん・シアで分かれた。

 「フューラ、カナタに襲われそうになったら言いなさいよ」

 「誰が襲うか!」

 「あはは……」

 夕食はないが、朝食付きで一泊三千ブロンズ。それでもかなり安いな。部屋はワンルームで八畳ほどで、大きく開く窓があり、ちゃっかりバルコニー付き。通りに面していれば結構いけてる宿だろうな。


 「よしそれじゃあ」「カジノに行きましょー!」「おいっ!」

 リサさんノリノリである。聞けば上京すればカジノはあったが、王族は入るのを禁止されていたそうな。そりゃそうだ。

 「情報を集めるならば人の多い場所のほうがいいでしょうし、カジノならば最低限カナタさんが拉致される危険性はないと思いますよ」

 「フューラもか。……まあ、そうだな。ただし遊ぶなよ」

 「ひどいです! それは生殺しと言うものですよ!」

 誰かこの王女様を縛り上げたまえ。


 ――カジノ。

 さすがに目抜き通りは人が多い。そしてさっきからアイシャが不満顔。

 「どうした? カジノは嫌いか?」

 「嫌いっていうか……まあ、嫌い」

 何かありそうだ。さてとりあえず適当に一軒目。

 「まずは門番に聞くか。すみません、ちょっとお話をうかがいたいんですけど」

 「何だ?」

 カジノの門番といえばこういう奴だよなーという、見事にそのままの雰囲気。まあだからこそ普通に話を聞いても大丈夫だと思えるのだが。

 「えーと、異国の言葉を喋る若い金髪の女性を探しているんですよ。最近ここいらで犯罪行為を行ってる人。なにか分かりませんかね?」

 「俺は知らん。大体お前らは何だ?」

 ……ってリサさんとフューラがさらっと中に入って行きやがった! あいつら後で説教してやらねば。

 「どうした?」

 「あ、えーと、俺たち王宮の依頼で来たんですよ。その女性を捕まえろって」

 「……話は分かったが、俺は知らん。知りたければオーナーにでも聞け」

 「了解。じゃー入るか」

 「待て、子供は入れん」

 俺の事か? と思ったらアイシャの事だ。そうか、アイシャがカジノ嫌いなのはこれがあるからか。

 「私、ミスヒスでこれでも十七歳なんだけど」

 「……通れ」

 アイシャさん、頬がふくれております。


 「あれが嫌だったんだな」

 「うん」

 「次からは言われる前にこちらから話すよ」

 フォローはしたが、ふくれた頬は戻らず。どうやらカジノは年齢制限があり、小人族はみんな似たような目に遭っている様子。そういえば以前世間話の最中に、小人族はあまり待遇が良くないとか言っていた気がする。

 「とりあえずは……」「先にオーナーに話を聞く」

 どうやらさっさと終わらせて帰りたい様子。ならばそうしてあげましょ。

 適当な従業員を捕まえてこちらの事情とオーナーに面会したいと告げる。意外なほどあっさりと奥に通され、ここのオーナーと対面。


 「――その女の情報を集めているだけだな? 分かった。だが私の持つ情報も多くはない。一つ目に、その女は我々とは無関係だ。二つ目に、我々は被害に遭っていない。そして三つ目。もしも被害に遭えば、誰よりも先に我々が殺す。それだけだ」

 「何も知らないって素直に言ってよ」

 「……何も知らない。だがお前の事は知ってるよ。勇者様」

 門番とのやり取りをオーナーに八つ当たりしそうなアイシャを抑え、ここは引く。

 「すみません、お時間を取らせました」


 カジノ内で目を爛々と輝かせている二人を探してとっ捕まえ、引きずるように退散。

 「はあ……三人とも、いい加減にしろよ」

 「何さ。私なんか間違った事言った?」

 「あーいう連中はお前が関わっちゃいけないんだよ。それにお前の八つ当たりで俺たちまで付け狙われたらどうするつもりだ? 目標を保護した途端あれの部下に囲まれて、俺たちごと殺されるぞ」

 「……」

 頬をふくらませつつも、うつむくアイシャ。

 「ごめん。……私、強くはなっても中身は成長してないね」

 素直にはなったけれどな。次はそこの二人だ。

 「次。フューラ、リサさん」

 「ごめんなさい」

 強い口調になっているからだろう、中身を話すより先に二人揃って謝ってきた。

 「全く、どうしてうちの女性連中は後先考えず感情だけで動くんだ? そういう事してると、本当に死ぬぞ」

 「深く、反省します」

 三人とも頭を下げたので、まあ今回は許すか。



 ――その後。

 カジノを二軒目三軒目とはしごして話を聞いたが当たりなし。怒られてすぐなので、さすがに三人とも静かにしていた。

 結局一日目は収穫ゼロ。適当な店に入り夕食を取り、宿へと戻った。俺はフューラにも少し気を遣い、何もしないというアピールがてら先に寝る事にした。

 「それじゃ、先に寝るよ。おやすみ」

 「はい、おやすみなさい」



 ――二日目。

 起きると時刻は六時半。こっちに来てから街灯がほぼないおかげか、早寝早起き健康生活である。

 ……と思ったらフューラがいない。やっぱり俺の隣は嫌で女子部屋で寝たのかな?

 一時間ほどして本日の準備も整え、まずは朝食だと女子部屋をノック。

 「おーい、そろそろ飯食いに行くぞー」

 「……」

 反応なし? 誰もいないのか?

 「は、はーい」

 と思ったら焦った表情でフューラが顔を出した。準備が出来ていなかったのかな? あれだ、女の身支度は時間が掛かるという奴だな。これは失礼した。

 「準備がまだなら待つぞ。部屋に戻ってるから、身支度が終わったらそっちから呼んでくれ」

 「分かりました。……会話聞こえていました?」

 「いや? だからさっさとしろよ」

 女同士でコソコソする話といえば……俺に気があるのか? いやないな。100%有り得ん。


 部屋に戻りひとり溜め息。するとすぐ部屋をノックされた。アイシャが顔を出し、全員支度が終わったそうな。

 「早いな」

 「う、うん。あははー……」

 何だこの煮え切らない笑いは。


 「あの、お客様」

 食事を終え宿を出ようとしたところで止められた。

 「あーチェックアウトじゃないですよ。外出するだけですから」

 「そうではなくてですね、昨晩テレポーターが抗争に巻き込まれて亡くなったとの情報が入ってきまして、新しいテレポーターが来るまで、この街は閉鎖状態になってしまいました。なので数日から一週間ほどは滞在を覚悟してください。その分お代は安くしますので」

 なんとまあ、さすが犯罪都市。


 「まあ、仕方がないか」

 ふと女性陣が目に入ったのだが、何故だろう、シアも含めて全員青い顔をしている。

 「どうしたよ?」

 「えっ!? あ、い、いや……テレポーターがいないなんて、驚いたなーって。ねー?」

 「そ、そうですね。僕たちも気を付けましょう」

 「ええ。昨晩のような……」「だあっ!」

 リサさんの口をフューラが手で塞いだ。明らかにおかしいな。

 「何考えてるのか知らんけど、俺をこれ以上怒らせるなよ」

 「……う、うん。あはは」

 怪しい。しかし資金はそれほど持ってきた訳ではなく、補充のために戻れないとなると、枯渇するのは非常にまずい。節制倹約に励まなければ。



 ――聞き込み開始。

 本日はカジノ以外、普通の商店などで聞き込みをする事にした。

 「買い物は少なめにな。大体こういうところは普通に買うよりも値段が高く設定してあるもんだ」

 「うん、気を付ける」

 怪し過ぎるほどに素直だな。

 さてお店を回って聞き込みだが、話は知っていても正体は分からないという結果に終始する事になった。そして女性陣は結局何も買わず仕舞い。

 「そもそもカキア大臣の冊子に情報が少な過ぎるんだよなー。せめて被害者の詳細くらい載せてもらわないと」

 「そうだねー」

 ……えー、実はですね、女性陣何も買わないどころか、朝からずーっと三人とも生返事ばかりで心ここにあらず状態だったりします。こりゃー最悪の結果になってもおかしくないな。



 ――三日目、四日目。

 この二日はより広範囲というか、住宅街へも足を向けた。

 結論から言えば、有力とまで言える情報はゼロ。ただ被害男性に関しての情報は幾つか入り、やはり全員が幼い子供、しかも女の子の父親であり、子煩悩であるらしい。

 つまり推測としては、女の子と自分とを重ね合わせた末の逆恨みという可能性が高い。

 自分は恵まれなかったのにお前は幸せそうだ。羨ましい、妬ましい。その幸せをぶち壊そうと父親を監禁し暴行。

 「うーん、そんな人が世界を超える? ちょっと私には分からない」

 「僕は……うーん……」

 「わたくしも、可能性はあると思いますが、でもそれでは世界を超えた理由が分かりません」

 (うーん……?)

 女性陣は皆疑問符。

 「まー俺もこれが正しいとは思わないよ。というか、俺は両親を知らないからね」

 「え? どういう意味?」

 「あれ、言ってなかったっけか? 俺は孤児院出身なんだよ。だから親はいない。孤児院の先生はいたけれどね。あーだからって可哀想だとか思うなよ。それ俺に対してすげー失礼だから」

 驚いた様子の三人。シアに言っていただけか。


 四日目の晩飯を終えて部屋へ。財布を見るとついに資金が一シルバー、つまり一万円を切っていた。予想以上に減っている。これはまずいな。

 「カナタさん、ちょっと……」

 「うん? なんだ?」

 部屋で財布とにらめっこしていると、フューラが小さな袋を差し出した。

 「実は夕食後に出来るお仕事を見つけまして、こういう時なので僕が少し頑張ってお金を稼いでいます。黙っていてごめんなさい」

 「……危ない仕事じゃないんだろうな?」

 「えーっと……危なくはないです。それに僕は刺されたくらいじゃ壊れませんから」

 いつも俺が先に寝ていたが、その後フューラは仕事に出ていたのか。緊急時でもあるし、仕方がないがここはフューラに頼るか。

 「分かったよ。許可する。でもそういうのはもっと早くに言えよ」

 「はい。あ、それじゃあ僕は行きますね」

 はあ、溜め息が出る。袋の中には二シルバーと小銭が大量。倹約しながらではあるが、どうにか出来そうだ。



 ――五日目。

 この日、事件が起こった。

 「……ん……んー……んー? んぬわっ!? お、お前何してんだよっ!!」

 何か重いと思ったら、寝ている俺の上に、あの水着戦闘服のフューラが覆い被さっていた。

 「僕は構いませんよ……」

 「……寝ぼけてんのか? とにかく人の上からどけろ」

 よく分からんがとろけた表情をしていらっしゃる。まさか俺、寝てる間にやらかした訳じゃねーだろうな!?

 「僕の事、嫌いですか……?」

 「お前いい加減に目を覚まして俺の上から……ってうあっ!?」

 フューラを力づくでどかせようとしたところ、お約束とばかりにベッドから転落し、逆に俺がフューラの上へ。そして俺の手はと言うと……。

 「ふむ、柔らかいな。……ってそうじゃねーよ!」

 自分でノリツッコミをしてしまった。ああそうだ。アンドロイドであってもフューラのおっぱいは柔らかいのだ。じゃなくて揉んでしまったのだ。

 「なに、どした!? ……あ」

 最悪だ。頭にシアを乗っけたアイシャと、その後ろからリサさん。思いっきりまずい光景を見られた! 俺の人生終了のお知らせー。

 「い、いやこれはだな、事故だ事故! 決してやましい事では……って剣はやめろ! 仕舞え! だからって魔法唱えるんじゃねーよ!!」

 ラッキースケベとは何だったのか。いざ自分の番になってみると、これはアンラッキーそのものではないか! 命の危機ではないか!!


 とりあえずフューラの目をしっかり覚まさせて、女性陣が俺の処遇を決めるまで正座待機させられる羽目に。そんな俺の監視役はシアである。

 「はあ……本当にその気があってああなった訳じゃないぞ?」

 (……ふんっ)

 おいおい……。

 それから結構時間が掛かったが、三人が部屋にやってきた。まあ、良くて軟禁だろうな。悪ければ? ちんこもがれるんじゃね? 嫌だわ、女言葉のお勉強をしなくては。……って何やってんだろ俺。

 「――それでいいよね? うん。はい。それじゃカナタは不問。ただし次はないよ」

 「いやに優しい裁量だな。まーいいや。とりあえず揉んだのは本当だからな。申し訳ございませんでした」


 しかしこれは単なる入り口に過ぎなかった。



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