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第百二十二話  馬鹿で空気を読めない

 ――終戦記念祭二日目。フューラ視点。

 はい、今日は僕の視点です。そしてアイシャさんのいない現状、リーダー役はシアさんになりました。本物の魔王様なので当然ですね。

 「今日はどうするのだ?」

 「僕は早めにモーリスさんの検査をしたいところですけど、タイミングはモーリスさんにお任せです」

 「んー……じかんどれくらい?」

 「午前中には終わって遊びに出られますよ。僕はそのまま作業しますけど」

 モーリスさんはジリーさんの顔を見て、そして軽く頷きました。

 「うん。さきにする」

 「分かりました」

 傍から見た無言の意思疎通。ですけど、今のくらいならば誰が見ても分かりますよね。


 「それではわたくしたちは先にお祭りを楽しみましょうか」

 「そうだな。ジリーは?」

 「たまには一人で遊ばせてもらうよ」

 「モーリス、じゃま?」

 即モーリスさんが質問。

 「……うん」

 何かしらの合意があった様子。



 ――工房。

 さすがにここまでは出店は来ていませんでした。

 「さて早速始めますか」

 「うん……」

 ……えーと、予想は付くと思いますが、ジリーさんとの無言の合意後、モーリスさんは元気がなくなっています。

 あ、僕からそれを聞く気はありませんよ。お二人の問題ですから。

 「……こころ、きこえないようにできる?」

 おっと、そういう事ですか。

 「出来るか出来ないかで言えば、出来るでしょうね。しかしどうやら稀な能力のようですから、失くしてしまうのは少々勿体なく感じます。とはいえもちろんモーリスさんが堪えられないと言うのでしたら話は別です。その時には方法を探してどうにかしますよ」

 結構な沈黙の後に一つ頷いただけで、モーリスさんは自ら検査装置に入りました。……どれが装置だとは教えていないのに。



 ――数時間後。

 「お客様のお呼び出しを申し上げます。勇者アイシャ・ロット様とそのご一行様、至急王宮へといらして下さい。繰り返します――」

 おや? と、丁度検査が終わりました。

 「モーリスさん、起きてくださーい」

 「……んんー……ごめんなさーい……」

 寝言で謝るとは、どうやらジリーさんからの言葉に、何かしらあったんでしょうね。

 とはいえ寝たままにもさせられないので、揺すり起こします。

 「モーリスさーん、おひーるでーすよー」

 「……んー……んぁ? ……あっ!」

 あはは、顔真っ赤になっちゃいました。


 さて、本来ならばすぐさま分析作業に取り掛かりたいところなんですが、至急と付いたからには緊急事態でしょうから、私事は後回しです。

 「きんきゅー??」

 「あ、モーリスさんは寝ていましたからね。放送で僕たちが呼び出されたんです。とりあえず王宮まで行きましょう」

 「うん!」

 まずい事でなければいいんですけどね。



 ――王宮。

 着くとシアさんリサさん組も来ていました。

 「ジリーさんは?」

 「いや。我々も今着いたばかりだ。ともかくトム王に話を聞こう」

 モーリスさん、暗くなってる暇はありませんよ。

 (……うん)


 謁見の間に着くと、今回もトム王様は後ろからご登場でした。

 「ごめんなさい。えー……っと、二人足りないんですけど?」

 「アイシャは英気を養うために帰省。ジリーは一人でお祭りを回っている。放送に気付けばこちらへと来るはずだ」

 「そうですか。……祭りの最中なので大事にはしたくないんですが……例のモンスター騒動がまた発生です。場所はルーディシュ。あちらから緊急支援要請が来ていまして……この親書をセ・リーン陛下に渡して、後はあちらの指示で動いてください」

 全員で顔を見合わせちゃいました。アイシャさんがいない、しかも国外。よろしくない予感がビンビンしますね。


 「……あの国は本当に馬鹿なのですね。空気すら読めないとは」

 リサさんの尻尾がイライラしています。

 「気持ちは分かりますけど」「そうだな」

 え……シアさんもやる気の顔ですよ、これ。

 「フューラ、すまないがダンジョン制圧はジリーとの二人だけで行ってくれ」

 「まさかとは思いますけど、シアさんとリサさんでメセルスタンに乗り込むと?」

 「モーリスもー! おしりぺんぺんするー!」

 「ええ。わたくしたちには借りがありますから。……くっくっくっ、ご心配なきよう。ちゃーんと手加減はして差し上げます。滅びない程度に、ね……」

 これはカナタさんじゃなくても分かりますよ。メセルスタン逃げてー! 超逃げてー!


 と言っても、この三人が動くとなると僕はどうする事も出来ません。

 「分かりました。僕は先にルーディシュに飛びますので、ジリーさんが来たらその旨伝えてこちらに寄越してください」

 「止めるかと思ったのだが、そうではないのだな」

 「この三名を止めろと? 悪い冗談ですよ。あははははは……」

 思いっきり苦笑いしてあげましたが、三人も含めそこに居合わせた全員が苦笑いですよ。

 「ははは。分かりました。それではジリーさんは王宮で転送させますので、フューラさん、頼みました。くれぐれもお気をつけて」

 「はい。ではリサさん、転送お願いします」

 「後ほどお会いいたしましょう。ふっふっふっ……」

 怖いですよ、その笑い方。



 ――ルーディシュ王宮。

 直接王宮内に転送されちゃいました。一応は転送部屋のようですけど誰もいませんし、セキュリティ甘過ぎませんかね?

 部屋を出て……ここどこでしょう? 見つけた方に聞きますか。

 「えーっと……あ、すみません」

 「あー今忙しいから!」

 兵士さんを見つけたんですが、取りつく島もありませんでした。

 ……仕方がありません、適当に散策します。


 えーっと、以前も来ているので同じ光景さえあればどうにかなるんですけど……。

 「貴様!」「はいっ!」

 後ろから思いっきり声を掛けられ硬直しちゃいました。慎重に振り向くと……かなりお年を召した、しかし眼光はまさに精悍なそのものな兵士さんが、僕の喉元に槍を突きつけてきました。

 手を上げて何もしないアピール。

 「怪しいな。貴様何奴だ? さてはスパイか!?」

 老人にスパイ呼ばわりされるとは、懐かしい気分になりますね。しかし牢に入れられるのは勘弁なので、さっさと用件を説明します。

 「えーっと、グラティアからの応援で来ました。セ・リーン陛下にお目通りをお願いしたいんですけど」

 「……一人だけか?」

 「いえ、後からもう一人来ます。一応僕一人だけでも千人くらいとは戦えますよ」

 「こんな小娘が一騎当千だと? 余計に怪しい奴っ!」

 うわぁ……と思いましたが、そうですよね。普通に考えれば僕だって小娘ですから、この老兵さんが正しいんです。


 「待ちなさいっ!」

 っと、背後から若い男性の声。ふりむ……けませんでした。

 「ロー様! 近付いてはなりませぬ! こやつはスパイ!」

 「違います。その方は母の招いた客人です。いいからその槍を仕舞いなさい!」

 老兵さんは僕と、僕の後ろにいるロー・リーン王子様とを交互に見やり、ようやく槍を引いてくれました。

 「お客人とは知らず、とんだご無礼を致しました。申し訳ございません」

 「いえいえお気になさらず。見た目の怪しさについては否定出来ませんから。あはは」

 この老兵さんが文字通りの槍玉に上がらないように、笑顔で事を水に流しました。


 「すみません。とんだご無礼を」

 「いえいえ本当に気にしてないので。改めて確認ですけど、ロー・リーン王子様でよろしいですよね?」

 以前の時とは見違えて格好よくなられているので、失礼ながら再確認です。

 「はい、そうです。これから母のところへご案内します」

 「ならば先ほどの方ですが」「大丈夫、少しの間ご飯の具が減るだけですよ」

 ははは……。

 しかしこの王子様、若いのにすごくしっかりした方ですよ。シュンヒさんもしっかりしている方ですし、これならばルーディシュの未来は安泰でしょうね。ただし千年以内ならば。

 「……先に確認させてください。ダンジョン制圧の件でいらしたのですよね?」

 「そうです。僕ともう一人、シュンヒさんの友達のジリーさんとで制圧に向かいます。あとお気持ちは察しますけど、僕とジリーさんだけでも充分に強いですから、ご安心を」

 「分かりました。シュンヒからジリーさんの事は聞いていますし、勇者様のお仲間ならば疑う余地はありません」

 本当に、可愛げがないほどにしっかりしています。


 僕は一旦前室で待機です。まあなんと言いますか、普通の部屋ですね。

 「あ、いたいた」

 しばらくしてジリーさんご到着。

 「そちらは無事でしたか?」

 「え、何かあったの?」

 「あはは、不審者扱いされました」

 「あっはっは! 確かにフューラは不審者だわ!」

 大笑いされちゃいましたよ。しかし僕が不審人物に見られたおかげで、ジリーさんは何事もなくここまで誘導されたのでしょう。

 「そうそう、あっちの話も聞いたよ。なーんか危なっかしいよなぁ?」

 「あの面子ですものね。本人の前では絶対に言えませんが、危険人物三人組ですよ」

 「あーぁあー。同意はするけどしーらないっ」

 「ははは……」

 乗せられちゃいましたね。



 ――謁見の間。

 やはりこちらもかなり忙しい様子で、セ・リーン陛下も若干息が上がった状態でのご登場でした。

 ルーディシュ担当はジリーさんなので、ここはお任せしましょう。

 「すみません。状況はお分かりかと思いますが、なにぶんルーディシュは対魔物戦にはあまり慣れていないもので」

 「気にしなくていいですよ。まずはこれ。トム王からの手紙。……それと、シュンヒは?」

 「シュンヒは視察で留守にしております。巻き込まれてなどはおりませんのでご安心を。先にこちらを確認させていただきますね」


 僕たちは待機中。

 「……なるほど、把握いたしました。これよりルーディシュはお二方との共同戦線となります。またこの件が終わるまで、ルーディシュがお二方を縛る事はございません。ご自由に動いていただいて構いません」

 「そう。よかった。んじゃー本題に入りましょうか。まずダンジョンのランクは?」

 「初級ランクです。我が国でも最も簡単なダンジョンなのですが、魔物の量が尋常ではないので、どうしても手が足りないのです」

 ジリーさんと顔を見合わせ、無言で頷きました。


 「こっちの事は?」

 「全て把握しております。先日同様の件があった事も、魔王プロトシアが魔王職を辞した事も、現在は終戦を祝したお祭りを開催中である事もです」

 さすが情報に強い国家ですね。

 「だったら隠す必要はないね。これはメセルスタンが仕掛けた事だよ。シアとリサさんとモーリスの三人がメセルスタンに向かったから、近いうちに動きがある。はい、代わりにそっちからも情報をもらおうか」

 ははは、ジリーさんも中々ですね。

 「分かりました。しかし情報を出すのは制圧完了の報酬としてです。駆け引きならばこちらに一日の長がある事をお忘れなく」

 ほほう……。


 「では僕からも駆け引きを一つ。確実な制圧をするためにはメセルスタンを潰す必要があります。でなければこれが収まったとしても、世界中で何度も同じ事が起こります。これは駆け引きなので、何故なのかは伏せさせてもらいますよ」

 「……なるほど、一日の長があるのはお互い様ですか。では一つだけお教えいたします。アクビ教皇は、馬鹿の付く野心家であり、また極端な強硬派です。シャックリ教皇とは別の意味で危険人物と言えましょう」

 これを聞いて私とジリーさんは、ちょっと笑ってしまいました。

 何故ならば、あの三人の大・大・大好物だからです。これは帰ったら面白い話が聞けそうですよっ。


 「うっし。それじゃーあたしらも暴れに行くか。場所は?」

 「マンガルパンティーという村になります」

 「……まんがる……」「パンティー……」

 地名なので仕方がないんですが、二人して複雑な表情を浮かべてしまいました。

 「ふふふ、外からの方々は皆同じ反応をしますよ。あと大泥棒が潜んでいそうだとか、行ってもいないのに褒める方もいますね。ここは茶葉が有名で、マンガル地方、パン村産のお茶というのが本来なのですが、何故か全て繋がり、こうなってしまったのですよ」

 名称を変更した方は、間違いなく悪意というか、エロ意・性意がありますね。

 「お茶だったらお土産にいいかも。シアとリサさん喜びそうじゃん?」

 「ああ……目に浮かびますね」

 「ついでに、ここルーディシュは全国的に茶葉が有名なのですよ。一番有名なのはダージリンでして……そうですね、依頼の報酬として茶葉もご用意いたしましょう」

 「おー、こりゃー午後のティータイムと洒落込めそうだ」

 「あはは、楽しみが増えましたね」

 僕的には砲火後のお茶の時間になりますね。



 ――ルーディシュ領、マンガルパンティー。

 到着後すぐに、その光景に圧倒されました。

 澄み渡った青い空に、一面緑の茶畑と、遠く空に混じる青い海。輝く真っ白な壁に赤いレンガ屋根の建物がぽつぽつと建っていて、自然と人工物の織り成す色彩のコントラストが素晴らしい。

 ジリーさんと一緒に感動していると、転送屋さんが自慢げに話しかけてきました。

 「どうだい、これこそが南ルーディシュ随一と謳われる、通称”マンガルイラスト”だよ。それから、鼻に意識を集中してごらん。お茶の香りがするはずだ」

 「……あっ、本当ですね。仄かにですが、さわやかな香りが鼻筋を通り抜けていきます。それにこの光景、本当にイラストに残したくなりますよ」

 「……あー、ここは荒らされたくねーや! フューラ、本気で行くよ!」

 「はい、もちろん!」

 時刻はほぼ正午。あと三時間以内には済ませたいところです。

 「そうだ、転送屋さん。ここに初級ダンジョンがあるって聞いたんだけど」

 「海岸沿いに出ればすぐ分かるよ。それに看板も立ってるからね」

 「分かりました。んじゃ行くか」


 海岸沿いに出ました。

 「看板みーっけた。あっちか」

 「砂浜だと足が取られそうですね。飛んで行きますか?」

 「んー……そうする。今回はフューラに乗っかるよ」

 「おや、またなんで?」

 「気分」

 んー……まあ、いいでしょう。


 僕の飛行装置を一本貸して現場へ。

 現場は海岸沿いにある洞窟で、しかし洞窟というよりは地面に地下へと向かう穴がぽっかり開いているという雰囲気。敵はゴブリン種とコボルト種が中心で、スライム種も混ざっています。序盤御三家といったところでしょうか。

 「ルシェイメと比べれば被害は抑えられているようですね」

 「でもやる事は同じ。フューラ、まずは外にいる奴を片付けちまいな」

 「はい」

 結局僕は命令を聞く側ですね。

 いえ、それが嫌だという訳ではありません。むしろ気が楽ですから。


 「それでは……色々省略。撃ちます!」

 念のため人の近くにいる敵はターゲットから外しました。

 一瞬で暗くなる空に、敵も味方も手が止まっています。では、一斉掃射!

 我ながらこの瞬間は快感です。

 なにせまるで時が止まったかのような静寂が通り過ぎ、土ぼこりが収まれば事が終わっていて、そんな大それた事を僕一人で出来てしまうんですから。


 さてこちらは土というよりは砂埃ですが、ようやく収まり様子が見えてきました。……人的被害ゼロを確認。ふう、一安心です。

 「っひゃー相変わらずつえぇーなー」

 「あはは。でもジリーさんだって衝撃波で広範囲攻撃可能じゃないですか」

 「まーね。んじゃ残りを掃除するぞ!」

 「はい!」

 しかしこれほどまでに強い僕ですが、一発の威力ではリサさんにもジリーさんにも劣りますし、本気のアイシャさんには一発も当てられずに終わりますよ。魔族二名は……シアさんにならば勝てるかな? なーんて。あはは。



 ――海岸のお掃除終了。

 一通り片付きました。這い出てこようとしている敵は、現在は地元の兵士さんが当たっています。

 「いやぁ助かったよ。二人だけなのにすごく強いね」

 「まーね。なんたってあたしら、勇者の仲間だから」

 「あー! ならばこちらも心強い!」

 胸を張るジリーさん。綺麗な形のおっぱいですよ。

 「このダンジョンの説明お願い出来ますか?」

 「いや、俺は詳しくなくて……えーと……あそこが事務所だから、そこで確認して」

 「分かりました」

 そういえばエスケープリングも借りないとですからね。


 事務所はグラティアとそう大差ない造りです。しかしカウンターには誰もいません。

 「すみませーん」

 ………………。

 「避難しちゃったんじゃね?」

 「ですかね。……あ、パンフレットありますよ」

 「んー? どれどれー」

 ジリーさん、自分でパンフレット取ればいいのに、僕が手に取ったのを横から覗き見してます。

 「っくしゅんっ! あーごめん」

 耳元で思いっきりくしゃみをされました。悔しながら一瞬ピクッ! としてしまいましたよ……。

 「もう……風邪ですか? 移さないでくださいね。ただでさえ風邪にはいい思い出がないんですから」

 「だからごめんって」


 改めてパンフレットを確認。えーっと、このダンジョンは地下三階層ですって。かなり浅いですね。

 敵はゴブリン・コボルト・スライムの他には、例の大ウサギがここにも。それからスカルヘッドにグラスワームに……おや、最下層には魔法を使うプアリッチさんもいる様子。

 「結構バランスいい配置してんな」

 「ですね。……楽しそう」

 っとポロリと本音が。

 「あっははは! フューラからそんな言葉が出るとはね! んじゃー存分に楽しもうや!」

 「あはは。はい、楽しみましょう」

 ちなみにエスケープリングは置いてませんでした。三層しかないならば不要ですけどね。



 ――マンガルパンティーダンジョン。

 字面に起こすとパンティーが凄まじく目立ちますが、まあまあ。

 「フューラ、明かりある?」

 「ありますよ」

 という事で懐中電灯をオン。

 地下の洞窟ですが、壁は白くてかなり綺麗です。大理石……ではないでしょうけど、この村にある建物の壁が白いのは、ここから石材を切り出しているんでしょうね。

 「……見事な白いパンティー」

 「あはは! やめてくださいよー」

 僕もジリーさんも女性だからいいですけど、カナタさんやモーリスさんがいたら、絶対にひどい事になっていますよ。


 っと、入り口付近はよかったのですが、少し進めばルシェイメと同様足の踏み場もありません。

 「パンティーのバーゲンセールですね」

 「あっははは! フューラだってあたしの事言えないじゃん! あーでも笑ってる暇はないね。っしゃっ! 稼ぐぞぉー!」

 「負けませんよぉー!」

 大勢を一網打尽にするのは僕の専売特許です。


 ふっふっふっ、リサさんではないですが、不敵な笑みと、大量のボールを浮かべましょう。

 ターゲットオールレンジ……と人間は除外。ジリーさんも除外されているのを確認。

 んーんふふっ、結構な数をロックしましたよー。

 「ジリーさん、一旦止まってくださーい」「あいよー」

 「では行きますよー。ファイア!」

 うーん、我ながら惚れ惚れするほどの殲滅力。バーゲンセールの行列が一瞬で消し飛びました。

 「フューラ一人いれば充分じゃねーの?」

 「僕にだって死角や弱点はあります。それに使い過ぎると武装も僕もオーバーヒートしますから」

 これまた皆さんには秘密なんですが、万単位への一斉射撃が可能なのは、一日十回程度なんです。それ以上はエネルギー的にも僕の負担的にも厳しいので。



 ――その後。

 僕たちはルシェイメと同じくまずは最下層の最深部へ。

 「……あー、ここもです。やはりメセルスタン方面から音波による魔法攻撃を受けていますね」

 「って事は、あっちがどうにかしてくれねーと持久戦かぁ。……まーあんまり大きなダンジョンじゃねーから、何度か地上とを往復して、収まるのを待つしかねーな」

 「予想はしていましたけど、結構厳しいですね」

 「弱音は吐いてられねーよ。んじゃ、地上へ向けてれっつらごー!」

 ……頼みましたよ、デンジャラス・トリオさん。



「マンガルパンティー」

とんでもない名前だ! と思う事なかれ。この地名にはしっかりと元ネタがあります。

インドの西、海沿いにマンガルパディーという名前の地名があるんですねー。

もう一目見ただけで改変した地名が浮かびましたよ。

ただし名前が元ネタだというだけで、中身は全く違いますので、ご注意くださいませ。


それから競馬でモーリスがブレーキで2着だとか。

一方うちのモーリス君はここから一気に追い上げますよ。

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