第百十五話 海底都市 東京
――船上。
「うへぇ……まさかの波ぃ……」
港の中はよかったんだけど、外洋に出ると結構風と波があって、リサさんも私も大ピンチ。
「出る前に酔い止め魔法はかけたであろう? 後は気の持ちようだ」
「あんたには分からないよねー……」
「いや、私も鳥ながら酔ったぞ?」
「……そうだった。ならあんたにも酸っぱい思いさせてやるぅー」
「ははは」
笑い事じゃないんだけど……。
「もう少ししたら風は収まるはずだから、そうしたら波も収まるよ」
船員さんから希望をもらいました。
そして二時間くらい。本当に波風が収まった。
「おえー……」
けどリサさんは時既に遅し。私はどうにか耐えてます。
「これだったらリサさんだけでもティトナに転送させるべきかもしれませんね」
フューラも呆れ顔。
「いえ……チェリノスの名にかけても、海底都市おえー……」
駄目だこりゃ。
――二日目、例の地点。
それでもリサさんは意地でどうにか耐えました。
「といってもヘロヘロだねー。あたしのわがままには付き合わせられないよ」
「……いえ……ここまで来たのですから……何が何でも……」
意地ってよりも決死の覚悟だね、これ。
「はあ、しゃーないね。そっちも諦めな」
「ははは……」
苦笑い。
「んじゃモーリス頼む」
(うん)
モーリスはジリーに向けて魔法を使用。……見た目には分からない。
(――――――――、――――――――。……――――!)
「へえ。やるなー」
(えへへー)
んと、水に入れば泡が体を包むんだって。それで一時間は息が出来るみたい。
「リサさんは……シアは同じ魔法使える?」
「いや、六千年で魔法も進化しているのだ。なので私はまず学ばなければ使えない」
「そっか。そうだよね」
リサさんは私の知らない属性の魔法を使える。それだけでも納得だよね。
「とりあえず三十分を目安に上がってくるよ。それ以上経っても上がってこなかったら何かあったと思ってくれ。んじゃ行くぜー!」
そう言って船上から豪快にダイブしたジリー。……お尻打った。
……へえ、ああなるんだ。水に入ったらすぐさま大きな気泡がジリーを包み込んだ。そして気泡の中でジリーは泳いで潜っていった。なんか不思議な魔法。
「ねえモーリス、あれシアにも教えておいて」
(うん)
元魔王様には突貫で覚えてもらって、もし街に入れるんだったら私も行きたいから、その時はシアに魔法をかけてもらう。
――約三十分後。
「……んはあー……おーい!」
ジリーが水面に上がってきた。ちょっと遠いから大声。
「どうだったー?」
「わかんねーけどー、封印みたいのはなかったー!」
……っていう事は?
「ミアさん」
「港で一応聞いといた。結論としては誰も近付いてないから、変化があっても分からない。参考にはならないね」
うーん……。
「つまり、何かがあったとすればここ最近だよね。最近あった変化といえば……もしかしてシアが復活したのが鍵になってるのかも」
「この場合は、カナタが鍵だと思うぞ。……どうする?」
「どうする……って、一つしかないよ。もう決めてるもん。好奇心の向くままに、そして勇者としてのカンの指し示すほうへ」
「ははは。では行こうか」
リサさんは……あれ? 顔色復活してる。
「酔い止まったの?」
「なんとか。酔い止め魔法を五重にかけました」
ご……それって体に悪いんじゃ?
「こちらもモーリスから魔法を習得出来たので準備は万端だ」
「僕はリサさんに魔法をかけてもらいますのでご安心を」
(――――――!)
モーリスは自分でかけるって。
「よし、それじゃあ行こう。ミアさん、悪いんだけど二~三日は覚悟してください」
「はいよー。気をつけて行っといでー」
気が抜ける感じが丁度いいね。
――いざ突入。
ジリーは飛び込んだけど、私たちは縄梯子から降りました。
「っとと。……不思議。水面に立ててる」
「意識する方向に気泡が進みますから、ジリーさんのように泳ごうとしなくても大丈夫です」
「あはは、そうなんだ。……あ、本当だ」
実際にあっちに進みたいって思ったらそっちに進んだ。これは便利だね。
ジリーとも合流して、みんなで水の底へ。
「……水中でも声は聞こえてる?」
「聞こえてますよ」「ええ」「大丈夫だ」「バッチリだね」(うん)
よかった。とは言っても指で示せばどうにかなりそうだけど。
そして近付けばより分かる、広大な街の規模。眼下に見える全部が街。本当に信じられない。
「皆、ここから先は何が起こってもおかしくはない。もしかしたら街に着いた途端に魔法が切れて溺死という事も考えられる。改めて覚悟を決めてくれ」
シアの本気のトーン。もとより覚悟はしてたつもりだけど、改めてそう言われて、ちょっと震えてる。本気で覚悟をしなくちゃ。
より深くへ。
どんどん暗くなっていって、どんどん不安が増してくる。
……ちょっとだけ後悔し始めた。
もしもカナタの時代に飛ばされちゃったら? もう戻れなくなっちゃったら? そうしたら、この時代はどうなるの?
……不安に押し潰されそう。
「アイシャ」
シアが来て、私と手を繋いでくれた。気泡は合わさって一つになって、私も少し安心してる。
……周りを見る余裕が出てきた。フューラとリサさん、ジリーとモーリスも手を繋いでいて……みんなこっちに来て、全員で手を繋いだ。
みんな不安なんだ。
「結構来たね」
「ああ。私はこれくらいの高さからこの東京を眺めていたのだ。なので……えっ!?」
びっくり! いきなり海がなくなって、すっぽ抜けて、空が明るくなって、そして私たち全員落ちた!
「いいいいいやあああああ!!!」
雲を突き抜けて、そのまま落下! どんどん地面が近付いて来る!
「僕が!」
フューラがとっさに飛行装置を出して、全員どうにかセーフ。
「ああー、死んだかと思った……」
「飛行装置が丁度六本で助かりました。……あそこに着地します」
フューラが指で示したのは、大きな建物の屋上。っていうか、そこかしこに見た事もない大きな建物があって、目が回りそう。
――東京。
「いよっと。……みんないるよね?」
「いますよ」「ふう」「焦ったな」「ほんと」(セーフ)
よかった。……よくないか。まずは事態を飲み込まなきゃ。
「えっと……はい。私は全然分かりません。モーリスもでしょ?」
(うん。――――――――)
初めて見る光景だらけだって。
「だろうな。私だって最初はそうだった。そして混乱のまま飛び続け、食事にもありつけず、他の鳥に攻撃を受け、空腹で動けなくなっていたところをカナタに助けられたのだ」
当然だよね。私たちにとっては目の前の光景全部が理解不能。
……ちょっと下を覗きこんでみた。
「えーっと……えー? えっと……なっ、えー?」
もう言葉になりませんっ!
とにかく人が一杯で、みんな人間族……だね。私たちみたいな髪の色をしてるのは全然いなくて、みんな黒い髪か、所々に茶色い髪の人がいる。服装は……派手な色の服が多いね。でもポール・テーラーで見るような服も多いよ。あっ、シアが着てるカナタのスーツ! あー、それでなんだ。納得。
……出来ないよ。何で海底の都市にこんなに人がいるの!? 何あのすごい速さで動いてるの!? あれでなんでぶつからないの!? って止まった。……ら、別の方向のが動いた。
えー? ……ぜんっぜん分かんないっ!!
「……説明出来る人?」
「僕たちは出来ます」
……そうなんだよねー。ちょっと涙目になってます。
そして四人から説明してもらいました。あの動いてるのが、カナタが使ってて、今はシアとジリーが使ってる乗り物の親戚なんだね。ジドーシャって言うらしい。
「でもこんなに綺麗に一斉に動けるものなの?」
「そういう法律がありますから。そしてここにいるほぼ全員が、あれを動かすための免許を持っています」
「……信じられない。あんな子供も持ってるの?」
「うーん……多分子供は持っていません。法律を理解して正しく運転するための年齢制限があるはずですよ」
あ、ちょっと安心。
……いやいやいや!
「待って待って! じゃあこの大勢の人は何? ここ海底に沈んだ都市だよね? もしかして私たち全員カナタの時代に飛ばされた??」
「それは……」「違うね」
ジリーだ。
「あの人。あの赤い服の人。よーく見てな」
よーく見てみる。私たちのいる建物の前を通り過ぎて、そのままずーっと歩いていっ……消えた!
「ほら、あっち」
「……えっ!? いた! ……あれ? 同じ人だよね? 同じ人が同じ動きで同じ道を同じ方向に??」
またこの建物の前を通り過ぎて……。
「……あ、また消えた。……あっちに出てきた!」
「なるほど、およそ二分ほどで時間がループしているのですね」
「およそではなく、きっちり二分でループしています」
リサさんもフューラも強いなぁ。さすが時代が違う。
そして観察する事十分ほど。リサさんが結論を出した。
「この街の時間は、延々二分間隔でループし続けています。これは恐らく、この二分が終わったあと、大きな変化が訪れるのではないかと。つまり最期の時をループし続けているのでしょう。そしてわたくしたちは迎え入れられた。そこには何かしらの意志が働いているものと推測します。……恐らくはカナタさんの」
カナタの意思で迎え入れられた。そうしか考えられないもんね。
「そしてもうひとつ。わたくしたちは彼らからは見えず、触れる事もかなわないでしょう。つまりわたくしたちは亡霊も同じ。……いえ、この場合は彼らこそが亡霊ですね。なので臆する事はないと思います」
臆する事はないって言ったって……。
「……あたしが行く。この中で一番普通の格好なのがあたしだからね」
「ジリー……」
「先に言っておく。今まであんがと。感謝してるぜ」「ジリー!」
言うが早いか、ジリーは屋上からそのまま飛び降りた。
――ジリー視点。
あたしに命の使いどころってのがあんなら、ここだ。
……あ。勢い任せに飛び降りたけど、もし色々違ってたら? あたし死んじゃう!?
「んんんー……っと。ナイス着地」
意外って言ったらいいのかな? あたしの身体能力ってのはそのまま使えるみたいだ。
じゃあ次だ。あの赤い服の人に、ちょっとだけ当たってみよう。肩が擦れる程度な。
「………………おっと」
当たった! で、睨まれた!!
「あ、ご、ごめんなさい」
謝ったら、何も言わずに歩いて行っちゃった。……消えた。って事は? 前から来た!
「………………おっと」
また当たった! で、また睨まれた!!
「ごめんなさい」
さっきと同じ。
……もしかして……全部本物!?
いやいやいやいや、待て待て待て待てー!
本物だったら、これどういう事なんだ??
えーっと……ん? あ、いい事思いついた。
あたしの目の前にあるのは、道路標識だ。もしもこれを曲げて、んで二分経って戻ったら? ……あぶねーかなぁ?
「ジリーさん」「おわっ!? と。フューラ? どこから声してんだ?」
「発信機に通信機能を追加していたのを忘れていました。上から様子を見ていますが、これは明らかに、この街は生きていますね」
「ああ。んでさ、この標識を曲げて、二分後に戻るか試してみたいんだけど」
「待ってください」
「――アイシャさんから許可が出ました。ただしやり過ぎないようにと」
「わーった」
でも言ったのはいいけど、すげー緊張感だよこれ。
……ちょっとだけな。あの赤い服の人があたしの後ろを通り過ぎたら試す。
「……今だ。いよっ」バキッ!「ふぁぇっ!?」
おいおいおいおい、曲げるつもりが折れたぞ!?
やっべー!! あー、視線があああっ!!
……戻った。あたしがそのまま握ってた鉄の棒もなくなって元に戻ってるし、周りの目線もなくなってる。最初に戻ってる。
「……戻ろう」
――再びアイシャ視点。
ジリーが建物の隙間から器用に戻ってきた。昔取った杵柄?
「おかえり。これで分かったね」
「ああ。この街は二分で全部がリセットされてる。きっとあたしらが何をやっても二分で戻る。……まーあの視線は気分のいいものじゃねーけどな。あ、そうだ。魔法は使えるのかい?」
「試しました。大丈夫ですよ。しっかりとわたくしたちの時代と同じでした」
ホーリーライトと浮遊魔法にチェスト魔法、そして私の属性付与魔法。全部使えた。
「……次の目的地は決まったね。シア、案内頼んだ」
「任せろ。……と言いたいところなのだが、如何せん迷いながら偶然に辿り着いたので、正直自信がない」
「大丈夫。何がって言われても困るけど、カン」
「……分かった。えーと確か住所は――」
住所、覚えてたんだ。
移動は空からにしました。私はシアのスクーターに同乗。でも……。
「明らかに指差されてるよ」
「皆意外と目がいいのだな」
「そういう事じゃないんだけど……」
それでもやっぱり二分でリセットされていて、飛んでる最中にも人の動きが一瞬で戻ってる。
「……なんか気持ち悪くなってきた」
「大丈夫か? 酔ったならば」「そうじゃない。人の動きに酔ったの」
「……確かにこの異様な光景には酔う」
「ねえ、あとどれくらい?」
「んー……もう少しかかる、はず」
本当に自信ないんだね。でも今は任せるしかないか。
――更に数十分。
「飽きたー」
「言うな。……あっ!」
「え? 見つけた?」
「いや、しかし一旦降りるぞ」
そして降りたところは河川敷。みんなも降りてきて、合流。
シアは橋脚部分を丹念に調べてる。
「……ここだ」
「ここがカナタの家?」
「いや。ここで私とカナタが魔法陣を描き、時代を渡ったのだ」
するとリサさんも丹念に調べ始めた。
「……なるほど。確かに魔力の痕跡があります」
そしてリサさんは魔道書を取り出して集中し始めた。多分もっと詳しく調べてるんだと思う。
「シア、それじゃあカナタの家は近いの?」
「……自転車は分かるな? あれで半日近くは人の来ない、いい場所を探していた。なので近いというほどではないが、しかし近付いてはいる」
「そっか。それじゃあ上からもう一回よく見れば、どこかに見た光景があるかもね」
「そうだな」
後はリサさん待ち。
それから十分くらいかな? リサさんのしっぽが揺れたから終わったみたい。
「……ふう。お待たせしました。確定です。シアさんの魔力と同一でした」
「やはりか。ちなみに経過時間は分かるか?」
「いえ、このような状況ですから、シアさんが魔法を使ってからどれほど経っているのかは分かりません。ただ、シアさんの魔力の影響でこのような現象が起こってしまった、という可能性はないと断言いたします。そこは安心してくださいね」
「ははは。私の心を見透かしてくれたか」
だよね。シアは色々責任を感じちゃう性格だから、こういう部分でもそう考えてると思った。だけどおかげで笑顔になったから、先にここを見つけられたのは正解かも。
――再度上空へ。
「さて皆、カナタの家は赤い屋根のアパートだった。恐らくはこの周囲にあるはずなので、一旦手分けしよう。……三十分後、ここに集合だ」
「分かりました」「赤い屋根ですね」「宝探しだね」(がんばるっ!)
「あ、フューラとリサさんはそれぞれ飛べるけど、二人で行動する事ね」
「はい」「ええ」
一応言っておかないとね。
三班で三方へと飛んで、カナタの家探しスタート。
「って言っても、赤い屋根なんて……あった」
「あれは違う。もっと細長い建物だ」
「うーん……あれは?」
「あんなに階層はない。二階建てで細長い、赤い屋根の建物だ」
んー……。
んで、結局はシアが見つけました。
「まあ、住んでいたのでな。……そうだ、これにも無線機能があったな。えーと……これか」
シアが、ボタンをポチッと押した。
「聞こえるか?」
「おっ、聞こえますよ」「こっちも」
「よかった。見つけたので、こちらに来てくれ」
「残念、先を越されましたね」「ですねー」
フューラとリサさんは本当に仲がいいなぁ。
「フューラとリサさんは本当に仲が良いな」
「あ」「うん?」
「同じ事考えた」「同じ事考えたか?」
ハモった! そして向こうでみんな笑ってる。
――カナタの家。
全員集合して、念のため見つからないように慎重に部屋の前へ。
扉は木製……じゃない。鉄の扉に木目が描いてあるんだ。結構洒落てるんじゃない?
ドアノブも鉄の……じゃないかな。多分私の知らない金属。そういえば扉もかも。
「誰が開けますか?」
なんてフューラの冷静な一言。
「そんなの決まっているであろう」「ええ。一人しかいません」「だね。任せた」(うん)
私のお仕事だね。
……慎重になってる。緊張してるんだ。
だってさ、扉の向こうにはもしかしたらカナタが待っているかもしれないんだよ。ここが「またな」の場所かもしれないんだよ。
「……みんな、ちょっとだけ勇気、頂戴」
自分でも意外だった。私の口からこんな言葉が出るなんて。
でもそれって、本当に怖がってるんだよね。だから無意識にみんなに助けを求めた。
……みんな、私の背中に手を当ててる。五つの手の平が分かる。
「んよしっ!」
この勇気は私一人のものじゃない。ここまで来られたのだって私一人の力じゃない。だったらみんながいれば私は進んで行ける!
ドアノブに手をかける。……つめたい。
慎重に回す。……結構力がいる。
止まるまで回ったから、後は開くだけ。押し……あれ? 引くのかな? あ、引くんだった。けど……重っ!
それでもゆっくりと開いて、家の中が見えた。
……誰もいなかった。
「……無用心だなぁ。あはは」
余裕が出てきた……んじゃないな。これは強がり。
「お邪魔しまーす……」
「あ、アイシャ。靴を脱いで上がれ」
「え?」
「この時代ではそのようなしきたりだったのだ」
……面倒だなぁ。でもカナタがそうだったならば従おう。
部屋の中には色々なものがあった。そして、私が見た事のある物も。
「……これは驚いた。あの頃と全く変わっていないではないか」
一番驚いてるのはシア。
「カナタとあんたが住んでた時のままって事だよね。……これ、てれびだよね」
「ええ。僕の工房完成の際にカナタさんから頂いた物の中にありましたからね」
「うん」
確か、壁にあるあの白いのがえあこん。こっちにあるのがぱそこん。……こんが多いね。
「シア、あんたはどこにいたの?」
「放し飼いだったな。当時から何故かカナタの言葉だけは理解出来たので、それに従っていた。そしてカナタは何度か私を手放そうとしたのだが、心のどこかで離れてはいけないという思いがあり、迷惑を承知で脱走し戻ってきた」
「あはは、悪い鳥さんだー」
「笑ってくれるな。私だって必死だったのだ」
「分かってるって。それに、おかげで今の私たちがあるんだからね」
冗談を言える余裕が出てきたし、視野も広くなってきた。
「いよーし、粗探ししちゃおう!」
って言ったら、ドアがガチャガチャって!
みんな一斉に振り返ってドアを見て、固まった。
なんか音がしてるよ。
……ドアノブの真ん中にあるのが回った。あれ鍵だ! えっ!? 鍵って事は……えっ、えっ、ちょっと待って! 心の準備がっ!!




