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イベント満載!?体育祭

 2次元だったゲームが3次元で展開している。

 この状況に違和感が無いわけじゃない。世界はゲームであり、現実だ。

 画面の向こうでキラキラ輝いていた彼らは、外見上の特徴こそ残すものの、カラフルだった髪色は常識の範囲内に収まり(たまに派手にしてくるのもいるけど)、せいぜいちょっとカッコイイ男性モデルさんくらいの美しさで現実に溶け込んでいた。

 ()れようとすれば(さわ)れる。他愛ない話をする。生きている。


 ゲームとは違う彼らに、それでも私は魅せられ始めていた。




 入学式から2月経ち、6月も終わりに差し掛かろうという頃、私達は体育祭の日を迎えていた。


 いくつか個別イベントを挟み、何となく感覚も掴めて来た。何と言うかシミュレーション的な意味で。

 …あれ?これ要素が無いとは言わないが、元はアドベンチャーだったよね?

 兎も角、それも踏まえ、友美にはアドバイスをしておいた。

 曰く、気になる人がいたら行動すべし。

 「勉強でも容姿でも、とにかく自分磨きをする事」「相手の情報を手に入れる事」「同好会の日で無くても、まめに会いに行く事」「休日にはデートに誘え」等々。

 ……どこで培ったノウハウかは聞かないように。


 同好会の日は、友美の好感度チェックの日でもある。

 本来なら、駅前にいるゴスでロリな電波少女に占ってもらう所だが、本人じゃないと意味ないし。

 意味無くても占いに行ったりするけどね。サブキャラ攻略!ムッハー!

 顔だけなら美少女なのよ?彼女。なんか受信したりするけど。


 ともあれ、この体育祭で何かイベントが起これば、現状第1位が誰なのか把握できるだろう。



 ちなみに私自身としては、無口のSPこと椿先輩に、「お茶は楽しく飲むのが良いんですよ」と、和菓子と緑茶の差し入れを。

 あ、ちゃんと観月先輩からの許可貰いました。…苦笑されたけど。

 いかつい顔に浮かぶ優しげな微笑みで、有り難うと言われました。いえ、こちらこそ御馳走さまです!


 例の、観月先輩にイケメンパティシエが主人公の少女漫画を差し入れた件については、後日、本の返却と共にばっちり本のケーキを再現して貰いました。

 味? 超 美味しかった。

 引き続き最新刊も貸しますので、是非あの芸術なクリスマスケーキ作って下さい!先輩!


 後、白樹君とは結局あれから一度もまともに話せてない。

 まあ、無理に話す必要無いんだけど。

 いくらクラスが一緒でも、所属グループが違うとこんなもんだと思うし。

 白樹君は白樹君で大きなグループの中心にいて、今日もやっぱり囲まれていたし、私や友美はいつも一緒の女子グループや、同じ男子でも木森君達と話す事が多いしね。

 だからなのか、イベントが起こった割には友美の反応も薄い、っていうか…。


 どっかの東雲愉快犯に関して、友美には話半分に聞いておくよう注意した。

 それでも何か騙されていたりしてたみたいだけど、大事になっていない様だったから、まあ良いか。


 空条先輩はいつも泰然としている。安定の俺様っぷりだ。でも、たまに忙しそう。

 友美とも大きな進展は無いみたい。むーん。

 先輩からは「お前は変な事に詳しいな」ってよく言われる。盛大にサバ読んでますからね、これでも。



 とまあそんな事があって、無事体育祭本番を迎えた。


「櫻ちゃん、お疲れ様」

「お疲れー」

「ありがとー。1位とれなかった。ごめーん」

「いいって、央川。まだ挽回できる位置だから大丈夫だ、まかせろ」

 競技が終わって自分の席に戻って来た。

 ちなみに出たのは借り物競走で、借りたのは眼鏡だった。

 自前じゃ駄目なのかな?念のため他の人、というかたまたまクラス席にいた大寺林先生の眼鏡を借りてゴール。

 先生が眼鏡持っているなんて知らなかったから、結構びっくりした。

 あ、例の同好会、非公式顧問はうちの担任だった。知ってたけど。

 2回目のお茶会で顔合わせして、「俺は煙草を呑みに来ているんだ」とか言われたけど、うん、だから知ってるんだって。


 先生の眼鏡を顔に近づけたり遠ざけたりしていたら、老眼鏡じゃないって怒られた。

 何故ばれたし。


「次何の競技だっけ?」

「ええと、騎馬戦だね。その後有志のダンスと組み体操、で、食事休憩兼部活対抗リレー」

 ちょっと暑くなったので、肩にタオルをかける。

 そのまま、友美や他の子と次の競技について話していたら、呼び出しを受けた。

「友美ちゃんと櫻ちゃん、いる?」

「いるならさっさと出てこい」

「…明日葉、それでは脅迫だ」

 まさかの先輩達だった。


「お前ら何だ、ここは1年の席だぞ」

 先生も混ざりますか。うーん、カオス。

「空条先輩、観月先輩、椿先輩、こんにちは!」

「どうもです…何かありましたか?」

 うわあ、空気!空気!見られてる!クラスの皆さん超ガン見です!

「いやあ、なにかも何も、明日葉が様子見に行きたいって言うからね?」

「待て輝夜、発案者はお前だろう。“頑張っている後輩に激励しに行ってみたら”って言ったろうが」

「言ったな」

「ちょっ、三十朗!」

「…お前ら、騒ぐなら余所でやれ」

 後輩置いてきぼりで騒ぎ始めた3先輩に、先生が追い払う仕草をした。

「ごめんごめん、ホントに顔を見に来ただけだったんだよ」

「お前らの競技は何だ?」

 先生の制止を振り切って会話続行。さすが空気読まない人だ。

「私は借りものです。さっき終わりました」

「わたしはこれからです。二人三脚に出るんですよ」

 ちょっと首を傾げつつ、友美が言った。


 これで無意識とか、あざといな、さすが友美あざとい。


 ちらりとクラスのみんなの様子を見てみる。

 何となく、私から視線が外れている気がする。よし、このまま友美を餌に戦線を離脱する作戦で。

「借り物競走さっき見てたよ。結構速かったよね、櫻ちゃん。順位は惜しかったけどさ」

 うぐ、そう簡単にいかないか。

「平均じゃないですか?」

「そんなこと無いよ、櫻ちゃんクラスでも速い方だよ」

 友美、そのフォロー、正直要らなかった。

「…でも本当に、そんなに走る事には興味無いんですよ」

「そうなのか?」

 椿先輩、そこ喰いつくとこと違う。

「まあ、体育祭は最後の引き締めのチャンスみたいなもんですからね」

「えー、そんな理由!?」

「不純だな」

 何とでも言え。大手を振って走り込み出来るのは、この時期位なもんだ。

 秋冬とか、女子にとって一番必要な時には、暗くなるのが早いから、とか言われて止められるんだよ! orz


「夏が終わったら、ライブに行くんです。その為にも気は抜けません」

「えーっ、わたし聞いてないよ!」

「言っていないもん。大体、友美と私じゃ好きなジャンル違うし」

 昼公演のお1人様ですが何か?

「まあまあ2人とも」

「篠原は二人三脚だったな」

「あっ、はいそうなんです。頑張りますよ!」

 小さくガッツポーズ。だから君は…。くっ、可愛い何この可愛い生き物!

「……相手は誰だ?」

「木森くんて言う男の子です」

 あ、きもりんがきょどった。さもありなん、しかし口は挟まない。

「男の子なの?」

 ……空気変わったかなー?

「どいつだ?」

 あーあ、犯人探しの様相を呈してきましたよ。

 さて、私はここらで戦線離脱です。

「先生、ちょっと水道で水筒に水足してきます」

 席に戻って、水筒を確保。そのまま昇降口付近の水道まで移動した。

 よっし、離脱成功!


 と思ったら、水道には先客がいた。

「白樹君」

「央川」

 白樹君が頭から水をかぶっている。蛇口をひねり、頭をプルプル振った。

 きらめく水滴。……わー、何かのスチルみたい。

「お疲れ様。騎馬戦終わったの?」

「ああ。何?見てなかったの?」

 皮肉げに笑われる。いや、本当なら私も応援していた筈なんだけども。

「今、先輩達が席に来てるんだよ。友美と話しているから、邪魔するのも悪いと思って」

 彼女のイベントだ、これ以上深入りは危険だろう。

 しかし、本来なら好感度を平均的に上げていても、好感度上位順に個別発生する筈の体育祭イベントが逆ハーレム(こんな形)になるなんて、友美、恐ろしい子!

「ああ、逃げてきたのか」

 お見通しでした!


「良かったらこれ使う?」

 都合の悪い時には逃げるに限る。と、言う訳で肩に羽織ったタオルを差し出してみる。

 あれ、驚かれた。

 あ、そっか、汗吸ったやつ貸すとかダメじゃん。

「ごめん、湿ってるのとか臭いとか、気になるよね。気が利かなくてごめん」

「や、有難く借りるよ」

 引っ込めようとした私の手より、白樹君にタオルを持って行かれる方が早かった。

 何かぎこちなかったよね、今の。う、気を悪くさせたかな?悪い事したなあ。


「そういえば、さっきの借りは返しておいたぜ」

「さっきの?」

「借り物の借り。騎馬戦、俺達が勝ったから」

 ああ、そういう事。

 切り替えられた話題に素直についていく。

 きっとどこか気まずいのを、無かった事にしたいんだろう。

 自分もそうだったから助かった。

「ありがとね、それとおめでとう。応援できなくて残念だったなあ、見たかったのに。きっと迫力モノだったんだろうね」

 本当に残念ですよ、先輩方。

「まあ、ぶつかり合いだからな、あれは」

「怪我とか無かった?」

「それは大丈夫」

「そか、よかった。席に戻ったら特製ドリンクを差し入れるよ」

 友美他、有志で制作したなんちゃってスポーツドリンクだ。ヘンナアジハシナイヨ。

「いいのか?」

「うん、皆に配る予定だったから」

「なんだ、俺だけじゃないの?」

 アハハ、と笑う。でも君、そういう“君にだけ特別”って裏を読むでしょ?

 でも、私は裏の裏を読んで君を特別扱いしない。君の事を好きにならないから。

「騎馬戦はチーム戦でしょ、白樹君だけ特別扱いは出来ないな」

「…そりゃ残念」

 おどけた様子の裏で、君は一体何を考えているんだろうね。


「央川ってさ、そういうの好きなの?」

「何の話?」

「そういう体に良さそうなジュースとか、ジュースに限らず飲み物関係とか。この前、椿先輩にお茶と和菓子差し入れていたろ?飲み物に砂糖とかシロップとかあんまり入れないし」

 よく見てるねえ。まあ、そういう所が彼らしいと言えば、らしい。

 …などと感心していたら爆弾を落とされた。


「美容とか気にしてるの?」

 …………。内心笑ってないすか?wwwとか語尾に見えるようだよ?

 ……表出ろや、こら。

「(ここは表です!)まあ、そんな感じ」

 前世でちょっと。だ か ら 聞 く な。

 ……おかげさまで立派なトラウマだよ。


 それにしても、白樹君てこんなキャラだったかなあ?

 ここまでズバッと言うイメージ無かったんだけど。

 ゲームに描かれていない部分では、こういう一面もあったのだろうか?

 今となっては分からないが。


 その後、白樹君と席に戻ってきたら、他クラスから東雲君が合流してた。

 わあ、さらにカオス☆

 木森君は無事に難を逃れたらしい。隅っこの方で他の男子としゃべっていた。

 トラウマにならなきゃいいけど。これ、後のイベントに影響出たらどうすんだ。



 体育祭は無事終了した。

 友美と木森君は何とかノーミスでゴール。順位は2位。

 総合優勝は逃してしまったけれど、賑やかで楽しかった。

 話を聞く限り、観月先輩は大玉転がし、東雲君は飴ちゃん探し競走に参加したらしい。

 椿先輩は有志の組み体操の方に参加してた。肉体美!素敵です、さすが椿先輩!


 結局今年の優勝は、空条先輩の所属するチームだったようだ。

 空条先輩と椿先輩は最後のリレーに参加。しかも椿先輩がラス2、空条先輩がアンカーで登場。

 いやあ、あの時は女子の盛り上がりがハンパなかった。



 さて、今回の復習。

 とりあえず、東雲の愉快犯はナシ。無しって言う事にしておこう。イベント開始時にいない人は認めねえ。………無いよね?

 白樹君も無いかな?あの後も個別イベント特に無かったっぽいし。

 となると、やっぱり観月先輩と空条先輩か…。

 知る限りイベントは起こって無い筈だけど、あの時一緒にいた椿先輩と大寺林先生、それに二人三脚の木森君も可能性ありかな?


 う~ん、これでちょっと絞れてきた?



 ふむ。では今後も注意深く様子を見ないとだな。

 で、次のイベントはいつだったっけ?


本日のフラグ:オトメスメルの付いたタオルを渡す。お互いに意識。

         「君のこと好きにならない」


おい、主人公…。



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