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入学式 ~いざ本編開始!~

「夢恋☆ガーデンティーパーティー」


あらすじ

高校入学式、偶然屋上にやって来た主人公は、ティーパーティーに招かれる。

それはお茶会好きが集まって出来た秘密の同好会。

見事入会条件を満たした主人公は週2回のお茶会に参加し、やがて心惹かれた彼の真実の姿を目撃する―――――



 そのゲームは、乙女ゲームというジャンルが定着する少し前頃の、当時よくあった女性向け徘徊型アドベンチャー作品だった。

 学園と街のマップをめぐり、簡単なパラメータと相手の好感度を上げ、最終的には主人公(自分、と言いかえることもある)の恋を成就させるのが目的だ。


 全員の個人エンドをクリアする位好きだった。

 個人エンディング直前のデータを各個保存しておく位好きだった。

 それを何度も見返す位好きだった。

 

 そんな大好きだった世界の中で、今私は生きている。




「友美ー、ヘーイ」

「櫻ちゃんへーい」

 ぱしん、と良い音を立ててハイタッチ。よっしゃ、まずは同クラス!


 無事一緒のクラスになれた友美は、最初に出会った頃の面影を残しつつ、すっごく可愛く成長していた。

 つぶらな瞳に白い肌、ぷっくりした小さな唇に艶やかなリップが色を添える。

 少し癖っ毛なの、と困ったように話す彼女の髪形は、肩までの長さの髪の両サイドのみ結んだ髪型、いわゆるツーサイドアップ、とか言うヤツだ。

 私個人としてはそれこそツインテールをお勧めしたい。全力で。

 本人には恥ずかしがられるんだけどさ、でも絶対似合うって!


 私自身はそこまでおされに興味無いので(学生は勉強が本分です!)、大抵は首筋辺りで1つに括っている事が多い。たまに2つ。そして大抵肩からサイドに流す。

 家に居る時は基本下ろしているんだけど、勉強の時はさすがに邪魔になるからね。

 冬場は寒さ対策も兼ねて肩から背中くらいまでのばし、夏になると暑いし色々面倒なので首筋でばっさりカット、がデフォ。

 痛むので絶対に染めない。絶対に、だ。

 1つだけオシャレと言える事があるとすれば、大体いつも前髪をピンで留めている事だろうか。

 良いじゃん、前髪横わけピン、憧れてたんだよ。


 さて、登校してまず最初にクラスを確認した。

 友美と同クラスなのは前述の通り。

「他に誰かいた?」

「木森君がいたよ」

「おおーっ」


 木森浩太(きもりこうた)は小学校からの友人である。

 小さい頃からすれば、男女グループとか別れたりしてそれなりに付き合いは減ったが、今でも仲の良い男子と言う稀有な存在である。

 私と彼、お互いの趣味の理解者でもある。

 温厚で若干アレな趣味の彼が、メインシナリオに登場するのは2学期から。

 ゲームでは、仲良くしておかないと学園から去って行ってしまうという、変化球シナリオな人でもある。

 後で早速挨拶をしておこう。

 同クラスは久しぶりだしね。話したいネタもある。


 生徒会長と、よくある学園長の長い話を終え、クラスへ。

「おはよう木森くんっ!」

「おはよう、久しぶりだねー」

 しばし雑談。旧知の知り合いと親交を深めていると担任が来た。

「席につけ」

 大寺林 国良(だいじりんくによし)。古文担当。

 ちょっと着崩れたラフな格好することが多いが、見かけによらず、生徒ときっちり一線をを引くタイプ。その姿がクールだと人気があった。

 実際に人気出そう、というかすでに先輩たちには人気なのだろうと思う。


 自己紹介を無難に終わらせれば、後は今後の予定の確認くらいしかなく、あっさり放課後になった。


「友美?」

 帰る準備をしてると、友美があやしげな動きを見せた。

「どこか行くの?」

「うん、このまま帰っちゃうの勿体ないなーって。屋上で空気吸ってから帰ろうかと」

 ……ここまで予定通りだと、いっそ清々しいよ。

「…このまま帰るっていう選択肢は?」

「ええっ」

「……実はこの学園の屋上立ち入り禁止で」

「??さっきのオリエンテーションで、そんな注意事項あったっけ?」

「…どうしても行きたいと仰るか」

「櫻ちゃんが行きたくないなら別に良いよ?すぐ帰るし」

「ふう、わかった。行くよ」

 溜息を1つついて覚悟完了。じゃあこれから行こうか。

「友美の運命に会いに」



「それじゃ、あけるよ」

「いいからはやく」

 風情の無い。

 がしゃん、と大きな音を立てて扉を開けると、そこは一面の花畑だった。

「うわあ」

 友美が歓声を上げる。

 学園内でも生徒のクラスがある中央棟の屋上は、全面ガラス張りの温室になっていた。

 窓の一部は開閉式で、自然な風を感じられる様になっている。

 他にも直射日光を遮る遮光カーテンらしきものが付いていて、過ごし易い環境になっている様だった。

 温室とは言うものの、実質テラスのような物だろうか。

 奥に目を向けると、そこには。

「友美、大きな東屋があるよ、行ってみる?」

「わあ、素敵!行こう!」

「そこー、走らない」

 はしゃいでいる友美の後を、ゆっくりついて行く。わー、リアルだとこんな風になっているのか…。


「誰の許可を得て入って来た」

 おっと、イベント開始だ。

 友美は、おろおろと私と目の前の男子生徒を交互に見ている。

「すみません、ここは立ち入り禁止なんですか?」

「いや、元々はそうじゃなかったんだけど、今度から僕らが使う事になったから」

 先ほどと違う優しげな声。

「びっくりさせてごめんね、良かったらお茶でも一緒にいかがかな?」

「おい、輝夜(かぐや)

 最初に声をかけてきた人が止めさせようと声を掛ける。

「あのさ、結局集まったの男ばっかりなんだよ、綺麗な花が2輪追加する位良いじゃないか」

「女が入るとややこしくなるだろうが。五月蝿くて我儘でピーピー言うぞ。そして気が付いたら増殖するんだ」

「偏見だなあ。そんなことないよね、ね」

 首をかしげて可愛らしく言う。友美は真っ赤になっていた。

「……お邪魔でしたらもう帰りますが」

 いっぱいいっぱいの友美に代わって申し訳なさそうに発言してみる。

「帰らなくて良いよ、一緒にお茶にしよう。さ、入って入って」

「おい、…まったく」

 

 ぐいぐいと背中を押され、東屋の中に入った。

 優雅な作りのテーブルセットの上には、美味しそうなケーキやクッキーがたくさん。

「…櫻ちゃん」

 どうしよう、っていう割に友美の視線はお菓子の群れに釘付けだ。

「どうぞー、洋菓子ばかりだけど、よかったらたくさん食べてね」

「たくさんはちょっと」

「あの、ホントに良いんですか?」

「君たちもしかしてダイエットとかしてる?そうじゃなかったら、ぜひ食べて行ってほしいな。このお菓子ね、僕が作ったんだ」

「えっ、そうなんですか?」

 すごーい、と友美が感激した。ああ、目が輝いているよ。

 友美は出会ったあの頃から変わらずお菓子が大好きで、有名パティシエとかチェックする位のマニアだから。


「あの、ここはお二人の専用スペースですか?」

 他の連中はどうしたんだろう、と水を向けてみる。

「まだ他に3人来るよ。来たらきっと吃驚するね」

「輝夜、本当にこいつらを参加させる気か?」

「うん、そうだね。今日だけじゃなくていっそ会員になってもらおうか」

「会員、ですか?」

 友美がお菓子から目線を上げて問う。

「その話は他のメンバーが揃ってからにしよう」

 目の前にお茶が置かれた。

「あ、すみません、手伝います」

 さすがに雰囲気に呑まれすぎたか、気が付かなかった。慌てて立ち上がろうとする。

「いいよ、今日の君たちはお客さまだからね」

「座って待ってろ。少し質問したい事がある」

 オーラのある二人に押され、浮かせた腰は、そのまま椅子の上へ戻った。


 質問内容は、主に紅茶の事。詳しく知ってるかみたいな。

 他には、好きなお菓子とか、紅茶に限らずお茶の事。こっちは好みについての質問が主だった。

 

 後半雑談に近かったが、いわゆる入部試検だろうか。

 私も友美も大好きで、色々調べた分野だったから戸惑わずに済んだ。

 ゲーム本編では、最初にずらっと攻略キャラが出てきて、キラキラしい自己紹介が始まったから、予想外と言えば予想外。あ、私がここで一緒にお茶してるのも予定外か。


 やがて全員が揃って、このお茶会についての説明と自己紹介タイムとなった。


 学園非公式の同好会である事、現在参加者7名、非公式顧問1名で成り立っている事、週に2回お茶とお菓子を楽しむために参加する事、活動時間は基本的に放課後で、参加する者は絶対に同好会について口外しない事、などが説明された。


「同好会会長はこの俺、空条 明日葉(くうじょうあすは)だ」

 

 空条 明日葉、2年。性格は基本俺様。あとちょっと空気読めない。学園内資産家ランキングぶっちぎり第1位の家で、家族は父母。家庭事情から資産を狙う親族も多い。

 趣味はオペラ、クラシックと高尚。


 本人の話を聞きながら、設定を思い出す。

 

観月 輝夜(みつきかぐや)2年。ここの温室でアフタヌーン・ティーパーティーがやりたくて同好会を作りました。よろしくね」


 観月 輝夜、2年。空条明日葉の親友。この非公式同好会の発起人。お菓子は作るのも食べるのも好きな人。いつもほわほわしているが、将来の夢をしっかり見据えて動く人でもある。


「2年の椿 三十朗(つばきさんじゅうろう)だ。」


 椿 三十朗、2年。空条明日葉のSS(シークレットサービス)的存在。体育会系で無口キャラ、同好会の唯一といって良い常識人。

 5人兄弟の真ん中で、甘いものが苦手だが、他の2年(センパイ)2人によって強制参加。和菓子と抹茶なら大丈夫なはず。


「僕は東雲 愉快(しののめゆかい)1年!2人とも1年どうし、仲良くしようね!」


 東雲 愉快、1年。しょたっこキャラ担当。文字通りの愉快犯。仲良く=愉快な玩具である。要注意人物その1。 

 輝夜の親戚。甘いモノ好きはもはや血統。お茶よりお菓子目当てで来ているはずで、今も皿の上にはケーキが山と積まれている。


白樹 去夜(しらききょうや)1年。2人は俺と同じクラスだろ?これからもよろしくな」


 白樹 去夜、1年。私達のクラスメイト。文武両道、賑やかな性格で、ほっといてもクラスを引っ張っていく中心的存在になるだろう。

 最近引っ越してきた。一人暮らし。明日葉とは父の仕事関係からの知り合い。動物好き…。


「篠原友美、1年生です。皆さんよろしくお願いしますっ」

「央川櫻、1年です。急な事にもかかわらず、参加を認めて下さって有り難うございます」

 2人してお辞儀をする。

「そんなに畏まらなくていいよ、央川さん。誘ったのはこちらなんだから」

 と、観月先輩が言えば、

「そうだよ、こんな可愛い2人が入ってくれて、僕ら本当に嬉しいんだから」

 と東雲君がリップサービス。

「えへへ、そう言ってもらえると助かります」

 ……絶対真に受けているよね、コレ。先輩はともかく、東雲君の発言は半分位に聞いておいた方がいいって、後で言っておかなきゃ。


「央川はこの辺に住んでいるのか?」

 おや?白樹君、気付かれましたかな?

「うんそう、徒歩通。春休みに父の都合で家族が海外に行って、私だけ残ったの」

「へえ、もしかして独り暮らし?」

「まさか、高校生で女の子だよ。今は篠原さんの家にお世話になってるんだ」

「ははっ、それはそうだよな」

 人の情報を集める一方で自分の事は話さない。さすが白樹クォリティ。

「もしかして白樹君は一人暮らしなの?この辺?」

 あえて突いてみる。

「ああまあ、近所といえば近所だよ」

 そうそう君、うちの近所の公園の常連だったよね。

 こっちは知ってるんだぞー。さすがにヤブヘビなんで言わないけど。


「央川は、…そうか央川商事の娘か?」

 空条先輩が混ざって来た。

「長女です。父から直接話を聞いた事はありませんが、おそらく空条グループとの取引はあると思います。あの、父がいつもお世話になっています」

 ちょっと大きな会社なら、あの空条と繋がって無いわけ無い。

 礼儀正しくペコっとお辞儀をする。

「そうなんだ、俺の家も昔から空条の家とは繋がってるんだよ」

 何てことなさそうに白樹君が言う。

 白樹君ん家はあれだ、私や友美の家と違ってスーパーセレブ様とか言われる類のお家じゃないか。同じ金持ちでもランクが違うんだよ。気を使うの!

「親同士の関係と今の俺達の関係を、直接結びつけて考える必要もないだろう」

「この学園の中だけだって、どれだけ親が空条に関わっているヤツがいるか」

 あきれたように白樹君が茶化した。

「そういうことだ。一々相手をしていたらキリが無いからな、普通にしていればいい。ただし、俺の邪魔をしたらどうなるか…、分かっているよな」

 御家取り潰しで済めばいい方、ですね上様。

 あんまり脅かしたらだめですよ空条先輩、と白樹君がフォローに回った。



「はあー、今日は大変な日だったなあ」

 主に君の突発的行動のせいでね。

 下校中の大通り、話は自然と今日のお茶会の事になっていく。

「あ、ねえねえ、櫻ちゃんは知ってたの?あの屋上の事」

「え?」

 ドキッとした。

「だって、立ち入り禁止だって。それって、先輩たちのお茶会の事知ってたからでしょ?」

 うぐ。

 まあ、知ってたから一応止めてみたんだけど。…乱入するって分かってて行くのもね。

 空条先輩なんか最初、あからさまに迷惑そうな顔してたし。

「……単なる偶然」

 条件反射的に顔を背ける。

「わたしの運命に会いに行く、とか行ってたよね」

 今すぐ忘れて下さい。

 ちょっと格好つけた事言ったのは分かってるんだ。

「大した意味はないよ。ただ、こういった場合、本当になにかあったら面白いなって」

「えーっ」

 

 自分がラノベやゲームの趣味があるってことを盾に、なんとかゴリ押しをしようとする。

 頼むから誤魔化されてくださいっ。

「すみません」

 天の助け!

 白いジャケットに白いパンツ、黒いインナーの長身のお兄さんが後ろから声を掛けてきた。

「あ、何でしょう」

 釣られた!GJ!

「この辺で天球儀っていう喫茶店知りませんか?」

「あ、天球儀ですね」

 友美の矛先がそれた!後はこのまま家に直行するだけ!

「ええと…すみません、もう一回確認しても良いですか?この辺りは路地が多くて」

「あの、良ければご案内…」

 皆まで言わせず袖を引く

「すみません、今日はもう帰らないと」

「えっ、でも」

「友美、私達は学生、学生の本分は勉強、あさってには学力テストがあるって知ってるよね」

 にっこり笑って脅す。ちなみに試験は本当。

 腕をつかみその場を離れて行く。

「すみません、これで」

 おざなりに告げ、友美に止めを刺す。

「私が篠原家に居る限り、君の学力は落とさせない。帰ったら一緒に勉強だからね」

「ええーっ」

 


 隠しキャラ天上岬(てんじょうみさき)

 週末、休日に条件を満たすと出会える隠し。ホストみたいな恰好の社会人?今日の出会いが全ての始まりのはず。逆に言えばこのイベントさえ成功しなければ、これ以後かかわりあうことはない。

 彼のルートの場合、屋上ではなく駅前のカフェが舞台で、イベント的にはちょっと大人っぽい話が進む。実は某組織のエージェントでした、とか言うびっくりシナリオ。紅茶よりコーヒー派。

 通常学園ルート狙いなら回避必死の要注意人物その2。 



 いよし、まずは 計 画 通 り。





さて、主要メンバーが出そろいました。

読者の方に気になるキャラ、好みのキャラが一人でもいれば幸いです。


次の話の舞台は、数か月分先に飛んだ後の話になります。

何の話になるかお楽しみに、です!

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