すくすく育ちました
後日、例の名物お父さんが謝罪しに来た。
DO GE ZAで。
ともちゃんは、私が大泣きしたのが自分の父親のせいだと判断すると、最終兵器「パパキライ」を発動した模様。
娘大好きのせいで、若干影の薄くなっていたともちゃんの母も、良いタイミングと訴えたらしく、最終的には、私とともちゃんの大好き合戦でこの一件は幕を閉じた。
この世界で成長して来て感じた事、それは、この世界は不思議で満ち溢れているという事。
現実世界ではやっとパソコンが普及し始め、インターネットが繋がり始めた頃に作られた筈の、このゲーム世界。
実際に生きている今では、パソコン、ネットは当たり前、ケータイは標準装備。
流行りの音楽や服も、私がかつて生きてた頃と変わらない。
違和感を感じつつも、これなら色々利用できそうだと考える日々。
…チートはこんな所にもあったのです。
あのゲームは、マップ徘徊タイプのアドベンチャーで、それに気が付いてしまえば、あれこれ特定することは案外容易かった。
ゲーム中には多分名前も出て来なかった、舞台となるこの街、というか現住所の名は『仁羽市』と言う。
街中に出ればプレゼントアイテムのデパート、ドーピングアイテムのドラッグストア、ミニゲームのゲーセン、他にも休日デート先のプラネタリウムにコンサートホール、郊外に出れば植物園に遊園地、そして城。
…サブキャラとは仲良くなっておきたいなあ…あの人とかあの人とか好きだったし…。そういえば徘徊専用隠しキャラとか居たっけ。…うん、ちょっと頑張ってみよう。
幼稚園、小、中と、ともちゃんとはずっと一緒だった。
小さい頃は冗談半分に「ずっといっしょにいようね」「うん!」なんてやったけど、まあ、ホントになって嬉しいからいいか。
前世の自分が残っているという事は、趣味や性格も変わらないという事で…。
日曜日朝のゴールデンタイムは、妹、弟と一緒にテレビっ子になってたり、趣味が完全インドア派(あえてぼかした言い方)だったり。
つくづく業の深い…。
おかげで勉強する時限定の眼鏡っ娘になってしまった。
大きくなるにつれて行動範囲が増え、見知った顔が増えた。ゲーセンのバイト兄さんとか、ドラッグストアのアヤシイ店員とか、…夕方近所の公園で野良ネコと会話してる美少年とか。
……最後の、心当たりがあるんだが…。気にしないでおこう…。
中学最後の冬休み、私はともちゃんの家にいた。父の仕事の都合で、家族が海外に行く為だ。
うちの家族と、家族ぐるみの付き合いになっていたともちゃん家の間で話し合いがもたれ、推薦の決まっていた私はこのまま日本に残り、ともちゃんの家から一緒の学園に通うことになった。
さて、改めて確認しておこう。例のゲームは舞台『私立彩星学園』の高等部入学から開始、期間は1年である。
この「央川 櫻」今後この『現実』がゲーム内容と同じ状況になるのならば、一つの壮大な計画があるのだ。
それは、「攻略対象にそれとなく接触しつつ、ともちゃんのイイ人を見極め、自分に振りかかる可能性のあるフラグは、コテンパンパンにぶっちぎる」計画。
ともちゃん事「篠原友美」はとても可愛い。そして何より純粋。基本人を疑わない。裏切る、とか利用する、とかも考えたりしない。
この件に関しては自分の関与した責任もある…気がする。若干。
だからこそ、ともちゃん改め、友美の今後の幸福と安心の為に、できる限りの事をしよう、と。
基本的にチャンスは見逃さない様監視しつつ、その行動自体は不干渉。
いずれはフラグ管理も意識しなければなるまいが、干渉するかしないかは友美のターゲット先次第。
文字通りの攻略対象が、メインかその他で扱いが違うというものだ。
サブキャラのアレとか隠しのアレとかメインでもアレとか、好きにならない事を願う。頼むから。
また、友美の親友ポジションの自分が対象と接触する機会もあるだろう。
…正直楽しみにしている部分もあるが、それでも自分がおぼろげに残ってる攻略情報を元に攻略しようは思わない。だって、高校生でカレカノとか、早くない?
大学行ってからでも十分間に合うと思うのですよ。うち資産家だからいざとなればお見合いという手段だってあるわけだし。それに学生の本分は勉強です。彼氏につぎ込む金と時間があるなら服と本と予備校につぎ込むよ!勉強方面のチートなんてそろそろ打ち止めだよ!本気で勉強しないとヤバいんだって!大学出て就職するまでは人生に安心なんてできないよ!
…トラウマデスネーソウデスネー、イイワケダッテワカッテルンデスヨー
ちなみに現在、異性との交流歴は、せいぜいクラスメートよりちょっと仲の良いお友達止まりである。
今好みの殿方が、おじさま層だってこともあるだろう。渋くて声の低い、優しそうな人とか好みだ。……ダルデレ万歳 (ボソリ)
だから中学や高校の男子は、私からすれば「やっぱ若いな~」なのである。
うん、結論。やっぱお付き合いは大学生から、だな。
入学式の朝、モスグリーンのブレザーにチェックのプリーツスカートを着て、赤いリボンタイを着ける。
これがこの学園の指定制服。
友美と共に登校し、初めてなのに見覚えのある学園の正門をくぐり、私は校舎の屋上に目を向けた。
さあ、「屋上ティーパーティー」の始まり始まり。
少々短いですが、導入部と言う事で。
次回より本編です。
今後は、季節のイベントと重要イベントをざくざく追っかけて行く為、
話と話の間の時間を遠慮なくすっ飛ばして行きます。
よろしくお願いします。