いつの間にか人生コンテニューされてた
読んでくださって有り難うございます。
attention!
ここの主人公は、ちょっと上から目線の、特殊な趣味と性格の、癖のある主人公です。
合わないなと思ったらバックして下さい。
夢を見た。
真っ白な光の中、誰かと向き合っていた。
話していたような、向き合ってただけのような、自分以外誰も居なかったような。
…そもそも夢なんて見ていたっけ?
気がつけば上手く動けなくなっていて、目もよく見えないし、声はすれども理解できない。
…上手く喋れ…ない?
気が付いたら泣きわめいて、よく考えてみたらお腹空いてるからで、よく分からない内に意識が飛んでる。
何度か繰り返して空腹感と排泄については覚えた。まあ、泣くんだけど。てか叫ぶ。あるいは両方。
…あの独特の感覚については中々言いづらい。
考えるより体が先に反応する。後からあれこれ考えて状況が判明する。する前に意識が落ちる時もある。
何度繰り返したのか分からないけど、そのうち考えることにも慣れてきたらしく、少しずつ意識のある時間が増えた。
目もしっかり見えるようになって、私はようやっと自分が赤ちゃんであることを把握した。
にぎにぎと目の前で小さな手を握ってみた後、ぱたりと倒した。
…う わ あ。
なんで?とか考えても考えても、なーんも出てこなかったのですっぱり諦めた。
…諦めるまで時間かかった気もするけど。半分寝ながらだった気もするけど。
元の家族には悪い気はした。したけど、ちょっとどうしようもないし、なにより日々記憶があいまいになっていくのだ。
…まだ家族構成は覚えてるけど、顔が、もう、ちょっと思い出せない。
赤ちゃんの頭は日々新しい記憶で浸食されていくらしく、「ぱぱ」と「まま」と「おせわさん」とたまに「じーじ」ですぐいっぱいになってしまう。
「前世」を思い出して、3歳くらいには「私」も消えてしまうのかな、とぼんやり考えた。
悲しくなった直後、泣きわめいたわけだが。つくづく我慢のきかない体になったもんだ。
うー、とかにゃーとか言いながら3歳になった。
「パパ」と「ママ」は忙しいらしく、私のお世話はお手伝いさんの(乳母とか言わないよ!)マサ子さんがもっぱら見てる。…その割にすぐ妹ができて、その後弟もできるわけだが。仲いいな。いや、見てれば分かるけど。
どういうわけか、記憶と自我は消えずに残った。ちょっとほっとした。
何度も繰り返し昔の事を考えてたのが良かったのかな?
妹が生まれてからは昔好きだった歌を子守歌代わりに歌ってたし。
発音については聞くな。所詮は3歳児。
人名と愛してるの歌詞をあまりにも繰り返し歌い続けたせいだろう、妹の名は私が名付けたことになっている。
後々妹に責められることになったのだが、良いじゃないかそれくらい。世間にはびこる他のキラキラネームよりはまだ可愛いで済ませられるよ!
4歳になった。
あ、自分の誕生日には、ばっちり絵本を催促しておきました。(ドヤ)
だいじょぶ、ぱぱしななかったから(はあと)
それはともかく、父の誕生日に兼ねてから計画していた「可愛いは正義計画」をお披露目してみた。
妹と一緒に、前世で流行った(一部)「私は可愛いんだから何でも言う事を聞いて!」という歌をお遊戯風に踊って見せたのだ。
正直すっごく楽しかった。
練習中は、現在うーにゃー中の可愛い妹が、多分意味分かって無いと思うけど何だか真似してるっぽいのを見ながら、にやにやにやにや。
前世チートの無駄遣いとか言うな。ちびっこにできる事なんてたかが知れているんだから。
今は運動することに重点を置いている。
勉強は神童呼ばわりされる気がないので、今できても意味ないし、それだったら体力づくりと今後の運動神経の発達のために、ひたすら遊びという名のトレーニングです。
ご飯多めおやつ少なめの健康志向で頑張ってますよ。
自分が消える事はないと確信した時から、ずっと前回の反省を生かさなければと考え続けている。
前の私は自分の好きなことだけしてきた。
そのつけは見事に自身と家族に振りかかったわけだが。
…今の自分は贔屓目に見ても“まだ”可愛い。
歯が生え換わったら矯正もお願いしてみようかと思ってる。
5歳になる前に「スタジオ」に通うことになった。
何でも、例の可愛いは正義のせいらしい。
ちびっこまみれの撮影現場だったけど、私はそこでこの人生最大の出会いをした。
「ともちゃん」と呼ばれるその子はすっっごく美少女で、やたらと純粋だった。
他の子のお守りをしつつ、私は彼女と仲良くなった。なんというか、ファンみたいな感覚に近いのかも。内心、可愛い可愛い大好きを連呼しまくってた覚えがある。
まあ、その子はいいんだけど、いや彼女も重要なんだけど、その保護者の父親が、なんというか。
超娘大好き。
それはもう、大袈裟に褒めまくって、感涙の涙を流し、撮影が終われば大騒ぎしながらお菓子の大盤振る舞い。
慣れてるのか引いているのか、他の大人は止めないし、ともちゃんは嬉しそうにお菓子をむしゃむしゃ頬張るし。
よく見れば、他の大人たちも子供たちにお菓子を配ってる。
餌で釣る方法は確かに間違っちゃいないだろうけどさ…、でも、こう、ちょっと限度があるでしょうが!
「ともちゃん、おかしたべるのいいけど、ちゃんとうんどうしてる?」
多少大人びた発言なのは分かってる。
「いくらじぶんのおとうさんからもらったおかしでもたべすぎだとおもうよ。なんでもかんでもたべちゃだめ」
まわりからみたら子供の焼もちに見えるかもしれない。
「ともちゃんのばかっ!でぶでぶになっておにくたゆんたゆんでうごけなくなってもしらないんだから!」
彼女の可愛さが損なわれるのは、絶対に許せない!
「ともちゃんのことほんとにかんがえてないおじさんなんてだいきらい!」
2度目の人生で初の怒り大爆発は、あっという間にともちゃんや他の子にも伝染し、スタジオはちびっこ号泣大合唱の会場へと変貌した。
泣き疲れて眠って、気が付いたら家に帰ってて、目が覚めて気が付いた。
あれ?あの超娘大好き、あの乙女ゲー主人公の名物親父?
おれの乙女ゲフォルダが火を噴いた。
とか言えたら良かったんですが。
ゲーム部分の設定ですが、特にどのゲームをリスペクト、とかは無いです。まぜまぜして3分で制作。
確認したら画面が真っ黒だったです。申し訳ない。
プロローグ部分はあと1話続きます。
目の滑る文章再び orz
2013.1.11 一部改訂。
「おたんじょうびぷれぜんとはえほんがいいとおもうわ!」
ぱぱの しぼうふらぐが たちました
うん、いっぱんじんはわからなくていい